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2023.08.18
【執筆者プロフィール】
まっしん はやぶさ さん
関西から関東に転職を機にお引っ越し。関西で暮らしていた分譲の戸建ては賃貸に出すものの、住宅ローンの支払いは赤字に…。さらに関東での家賃も加わって…。
それならば!と、二軒目の家を建てることに。住宅ローンをできるだけ抑え、かつ、土地も建物も満足のいく家づくりに挑戦されました。コストを抑えるコツ、納得のいくまで調べられた知識をこの連載にまとめていきます。
https://blog.kisekinomyhome.com/
イラスト:天野勢津子さん
https://amachakoubou.com/
今回が最終回になります
突然ですが、この「家づくり日々勉強!」の連載を今回で最終回とさせていただくことになりました。2017年3月に連載を開始して以来、なんとかれこれ6年以上もお世話になってしまいました。
わが家は、2012年8月に建てた家が、この8月で丸11年を迎えますが、今では決して性能も高くないと言われる仕様ながらも、とても快適に過ごすことができています。
この喜びと感謝の気持ちで、いろいろと経験した家づくりの体験をこれまでご紹介してきましたが、家づくりという形では、一旦ここで一区切りとさせてください。
編集部からは、また何か書けることがあれば、記事を追加しても良いと嬉しいお言葉をいただいているので、これから経験できるお家のお手入れや新たな発見がありましたら、またお会いできればうれしいです。
さて、この最終回は、この連載にふさわしく最も神経を注いできた建築費のお話です。
今建て直したら費用はいくらか?
前回まで、わが家の工務店にお聞きした最新の注文住宅事情をご紹介してきていましたが、11年前からの注文住宅事情の変化で最も気になっているのが建築費事情です。
そこで、わが家の工務店に無理をお願いして、当時の我が家と同じ家を現在の条件で建てたらどうなるかを見積もりしてもらいました。
本邦初公開となる、わが家の建築費とともに、通常あまり見ることのできない、現在の工務店のリアルな見積書をご紹介しますので、ぜひご覧ください。
まさかの総額約1.6倍!?
わが家は、当時約30坪の家を1500万円以下(第3回)で建てられる工務店探しにかなり苦労しました。実は、この連載でも明らかにしていなかったのですが、結果的に、30.8坪の家を約1362万円(税込)で建ててもらうことができました。
固定階段式の小屋裏収納や吹き抜け、電動シャッターなどの贅沢仕様を含めて、この価格は当時でもほぼ奇跡の条件でした。
もし、わが家が今のタイミングで注文住宅で同じ家を建てようとしたら、建築費はいくらになるでしょう?
一部、細かなオプション工事費は当時の価格のままなので概算となりますが、現在の標準仕様をベースに見積もっていただいた金額は、約2164万円(税込)となりました。
なんと、わが家が建てた価格の約1.6倍です。
金額では、約800万円も増加しています。コストパフォーマンスの高い我が家の工務店でも、ここまで建築費が高騰しているのですから、注文住宅で建てられる人が明らかに減っているという工務店の実感も、当然のことだろうと思います。
しかし、ローコスト系のハウスメーカーでも、この仕様で現在2500万円を超えるのが相場と言われるところ、この金額で抑えるには、かなりの苦労があるそうです。
坪単価の比較
当時は、本体建物金額に多くの項目が含まれていたのですが、最新の見積もりでは別費用となっていました。逆にエコキュートや16mmサイディング、Low-eガラスなど、わが家がオプションで追加したものが建物本体に含まれているため、どちらもそれぞれ含んだ状態を③実質建物本体金額として計算してみています。
坪単価を算出してみると、当時は延床面積で換算で、約42.6万円でした。
当時、45万円でローコスト住宅と言われていたので、まさに相場通りですが、この価格としては充実している仕様でした。しかし、最新の見積もりでは坪単価約67万円と、当時の中堅ハウスメーカーの価格帯です。
ということは、当時の中堅ハウスメーカーで建てられる程度の予算を持っている方でないと、現在はわが家の工務店で建てるのは難しいということを意味しています。当時とは、訪れるお客様の層も変化しているのでしょうね。
合計金額では、約800万円の差が出てしまいましたが、せめてもの救いは、現在の見積もりは、あくまで概算で機械的に作成したものであることです。
わが家も当時の最初の概算見積もりでは、予算を大幅にオーバーしたところからの商談のスタートでしたので、このような初期の概算見積もりは、あくまで目安と思って粘り強く相談してみるとことをおすすめします。
仕様の詳細比較
わが家が実際に建てた仕様書がこちらです。断熱材は、アクアフォームと高性能グラスウールで少しコストダウンをしつつ、16mmサイディングやLow-eガラス仕様にカスタマイズしてもらいました。
当時は、当然のようにアルミサッシでしたが、どこに行っても同じなので、特に疑うこともなく契約条件に不満はありませんでした。
こちらが、現在の最新仕様書です。
建築費の高騰とニーズが増えていることから、わが家が採用した現場発泡ウレタンの断熱材を標準仕様とした標準プランが、セルロースファイバー標準とは別に設けられています。
現在は、ダルトフォームという現場発泡の断熱材を採用されています。
住宅の基本構造は、大きく変わっていませんが、やはり樹脂サッシが標準となっているのが大きい変化だと思います。わが家のような準防火地域にも対応できる樹脂窓も選べるようです。
取材協力:株式会社アコルデ https://www.akorude.jp
インスタグラム https://www.instagram.com/akorude.jp/