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家づくりの理想と現実台風で床下浸水の被害に
家づくりの理想と現実台風で床下浸水の被害に

やっこ さん

30代の主婦であり、エンジニアとして働く会社員でもある。2014年に、1階にご主人の両親、2階にやっこさんご家族(ご主人+男児2人)が暮らす二世帯住宅を建てる。

家づくりの完成までの記録にとどまらず、完成後には図面では解らなかった使い勝手・デザインへの感想、また使いやすくするための細やかな工夫等の情報を公開し、新築を検討中の人たちに人気のブロガーさんです。

blog http://iemonokoto.blog.jp/

近年、大規模な水害が毎年のようにどこかで発生していますが、実はわが家の地域でも昨年、大雨による河川の氾濫で周辺地域一帯に浸水などの被害が発生していました。

今回は、その洪水による家への被害と、家づくりにおける反省点について書いてみたいと思います。

わが家の地域では、過去にも川の氾濫が数回発生しており、まさに「水害リスクの高い地域」。 そのため、多くの家が道路面から1メートル以上盛り土した高い位置に建っており、夫の実家である建て替え前の旧居も同様でした。

そして新居に関しては、水害への対策をより盤石にしたい!と考え、旧居が建っていた地盤面よりもさらに15センチほど盛り土をした上に家を建てたのです(外構の回でも書いた通りです) 。

この「15センチ」という高さは、数回の水害の経験をもとに「このくらいまで上げれば大丈夫だろう」と考えて出した数字でした。

「たった15センチ?」と思われるかもしれませんが、それでも完成後に「結構高く上げたね〜」と言われるくらい、近隣の他の家よりもグッと高い位置にわが家は建っています。

それでも…昨年の河川の氾濫では想定していない高さまで水が達し、わが家も床下浸水の被害を受けてしまったのです。

水の高さは道路面からは2メートル弱、家の土台部分を少し上回り、土台と外壁の隙間から浸水して床下に10センチほどの泥水がたまりました。

幸いにも床下にある換気設備はギリギリ浸水を免れ、屋外にある室外機やエコキュートなどの設備も、水没はしたもののその後正常に稼働させることはできたため、「家」そのものへの金銭的な被害はほとんどありませんでした。

車は水没で廃車、庭の物置に置いていたものはほとんどが廃棄処分となりましたが… 。

同じ地域の他の家は軒並み床上浸水の被害だったため、まさに「15センチ」上げたことで被害は最低限に抑えられたと考えてよいのではないでしょうか。たとえわずかでも地盤面を上げておいたのは大正解でした。

とは言え、「これだけ上げても床下には浸水してしまった」という事実はやっぱりショックで…。

過去の経験からは推測できない規模の災害が頻発しているこのご時世、家づくりにおいて「リスクゼロ」を目指すというのは難しいんだな〜ということも痛感した今回の水害でした。

ちなみに、床下にたまった泥水ですが、わが家の基礎はベタ基礎のため自然には排水されないつくりとなっています(ハウスメーカーによってはベタ基礎でも底部に水抜き穴を設けている場合もあるそうです) 。

そこで、排水のために使用したのが、風呂水ポンプ。 コンセントから電源を取って、風呂の残り湯を洗濯機に給水するポンプです。

ポンプ側を床下にたまった泥水に入れ、電源を入れるとジャカジャカと排水してくれます。 大半の水はこれで排水できたので、後始末は比較的スムーズに進みました。水害の多い地域では1〜2個常備しておいたほうがよいマストアイテムだと思っています。

ポンプで吸えなくなった後は床下に潜って古タオルで直接拭っていきましたが、その際にはヘッドライト(両手が自由になる)や台車(腹ばいになってスムーズに動ける)なんかもお役立ちアイテムでした。

ヘッドライトは停電時も役立ちますし、やはりこれもマストの防災アイテムですね。

そして、水害を経験した後で、家づくりを振り返ってみて思うことは2つ。

まず、痛恨のミスだったのが、家屋の地震保険に水災補償をつけていなかったこと。 「え?水害リスクの高い地域なのにどうして水災補償をつけなかったの?」と思われるでしょう…。

なぜかというと、(保険会社により異なるのかもしれませんが)水災に対して保険金が支払われる条件に「地盤面より45センチを超えて浸水した場合」というものがあったからです。

この条件って、被害認定の程度としては結構ハードルが高いですよね。上述のように15センチ地盤面を上げたこともあり、過去に経験した水害の規模も踏まえると「さすがに45センチを超えて浸水することはないだろう」と新築時は考えたのです。

水害自体は発生するだろうし損失が発生することもあるかもしれない。でも、保険金支払い条件を超えるような水害はさすがに発生しないだろうというのが当時の判断でした。ですが、今回の水害はそれらの想定を超え、水の高さは地盤面から45センチを若干ながら上回りました

家本体や設備への物理的な被害は免れたため、今回はギリギリセーフでしたが、もしあと少しでも水が来ていたら金銭的にも大きな損害を受けていた可能性もあったわけです。水災補償をつけていない状況でそうなっていたら…想像するだけで震えてしまいます

昨今の災害規模は、これまでの経験値では推測できない以上、少しでもリスクがあるならば、水災補償は絶対つけるべし。というのがこの度の教訓となりました (直後の契約更新のタイミングで水災補償をつけました!!) 。

そして、もう1つは、地域特有でリスクの高い災害への対策に関しては、ハウスメーカー担当者よりも(自分自身も含め)地元の人の肌感覚を重視すべしということ。

地域密着の工務店などではまた違うと思いますが、ある程度の規模で展開しているハウスメーカーでは、営業担当者や設計担当者が、家を建てようとしている地域の出身ということはほとんどないと思います。なので、災害への危機感を必ずしもこちらと同じレベルで共有してくれるわけではありません

わが家の場合も、地盤面を上げたいという要望に対し、ハウスメーカー側は当初あまりピンと来ていなかった様子でした。

わが家の少し後に建てた近所の家では、「もっと地盤面を上げて欲しい」と要望しても「このくらいで大丈夫ですよ」とハウスメーカー側の判断で、あまり嵩上げできなかったという話を聞きました(そちらのお家は床上浸水の被害を受けてしまいました)。

確かにハウスメーカー側は家づくりのプロではありますが、地域特有の災害リスクに関してはやはり土地勘のある人の感覚の方が絶対に正しいと思います。たとえ難色を示されても、災害対策として必要だと感じることはきちんと主張してプランに盛り込むことを強く強くおすすめします。

昨年は、水害だけでなく台風による3日間の停電も経験したわが家。とっても大変でしたが、一方で防災に対する意識やリテラシーがこれまでになく高まった1年でもありました。

またこれから台風や大雨のリスクが大きい季節がやってきます。これまでの経験を前向きにとらえ、気を引き締めて万全の備えで乗り切っていきたいところであります。

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2020年9月16日
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