
2023.04.14
【執筆者プロフィール】
tiu さん
ある日、格安の土地を見つけて、新築計画をスタートしたところ、思わぬトラブルで一度断念することに。改めて始めた家づくりを支えてくれたのは、分離発注での契約を専門とする一級建築士事務所でした。
自由度も高く、すべてを建築業者に任せるより安くつくれるけれど、手間と時間がかかる「分離発注」と自分たちでできることはするという「ハーフセルフビルド」で、憧れの北欧風ハウスが完成しました。
ちょっと他とは違った家づくりのストーリーをこの連載で綴っていきます。
ハウスメーカーに解約され、大海原に放り出されたわが家。2回目の家づくり開始です(前回はこちら)。
2度目のハウスメーカー探し
解約劇があったその日の午後から、さっそく次のハウスメーカー探すことにしました。ある程度の知識を持ってまわるハウスメーカー探しは本当に楽しいです。
今回は、前回の家づくりで分かったチェックポイントや後悔ポイントをしっかり聞いていきました。
「家は3回建てなければ本当のいい家はできない」とはこういうことかもしれません。これが2回も味わえるなんて、もしかしてわが家って超ラッキー!(現実逃避)
この日の最後は大手ハウスメーカーU社です。
外観がおしゃれで低価格帯の家もつくっています。担当の方はたまたま居合わせた店長さん。簡単にモデルハウスを見学してから土地の話をすると、すぐに調査してくれるということになりました。これが新たな展開を生むことになります。
新たなる土地問題(接道問題)が発覚
翌日、U社の店長から電話がかかってきました。
「道路の幅が1.8mないところがありまして、建築審査会が必要な土地でした。専門の建築事務所に依頼する必要があるので弊社では難しそうです。本当に申しわけないです」
やはり、そう簡単にはいかないですね…。すごく良い店長だっただけに本当に残念です。そして、「道幅1.8m」「建築審査会」、また新しい問題が出てきました。
調べてみると、「建物の土地は、道幅4m以上の道路に2m以上接しなければならない(接道義務)」という法律があり、わが家の土地は、そのどちらも満たしていないようです。
さらに「道幅が1.8m未満の場合は、2か月に一度開催される建築審査会で審議が必要」とのことです。たったの2㎝なのに!




メール作戦に変更
もう、ちょっとやそっとのことでは驚かなくなってきているわが家ですが、ハウスメーカーをのんびり回っていては今世では家が建たないと判断し、一級建築士が在籍している建築会社に手当たり次第、相談メールを送る作戦に変更しました。
しかし、返ってきたのは…
「その土地は、お客様のためにならないのでやめておいた方がよい」というものばかり。
そんな中、「そういえば、最初の頃に一級建築士事務所の見学会に行ったことがあったなあ。ダメもとでその建築士さんにも送ってみるか…」と思いつきました。
当時は、一級建築士事務所なんて大豪邸しかつくらない、庶民には縁のない存在と思い込んでいたわが家。そんなところに相談するという選択肢はまったく頭になかったのです。
メールを送ってみると早速回答が。
「工事車両は何とかなりそう。問題は私道。一度見てからお返事させていただきたい」
はじめての前向きな回答に感動。まさに後光がさす救世主が現れたのです。
救世主、一級建築士事務所との再会
数日後、建築士事務所から土地の調査結果の回答が届きました。
「建築指導課に相談が必要ですが可能性はゼロではないと思います。ただし、許可がおりなくてももろもろ費用が発生します」
申請には家や土地周辺の図面の作成が必要で、その金額の見積30万円。建築許可申請が通れば、そのうち20万円は設計費から引いてくれるということで、現実的な料金だと感じました。
もう、ここしかない!事務所を訪ねて仕事を引き受けていただくことにしました。そして、久しぶりにお会いした翌日、2人で本庁の「建築指導課」に乗り込むことになるのです。つづく。