毎週水曜日更新

floor-plan_500.65

SEARCH

イエマガは「世界にひとつの自分らしい家」づくりを応援するWEBマガジンです。

floor-plan_500.65

「 家づくり日々勉強!」 バックナンバー

以前のバックナンバーページ

義務化された太陽光発電の点検の実際【家づくり日々勉強 67】

2022.07.13

【執筆者プロフィール】

まっしん はやぶさ さん

関西から関東に転職を機にお引っ越し。関西で暮らしていた分譲の戸建ては賃貸に出すものの、住宅ローンの支払いは赤字に…。さらに関東での家賃も加わって…。

それならば!と、二軒目の家を建てることに。住宅ローンをできるだけ抑え、かつ、土地も建物も満足のいく家づくりに挑戦されました。コストを抑えるコツ、納得のいくまで調べられた知識をこの連載にまとめていきます。
https://kisekinomyhome.blog.fc2.com/

イラスト:天野勢津子さん
https://amachakoubou.com/

▼ すべて表示する▲ 閉じる

会社によって異なる施工補償

わが家の太陽光発電システムは、15年の施工補償と、設置後の5年目・9年目・15年目の無料定期点検が付いています。

当時、比較検討した他社さんでは、10年保障で3年目と8年目の無料点検だったり、1年目だけ無料点検で以後は有料の点検というところもありました。

太陽光発電システムのトラブルは、ほとんど施工後1年目までという理由で説明されたのですが、2017年4月1日のFIT法の改正で、4年に1回以上を目安とした点検が義務化されたので、点検の多い会社で契約しておいたのは幸運でした。

当時、15年の施工補償のありがたみに、あまり関心がありませんでしたが、9年目の現在、あと5年以上保障が残っているのは、かなり安心感があります。

見積書の金額ばかりを見ていたので、その下にさらっと書いてあった保証内容をあまり真剣に見ていなかったように思います。

見積書の金額ばかりを見ていたので、その下にさらっと書いてあった保証内容をあまり真剣に見ていなかったように思います。

契約時には、施工補償の内容を詳細に確認していなかったのですが、対人・対物ともに上限5億円までの補償が付いているとのことです。逆に考えると、太陽光の施工には、その規模の事故や損害が起こりうる可能性もありうるということですね。
あれだけの重さのパネルを屋根に載せるわけなので、危険の伴う工事なのだと感じます。

契約時には、施工補償の内容を詳細に確認していなかったのですが、対人・対物ともに上限5億円までの補償が付いているとのことです。逆に考えると、太陽光の施工には、その規模の事故や損害が起こりうる可能性もありうるということですね。
あれだけの重さのパネルを屋根に載せるわけなので、危険の伴う工事なのだと感じます。

5年目の点検

早速ですが、5年目の点検の様子をご紹介します。勝手に、一人で点検されると思っていたのですが、二人の職人さんが来られました。

事前にどのような点検か確認していなかったのですが、
・屋根の上に登っての点検
・屋根裏に登っての点検
・パワコン・ブレーカーの点検
・ユニットバスの天井裏を覗いて点検

をするとのことで、事前に想定していたイメージの通りです。

築5年とはいえ、バルコニーにハシゴをかけると傷が付かないか心配だったのですが、傷が付かないように丁寧に緩衝材を挟んでくれたり、安全対策のためにロープで念入りに固定されていたので、とても安心感がありました。

激安の施工会社だったので、点検は簡素なものかもと勝手に思い込んでいたのを反省しなければなりません。

特に感激したのが、太陽光のパネルのボルトを触りながら緩みがないか確認してくれていたことです。確かに、大型の台風に何度もあおられたことがあるのでボルトが緩んでいてもおかしくありません。

さらに、天井裏の点検では、屋根裏に出ているビスが一本もないことと報告してくれたことで、垂木施工だということがわかりました(第29回)。

垂木施工は、野地板や屋根を支える構造材である垂木に、必ずビスが当たるように施工する方法。

垂木施工は、野地板や屋根を支える構造材である垂木に、必ずビスが当たるように施工する方法。

施工時は、屋根に直接はしごをかけて、片手で太陽光パネルを持ち上げていました(第53回)が、今回はバルコニーに一旦上がってから、屋根に登るようです。
家の中から、バルコニーに入ってもらっても良かったのですが、ハシゴを階段にぶつける可能性を心配して、外から登ることにしたようです。
しかし、結局屋根裏を点検するために、ハシゴを持って2階の寝室に上がってもらうことになりました(笑)。

施工時は、屋根に直接はしごをかけて、片手で太陽光パネルを持ち上げていました(第53回)が、今回はバルコニーに一旦上がってから、屋根に登るようです。
家の中から、バルコニーに入ってもらっても良かったのですが、ハシゴを階段にぶつける可能性を心配して、外から登ることにしたようです。
しかし、結局屋根裏を点検するために、ハシゴを持って2階の寝室に上がってもらうことになりました(笑)。

触って緩みが無いか確認したボルトに、赤いマジックで印を付けていました。全てのボルトを触って確かめたわけではなく、目視の確認でも判断しているとのことでした。
とても素人には真似ができない作業なので頭が下がります。

触って緩みが無いか確認したボルトに、赤いマジックで印を付けていました。全てのボルトを触って確かめたわけではなく、目視の確認でも判断しているとのことでした。
とても素人には真似ができない作業なので頭が下がります。

せっかく発電した電力が売れていない?

太陽光パネルや屋根裏を点検した結果は、問題なかったようなのですが、電力モニタを少し深刻そうに眺めながら、「パワコンのランプが点滅しているのをよく見かけますか?」と聞かれました。

わが家のパワコンは、洗面室に取り付けているのですが、引き戸の上の垂れ壁部分(第53回)にあるので、見上げて表示を確認する習慣がなく、まったく記憶にありません。

どうやら、電力モニタの記録によると、太陽光パネルからの電圧が一定期間、自動的に抑えられて売電量が減ってしまう「電圧抑制」と呼ぶ現象が起きていたようなのです。

この「電圧抑制」は、いくつかの原因が考えられるそうですが、「自宅の近くに大きな工場がありませんか」と聞かれました。

平日、工場が稼働できるよう大きな電力を送電している地域では、土日や大型連休など工場が停止している際に、使い切れない電力送電線に余ってしまうため、一般家庭の電力を受け止める余力がなくなります。

このときに、送電線に電気を流しすぎないよう抑制するのが「電圧抑制」です。工場以外にも、近辺に太陽光パネルを設置する家が増えた場合も電力過多で、「電圧抑制」となることもあるようです。

確かに、自宅近くに心当たりのある大きな工場があります。記録を見てみても、大型連休や土日に「電圧抑制」が発生しているので、やはり工場が停止する休みの日には電力が余っているのでしょう。

もし、「電圧抑制」が頻繁に発生するのであれば、電柱に機器を設置して、電圧を安定させたりパワコンの設定を調整する対策があると聞いたのですが、結局対策してもらうことはありませんでした。

電力モニタから取得していた記録を確認すると、「電圧抑制」が記録されていました。確かに、土日やお正月・GWなどの長期休暇の時期に発生しているようです。

電力モニタから取得していた記録を確認すると、「電圧抑制」が記録されていました。確かに、土日やお正月・GWなどの長期休暇の時期に発生しているようです。

なぜか、最近の電力モニタには、土日でも「電圧抑制」の記録が見当たらないのですが、もしかしたら他のご家庭でも問題になって、電柱への機器の設置が進んだのかもしれません。

なぜか、最近の電力モニタには、土日でも「電圧抑制」の記録が見当たらないのですが、もしかしたら他のご家庭でも問題になって、電柱への機器の設置が進んだのかもしれません。

9年目点検と会社の変更のお知らせ

その後、「電圧抑制」以外は、特に問題なくあっというまに9年目の点検時期を迎えました。

ところが、9年目の無料点検のお知らせと共に届いた案内状は、心なしか不安を感じるものでした。5年目の点検と異なり、提携会社に点検作業を委託することになったのこと。

太陽光発電システムの保証は長期に渡るため、このような事業環境の変化の影響を受けるのは当然とはいえ、当時は想像できていませんでした。案内書には、点検作業の内容には変更がないと書いてありますが、果たして本当に大丈夫なのでしょうか。

9年目に届いた、無料点検作業委託の案内書です。内容には変更はないとのことですが、一抹の不安が…。

9年目に届いた、無料点検作業委託の案内書です。内容には変更はないとのことですが、一抹の不安が…。

不安と不満の残る9年目点検内容

9年目の点検も同じく2名の職人さんが来られたのですが、残念ながら不安は完全に的中してしまいました。

まず、前回は、職人さんの点検の様子を安心して見ていられたのですが、はしごのかけ方が雑だったり、浴室天井裏の接続箱を空けるドライバーのサイズが合わず、わが家のドライバーを貸したりといろいろフォローすることになりました。

幸い、傷にはならなかったのですが、バルコニーからはしごを下ろすときに、あちこちにぶつけたりと全体的に、危なっかしい様子でハラハラしながら見ていました。

そもそも点検内容も屋根裏の点検もなければ、屋根の上も前回のように登ってボルトの緩みを触って確かめてくれるわけではなく、屋根の上を覗き込んで写真を数枚撮っただけで終了です。

当日は、少し雨が降っていたので登るのは危険だったのかもしれませんが、これはかなり拍子抜けで不安の残るものでした。

報告書は立派でも点検項目は確実に減っていた

5年目の点検の時は、当日に点検表をいただいたのですが、9年目の点検では点検表が届いたのは約1カ月後でした。それまで、あの点検はちゃんとしたものだったのだろうかとモヤモヤしたままだったのですが、逆に意外にしっかりした報告書が届いて関心させられます。

といっても、5年目の点検の際にはなかった写真付きの報告書の見栄えに、ごまかされているのかもしれません(笑)。

5年目にはなかった写真付きの報告書の見栄えに、一瞬好感を持ちましたが、この写真が点検内容の質を証明するものでもないことを、すぐ冷静になって気が付きました(笑)。

5年目にはなかった写真付きの報告書の見栄えに、一瞬好感を持ちましたが、この写真が点検内容の質を証明するものでもないことを、すぐ冷静になって気が付きました(笑)。

5年目の点検表とよく比較してみると、確実に点検項目が減っていることが分かりました。

もしかしたら、5年目と9年目で点検すべき項目が、そもそも違うのかもしれませんが、これは点検内容があっさりしていると感じるのも仕方ありません。

大いに主観的な感想も含まれていますが、5年目と9年目の点検では、こんなに違いがありました。5年目の点検がしっかりしていただけに、9年目の落差も大きく感じるのかもしれませんが…。

大いに主観的な感想も含まれていますが、5年目と9年目の点検では、こんなに違いがありました。5年目の点検がしっかりしていただけに、9年目の落差も大きく感じるのかもしれませんが…。

さらに、太陽電池を固定しているボルトやビスのゆるみや錆などの点検項目が、○となっているのも疑問です。すぐそばで見守っていた様子では、とても点検できるとは思えません。一体どうやって異常がないと判断したんだろうと不安に感じてしまいました。

どちらかというと、5年目よりも9年目のほうがボルトのゆるみや錆などの不具合は出てきそうな気がするのに…。

次の点検は6年後の15年目なので、かなり先です。屋根の上は、さすがに自分で登って確認することができませんが、せめて発電量のチェックや雨漏りが出ていないかなど、可能な範囲でセルフチェックを欠かさないようにしていきたいと思います。

TAG

記事に登録されたタグ

読者アンケート

この記事の感想

※コメントはイエマガ内で掲載させていただく場合がございます。

性別

年齢

ニックネーム

家づくり日々勉強!一覧に戻る

連載記事

連載一覧を見る

PAGE TOP