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「 家づくり日々勉強!」 バックナンバー

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築10年  かし保険を延長する【家づくり日々勉強 71】

2022.11.30

【執筆者プロフィール】

まっしん はやぶさ さん

関西から関東に転職を機にお引っ越し。関西で暮らしていた分譲の戸建ては賃貸に出すものの、住宅ローンの支払いは赤字に…。さらに関東での家賃も加わって…。

それならば!と、二軒目の家を建てることに。住宅ローンをできるだけ抑え、かつ、土地も建物も満足のいく家づくりに挑戦されました。コストを抑えるコツ、納得のいくまで調べられた知識をこの連載にまとめていきます。
https://blog.kisekinomyhome.com/

イラスト:天野勢津子さん
https://amachakoubou.com/

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新築10年間は、補償の心配はいらない

新築住宅には、住宅品質確保法で10年間の保証が義務付けられています。しかし、わが家が依頼したような地域の工務店の場合、建てた後に工務店が倒産してしまったら保証が受けられないのでは?という心配になる意見を家づくりの当時によく見かけました。

実は、2009年10月から、工務店やハウスメーカーなどに対して、「保証金の供託」または「保険加入」を義務付ける「住宅瑕疵担保履行法」が施行されたことで、万一工務店が倒産しても保証会社や保険会社から補償を受けることができるようになっています。

このため、わが家が建てた当時でも、新築後の工務店の倒産による補償がなくなる心配はなかったのですが、過去のイメージが強く残っていたように思います。

とはいえ、新築から10年なんて、本当にあっという間です。ちょうど、築10年を迎えたばかりのわが家ですが、むしろ保証が重要なのは、経年の影響であちこちに不具合が出てきそうなこれからではないかと感じています。

今では、ハウスメーカーや工務店でも30年〜60年の長期保証を付けるのが、当たり前になってきているのも納得です。

では、わが家のように、10年保証のみで建てた場合は、もう保証に頼ることができないのでしょうか?

10年保証の対象

保証というと、住宅の何もかもが保証されると誤解されがちですが、住宅品質確保法で10年保証されるのは、次のような項目に限られます。

【住宅品質確保法で保証を義務付けられた箇所】
・住宅の基礎や壁、柱、梁など構造耐力上主要な部分
・屋根や外壁、開口部など雨水の侵入を防ぐ部分

わが家の保証内容を確認すると、品確法と同様に構造と防水に関わる部分だけが、10年間の保証となっていました。

わが家の保証内容を確認すると、品確法と同様に構造と防水に関わる部分だけが、10年間の保証となっていました。

その他の部分は、ほとんどが2年が保証期間の限度になっていることを、わが家は工務店との契約のその場で初めて知り、下調べ不足を痛感しました。

住宅会社によっては、もっと幅広い範囲で長期保証を提供している場合もあると思いますが、納得して契約できるよう、事前によく確認しておくことをおすすめします。

ちなみに、施工会社による不法行為が認められる場合は、最長で20年間まで責任追及できるようです。このような知識が役に立つ必要がないことを願いたいですが、法律によって住宅取得者が保護されていることを理解しておくと、安心できると思います。

引き渡し時の保険内容は、壁・床・建具・設備諸々の保証は、2年となっていました。

引き渡し時の保険内容は、壁・床・建具・設備諸々の保証は、2年となっていました。

10年保証をさらに10年延長できる

調べて見ると、築10年以降も最長10年間保証を延長できる『延長かし保険』という制度があることがわかりました。

取り扱う保険会社によって、細かい内容が違う可能性がありますが、大まかには次のような延長の選択肢があります。

(A)10年延長プラン(保険空白期間なし):築9〜10年の間に点検・メンテナンスを実施することで、保険の空白期間がなく、10年の延長が可能で安心感があります。ただし、この時点で劣化が見られない場合、メンテナンス費用がもったいなく感じるかもしれません。

(B)10年延長プラン(保険空白期間あり):築11〜15年の間に点検・メンテナンスを実施することで、実施時点から、10年の延長が可能です。劣化状況に合わせてメンテナンスを実施してから延長できる一方で、一時的に無保険期間ができてしまうことが少し心配です。

(C)5年延長プラン(1回目):築9年時に点検することで5年の延長が可能です。メンテナンスが不要なため、最も最小限の費用で済みます。

(D)5年延長プラン(2回目):1回目の5年延長プランの後に更に5年間延長する場合に利用するプランです。このプランでは、築11〜15年の間に、点検とメンテナンス工事が必要となりますが、メンテナンスが早すぎるということにはならないでしょう。

なお、最近では、30年以上の高耐久性能を持つ外壁材やシーリング材が採用される住宅が増えていますが、この場合でも、5年延長プラン(1回目)以外でのメンテナンス工事は必須となるようです。

5年延長プラン【1回目】以外では、必ず必要な必須メンテナンス工事では、高耐久で長寿命な外壁塗装やシーリング材を利用している場合でも、塗装や打ち替えが必須となります。

5年延長プラン【1回目】以外では、必ず必要な必須メンテナンス工事では、高耐久で長寿命な外壁塗装やシーリング材を利用している場合でも、塗装や打ち替えが必須となります。

わが家の5年延長の内容と点検

悩んだ結果、わが家は9年目に点検のみで5年の保険を延長できる(C) プランを選びました。

わが家は、サイディング外壁のシーリングに高耐久タイプを採用していませんが、塗膜は15年前後の塗装がメーカーの推奨情報なので、9年目で塗装するのは、もったいないのも理由です。

15年目までに外壁塗装をした場合は、さらに(D)5年延長プラン(2回目)の利用を検討したいと思います。

ただし、そもそもわが家は、この延長かし保険を利用できるのかどうか心配な理由がありました。

引き渡し後に、屋根に穴を空ける太陽光発電パネルを後付したのですが、屋根の防水に関する10年保証は外れてしまう(第28回)と聞いていました。

また、同様に外壁に穴を空けるテラス屋根の施工を2箇所(第55回第70回)も行っています。この工事も外壁の施工箇所の防水保証は対象から外れることを、確認していました。

このため、既に何箇所も防水保証が切れている状態で、保証を延長することなどできないのでは、と思ったわけです。ところが、確認してみると、全く予想外の回答がありました。

なんと、一度保証を外れてしまった太陽光とテラス屋根の施工箇所も、点検と検査での指摘がなければ、5年延長の保証範囲となるそうなのです。

ただし、あくまで設置不良が原因の場合で、製品の劣化による雨漏りの場合は保証対象外になります。正直、施工箇所以外の保証だけでも延長できればと考えていたので、これは、かなり嬉しい誤算です。

保険会社によって対応が異なる可能性がありますが、後付リフォームで、保証が外れて心配な方は、検討してみてはいかがでしょうか?

当初、一度の点検のみで良いと勝手に思い込んでいたのですが、施工会社の点検の後に、保険会社による検査という二段階の現況の確認手続きがあります。

当初、一度の点検のみで良いと勝手に思い込んでいたのですが、施工会社の点検の後に、保険会社による検査という二段階の現況の確認手続きがあります。

顔が知れている工務店のスタッフによる、和気あいあいの雰囲気の中でしたが、細かな点検項目がリストアップされているマニュアルに従って、点検自体はしっかりと見てもらえたと思います。

(写真上)外壁の東面のシーリングは、まだひび割れは出ていませんが、工務店の現場監督によると、かなり痩せてきているとのことでした。

顔が知れている工務店のスタッフによる、和気あいあいの雰囲気の中でしたが、細かな点検項目がリストアップされているマニュアルに従って、点検自体はしっかりと見てもらえたと思います。

(写真上)外壁の東面のシーリングは、まだひび割れは出ていませんが、工務店の現場監督によると、かなり痩せてきているとのことでした。

南面のシーリングに出ていた細かいひび割れが、保証に影響しないか心配でしたが、今回はギリギリOKでした。

南面のシーリングに出ていた細かいひび割れが、保証に影響しないか心配でしたが、今回はギリギリOKでした。

最終検査では自宅の傾きまでチェック

保険会社の担当者による最終検査は、和やかだった工務店の事前点検と比較して緊張感がありました。

心配していた、南面の外壁の小さなひび割れは、今回の延長には問題はないとのこと。ただし、5年後の延長はメンテなしでは無理だろうとのことですが、必須メンテナンス工事なので当然でしょう。

また、後付の太陽光やテラス屋根の工事も問題なく、無事保証に加えてもらえることになりました。

さらに、工務店の事前点検時にはなかった、レーザーポインタによる建物の傾き検査がありました。

わが家の工務店は、新築時の傾きの誤差がかなり少ないらしいのですが、9年目の現在でも新築時同様の誤差レベルになっているので、まったく問題ないと嬉しいお墨付きをもらいました。

わが家は構造用合板に加えて、一階にたくさんダブル筋交い(第49回)を入れた効果が確かに出ているのかも。

この機器で、家の傾きを検査します。

この機器で、家の傾きを検査します。

5年延長の費用と保険支払の仕組み

検査の結果、無事問題なく5年延長ができることになりました。延長にかかる費用は、わが家の場合税込54,400円です。万一の場合、2,000万円までの保険金が支払われます

保険会社のパンフレットの価格表と実際の支払い金額が微妙に異なりました。施工会社が団体契約をしていることで、割引が受けられることがあるようなので、あくまでパンフレットの金額は目安として、金額はよく確認しましょう。

ちなみに、施工会社が存続している場合は、保険金はあくまで施工会社に対して支払われます。万一、施工会社が倒産した場合などに限って、住宅取得者に保険金が直接支払われるようです。

また、施工会社に支払われる場合は、免責金額10万円を引いた金額の80%までが保険金として支払われ、その残りは施工会社が負担することになります。このため、施工会社が20%部分の責任やリスクを追うことになります。なので、施工会社による点検が必要なのでしょうね。

一方で、施工会社が倒産し、住宅取得者に保険金が払われる場合は、100%の金額が支払われますので、住宅取得者は保護されており安心な制度です。ただし、施工会社が倒産しておらず、故意や重過失が原因となっている場合は、保険金の支払いがないようです。

内訳は、
延長保険料31,000円※消費税無
検査料  23,100円(税込み)
合計 54,400円
となります。

内訳は、
延長保険料31,000円※消費税無
検査料  23,100円(税込み)
合計 54,400円
となります。

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