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まっしん はやぶさ さん
関西から関東に転職を機にお引っ越し。関西で暮らしていた分譲の戸建ては賃貸に出すものの、住宅ローンの支払いは赤字に…。さらに関東での家賃も加わって…。
それならば!と、2軒目の家を建てることに。住宅ローンをできるだけ抑え、かつ、土地も建物も満足のいく家づくりに挑戦されました。コストを抑えるコツ、納得のいくまで調べられた知識をこの連載にまとめていきます。
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イラスト:天野勢津子さん
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費用面でわが家の選択肢としては難しいものの、、屋根に穴を空けない太陽光発電の設置方法をいろいろと調べた前回。いろいろ質問していた業者さんから、衝撃的な言葉を聞かされました。
「残念ながら、まっしんさまの屋根には既にたくさんの穴が空いております」
なんと、わが家が採用しているスレート屋根の場合、施工時に屋根に何十本もの釘を打って固定していると言うのです。
わが家の屋根に穴が空いているなんて、まったく想像できなかったので事実をすぐに受け止められませんでした。その業者さんは、屋根に穴を空けないことに、いまさら気を使っても仕方がないと伝えたかったようですが、少し調べてみると若干意味が異なることがわかって冷静になりました。
確かにわが家のスレート屋根は、施工時に釘を使って固定しているようなのですが、釘頭は屋根材を重ね合わせるところに隠れています。通常雨水が上から流れてくる限り、雨水は穴の空いている釘の頭を通りません。
しかし、太陽光の設置のために新たに取り付けるビスは、屋根材の上にビス頭が露出するので、雨水が直接常に触れることになります。これでは、かなり状況が違います。
ただ、台風による雨水の逆流や、屋根材の破損などで、元々打ってある釘の部分が雨漏りの原因になることもあるので、油断はできません。 この業者さんの説明は誤解を招く内容だなぁと感じたものの、太陽光の取り付け前の現状の理解と覚悟を固める良い機会となりました。
穴を開ける施工の不安を抱えたままで、何度か現地調査も体験しましたが、不思議だったのは業者によって調査のポイントが、まったく違ったことです。
屋根に登って詳細な寸法を図る、遠目から家の周りを眺めておしまい、屋根裏を点検する…。特に興味深かったのが、屋根裏の点検の仕方でした。
すっかり、屋根裏に登っていろいろと細かく点検するのかと思っていたら、頭だけを屋根裏に入れて軽く目視で確認した後、スマホで写真を数枚撮るだけです。
そんな簡単な点検だけで知りたいことってなんだろうと疑問に思い、質問してみたところ、野地板の材質を確認していたと回答されました。
OSB合板やパーティクルボードと呼ばれる木材のかけらを接着剤で固めた木質ボードを野地板に使っている場合、野地板にビスを打つ工法の施工基準に合わない場合があるそうなのです。
わが家の仕様を検討していたときに、野地板の材質なんてまったく関心がなかったのですが、まさか太陽光発電システムの施工に関係するとは思いもしませんでした。施工業者によると、パーティクルボードを採用しているケースに、結構遭遇するそうです。わが家は、メーカー施工基準に問題のない合板だったため、野地板での固定方法に問題がないとのことでした。
では、その野地板に固定する方法とは、どのような方法なのでしょうか?
当初は金額ばかりで見比べていたのですが、同じメーカーの同じ太陽光発電システムでも、販売業者によって施工方法の提案内容が違うことに気が付きました。
もはや屋根に穴を空けることは避けられないと覚悟したものの、なるべく家を傷つけない施工方法を選びたいところです。 最も気になっていたメーカー指定は、
・細長い金具に11本ものビスを打つアンカー架台方式
・四角い金具に5本のビスを打つスレート架台方式
という2種類の施工方法でした。
アンカー架台方式を提案する業者のほうが少し安い場合が多かったのですが、スレート架台方式の二倍以上のビスの本数で、穴をたくさん空けるのには抵抗があります。 ただし、アンカー架台方式は、11本中いずれかのビスが、垂木と言われる野地板よりも分厚い木材の部分に当たるので、強固に固定されるそうなのです。
当然ながら、どの業者さんも大丈夫と言ってくれるのですが、とある営業さんが見せてくれた金具の施工例写真にギョッとしました。それは、屋根裏に長いビス先が何本も貫通して出ている様子を写した写真です。 穴がたくさん空いていること自体もインパクトがありますが、こんなにビスの先がブラブラ露出しているようですと、大きな力に耐えられそうにないイメージです。
もしかしたら、野地板の厚みが不十分なためたくさんのビスを打つのでしょうか。
確かに、この施工方法であれば、野地板の材質が重要であることに納得ですが、わずか12mm程度の野地板の強度だけに頼って本当に大丈夫なのでしょうか。
屋根裏にビスが貫通してしまう「野地板施工」には、他にも不安な点がありました。露出したビス頭の金属が、気温との温度差で結露を起こしてしまう場合があるそうです。雨漏りしていなくても、周囲の野地板を劣化させるほどの結露水が広がるトラブルもあるようでした。 そんなことを調べていると、「垂木施工」という施工方法を知りました。
垂木施工は、455mm間隔で取り付けられている野地板や屋根を支える構造材である垂木に、必ずビスが当たるるように施工する方法です。この方法なら、ビス頭が野地板の裏に露出することがないので、厚みのある垂木にしっかり締め付けて固定され、結露の心配もなさそうです。
この垂木施工はとても魅力ある施工方法でしたが、さまざまなメーカーと施工業者の見積もりを選ぶうちに、性能と価格面に関心が奪われてしまい、いつの間にか施工法にこだわることを諦めてしまっていました。工法よりも希望のメーカーを優先させたのです。しかし、太陽光設置後5年目に驚くべき事実が発覚します。
点検後に「屋根裏に出ているビスは一本もありません。全て確実に垂木にガッチリ止まっています」という説明を受けて、ハッとしました。
なんと、わが家の施工方法は垂木施工だったんです(笑)。 よくよく見ると、施工時の金具の取り付け間隔も垂木の位置に沿って等間隔で並んでいます。設置に使われた金具は、たくさんありましたが、金具ごとに2本のビスのみとビスの本数も最低限です。
正直、施工後の雨漏りが心配で何度か屋根裏に登って確かめていたのですが、急に肩の荷が下りました。読者の皆様は、こんなことがないよう、事前によく施工仕様をご確認くださいませ。なんだか、太陽光発電のお話が終わってしまったような感じですが、あと1回続きます。
〜編集後記〜
雨漏りについて気になっていた前回に続き、具体的にどのような方法で施工されるのか調べました。ラッキーにも安全性の高い垂木工法で施工されていたまっしん家ですが、太陽光発電の施工法は見落としがちですね。ぜひご参考に。
次回は、最終的に選んだメーカーと購入時の金利、思いの外早い!?初期投資の回収予想年数をお届けします。
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