シャーロック/SHERLOCK　インテリア実践編　海外ドラマの間取りとインテリア vol.67【1】 | 海外ドラマの間取りとインテリア

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2017.04.05

イエ子（以下・イ）：みなさん大変お待たせいたしました。昨年、この連載の書籍化を記念して、「あなたはどの家が好き？」という人気投票を実施し、1位になったドラマの特別記事をお約束しました。

１位は、主演のカンバーバッチを日本でも一躍有名にした『シャーロック』でした！

今日は、アンティークを取り入れたコーディネートを得意とされているインテリア・コーディネーターの大西哉子さんに『シャーロック』のような部屋づくりのコツを、また1位だけでなく僅差の２位のドラマについても、それぞれの魅力、出演者の活躍情報などのコラムをご用意いたました！そちらも併せてどうぞ♪

大西さん：シャーロック・ホームズの部屋は、全体的にさまざまなモチーフが取入れられており、やや直線的な印象です。おそらく、リージェンシー様式を基にしてアレンジされているのではないかと思われます。

自由に現代的に手を加えられていながらも歴史と品を感じさせるのは、伝統的なスタイルが根底にあるからでしょう。
それでは早速、この部屋のようなインテリアにする際のポイントについてお話ししていきます。

シャーロックの部屋は、いくつかの印象的な大柄の壁紙が目を引きます。ただでさえ派手（？）な壁紙を何種類も…と不安を感じられるかもしれませんが、柄物の壁紙をひとつの空間へ数種類用いるのは、決して難しいことではありません。

モチーフや柄の系統を意識して選べば大丈夫です。四面全てを異なる柄にとなると、さすがに少々慎重にならざるを得ませんが（全くない話ではないのです）、この部屋のように、個性のある壁紙同士の緩衝材として無地の壁紙を用いると上手くまとまります。

洋服を選ぶように、自由な感性で壁紙を選んでみてください。特に大柄の壁紙は、アートのほか、フレームを飾るだけでも壁面がかっこよく決まりますよ。

部分的なサンプルでは派手に見えても、実際に貼ってみると意外と地味に納まる壁紙もあります。サンプルと併せて、施工写真なども確認してみましょう。

インテリアの印象を決定づける要素の濃いエレメントが家具です。この部屋には実に様々な家具が置かれていて、特にリージェンシー様式で統一されているわけではないのですが、ラフにかっこよくまとまっていますね。

新旧入り交ざり、テイストが違っていても、家具全般が「イギリス」という大枠を外れていないところにその理由がありそうです。印象づける狙いがあるのかどうか定かではありませんが、ユニオンジャックのクッション（次ページ参照）はその役割を果たすのに十分な効果を発揮しています。

そんな中、メインポジションへ堂々と配されたLC3（コルビジェ）。これは明らかにジャンルの異なる家具ですが、この”外し”が、料理でいうところの隠し味や、味の深みとなる部分にあたります。

想像してみてください。目の前に出されたお料理が、寸分の狂いなく想像通りの味香りであったなら、美味しいには違いないけれど、意外性や感動に少し欠けると思いませんか？異なるジャンルのエレメントを投入するのは少し勇気がいりそうですが、色が独り歩きをしなければ浮くことはありません。

このLC3は、なんといっても使い込まれた革がポイント。ここがシャーロックの指定席なのだと、家具が粋に語っています。

空間全体をこなれた雰囲気に演出する場合も、新品よりアンティークやヴィンテージの家具を用いる方がベターです。若い人の初々しさより、大人の余裕に軍配が上がるといったところでしょうか。（アンティーク：製作後100年以上経過／ヴィンテージ：製作後30～100年未満 ※アメリカ関税法)

全てではなくても、一人掛けソファなど主役級の家具に古いものを用いると、お部屋の風格が増しますよ。ぜひ本物を使ってみてください。

暖炉のマントルピースの両サイドにある作り付けの書棚は、実際に造作家具で忠実に再現することが可能です。ちなみにジオインテリアワークスでお受けした場合、一台約40万円程度となります（材質：ハードメイプルORアメリカンチェリー、仕上：染色クリアラッカー塗装、搬入・施工費別途）。

また、上記と同じ仕様でマントルピース（外枠のみ）を作ると、約100万円前後になるかと思います。造作家具で凝ったものを作る場合、製作図面や型板、刃物など多くのコストがかかるため、決して安くはないのですが材料からディティールにいたるまで理想通りのものを作り、長く使い続けるという意味では、相応の価値があると思います。

日本の職人さんの技術は素晴らしいですから、「作る」という選択肢を含めて家具を検討してみるのもお勧めです。

【著者紹介】

著者大西哉子さん近影

大西哉子さん

GIO INTERIOR WORKS（ジオインテリアワークス）代表。2016年、英国アンティーク/ヴィンテージ家具ショップ『高砂ショウハウス』をオープン。「インテリアはもっと自由に、もっと楽しく！」をコンセプトに、枠にとらわれない印象深いインテリアデザイン・コーディネートを提案する。インテリアコーディネーター／照明士／古民家鑑定士１級

https://www.gio-interiorworks.com/

GIO INTERIOR WORKS/ジオインテリアワークスのイメージ写真