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2021.05.12
【執筆者プロフィール】
まっしん はやぶさ さん
関西から関東に転職を機にお引っ越し。関西で暮らしていた分譲の戸建ては賃貸に出すものの、住宅ローンの支払いは赤字に…。さらに関東での家賃も加わって…。
それならば!と、二軒目の家を建てることに。住宅ローンをできるだけ抑え、かつ、土地も建物も満足のいく家づくりに挑戦されました。コストを抑えるコツ、納得のいくまで調べられた知識をこの連載にまとめていきます。
https://kisekinomyhome.blog.fc2.com/
イラスト:天野勢津子さん
https://amachakoubou.com/
前回、太陽光パネルの設置工事をご紹介したばかりですが、現在既にこのパネルを設置して8年以上経過しています。ちょうど、2021年末に当時借り入れた8年の太陽光ローンの支払いが終了したところなので、ここまでの成績を振り返ってみたいと思います。
わが家の太陽光の条件
8年前は、まだ太陽光発電の固定買取制度の売電単価が高く、現在に比べると、かなり恵まれた条件で契約することができたのですが、周辺環境含めた条件は次のようになります。
●太陽光パネル出力:カナディアンソーラー6.4kw(パワコン5.5kw 一台 過積載※第30回)
●固定買取価格:42円/kWh(余剰買取10年間)
●設置時期:2012年12月
●屋根方向/勾配:南向き/4寸勾配
●建物:2階建て/4LDK/延床面積30.8坪
●玄関・サッシ断熱仕様:玄関断熱仕様K4、アルミサッシ/Low-Eペアガラス
●換気システム:第3種換気
●断熱仕様:壁断熱 アクアフォーム80mm/天井断熱 高性能グラスウール150mm/床下断熱 ミラフォーム65mm
●給湯:エコキュート370L(オール電化)
●地域:神奈川県茅ヶ崎市
●住人(2021年3月現在):私(50歳)、妻(50歳)、長男(21歳)、次男(18歳)
このように決して高断熱・高気密ではない、この住宅仕様でどのような成績となったのかを御覧ください。
ゼロ・エネルギー住宅!?
早速結論ですが、緊急事態宣言が発令され在宅勤務の影響が響いた2020年を除き、電気料金と太陽光発電システムのローンを支払っても、太陽光売電でプラスとなる成績が7年間続いていました。
2020年は、実質負担が月平均1000円ほど発生したことになるものの、太陽光発電のおかげで、大幅に電気料金負担が削減されていることは変わりません。
ということは…消費したエネルギーを発電したエネルギーが常に上回っていたというわけで、わが家はある意味ゼロ・エネルギー住宅と言えます(笑)。
前述の通り、ローコスト住宅仕様に太陽光パネルを搭載しただけで、ZEH住宅認定(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の認定は受けていませんが、実質的には満足のいく結果になりました。
ただし、売電収入で電気料金を相殺できるだけの効果があるのは、固定買取制度(FIT)が続く10年目までだけです。期間が終了した「卒FIT」の家に勧められる蓄電池も、まだまだ高価なので、夜中に給湯しているエコキュートを昼間の太陽光発電で動作させるように切り替えて、電気料金を安くする方向に今は興味を持っています。
家族の変化の予測が難しい
太陽光発電の導入を検討した当時は、どの施工会社も発電量の細かなシミュレーションをしてくれましたが、10年以上同じ電気の使用量が続く前提で計算されていました。
しかし、8年前に13歳の長男と10歳の次男だったのが、今や二人とも大学生です。考えてみれば、家族の電気の使用量がずっと同じなはずはないですね。やはり、わが家の8年間の電気使用量にもしっかりこの変化は現れています。
発電量も当初より低下傾向にありますが、2020年の発電量は最も発電した2013年の91%程度です。一方、消費した電気の量は、なんと1.8倍にも増えてしまいました。
2020年は、ステイホームで特別に消費量が増えたので、前年の2019年で見ても1.5倍以上になっています。
当時は発電量のことばかり気にしていましたが、売電量の低下には電気の使用量が増えた影響のほうが効いています。子どもの成長やライフスタイルの変化に伴う電気の使用量を予測するのは難しいですが、電気の消費量は増えていくと想定しておいたほうが良いかもしれません。
初期投資回収年数
8年経過した現在での収益を計算してみたところ、売電収入総額は約250万円、そこからローン支払い総額と最初に払った自己資金を差し引いても、約91万円ものプラス収入が得られていました。さらに、8年間の電気料金約60万円を引いても、約30万円残ります。
詳しい収支表を見ると、2017年11月に売電収入の累計が実質負担額を上回っていました。
契約時の回収見通しの約5.2年(第30回)は半信半疑でしたが、結果は4年10カ月とさらに短縮!最初に提案を受けた15年で回収の見積もり(第27回)と比べると、なんと3分の1以下になりました。
5年以下で回収できたということは、固定買取期間の残りの5年間の売電はすべて収入ということになります。
残念なのは、ステイホームの生活で、昼間の太陽光発電の自家消費がかなり増えたため、2020年の売電実績が、初めて年間30万円を下回り約26万円代まで低下したことです。
固定買取期間の残り2年間で、少しでも売電収入を伸ばしたいところですが、この4月からは次男も大学生になって、在宅率が高まりますので、わが家の卒FITまでの2年は厳しい戦いが続きそうです。
固定買取単価がかなり下がった現在は、このような収支を目指すことは難しいと思いますが、過積載の6.4kw海外製パネルで、どのくらいの発電量が出るかという点で参考になれば嬉しいです。