
2023.04.05
【執筆者プロフィール】
tiu さん
ある日、格安の土地を見つけて、新築計画をスタートしたところ、思わぬトラブルで一度断念することに。改めて始めた家づくりを支えてくれたのは、分離発注での契約を専門とする一級建築士事務所でした。
自由度も高く、すべてを建築業者に任せるより安くつくれるけれど、手間と時間がかかる「分離発注」と自分たちでできることはするという「ハーフセルフビルド」で、憧れの北欧風ハウスが完成しました。
ちょっと他とは違った家づくりのストーリーをこの連載で綴っていきます。
土地の接道に5人の所有者がいたとわかった前回から、季節はすっかり冬に。早いもので契約から半年が過ぎていました。家づくりは順調に進んでいましたが、土地の問題は相変わらず進展がないまま。
①「誰が同意書を準備するのか?」問題
家の間取り、建具や壁紙などの仕様もある程度固まり、そろそろ、工事の計画も確定しないといといけない時期になってきました。
ただ、肝心の私道の所有権の問題はいまだ解決していません。そこで久しぶりに不動産屋に状況を確認してみたところ…
「実は、〇〇さん、辞めてしまいまして…」
なんと、担当だった女性スタッフが知らない間に辞めてしまっていました。社長が後を引き継いだようですが、忙しく何もできていない様子。そして、社長の口から衝撃のことばが飛び出します。
「同意書は、ハウスメーカーが取ってくれるんですよね?」
この言葉に、背筋が凍りました。


急遽、三者会談を開催
もちろん、ハウスメーカーの営業マンも寝耳に水。急遽、状況の確認と今後について話し合うことになり、不動産屋社長、ハウスメーカー営業マン、わが家で3者会談を開催することになりました。
本来、私道の通行権の許可をとる担当は不動産屋で、こちらは「同意書待ち状態」だったはずなのですが、建築会社も市役所に建築確認を出すのに同意書が必要ということが分かり、いつのまにか建築会社が用意するものという話にすり替わっていたようです。
話し合いの結果、最終的には不動産屋の社長がしぶしぶ同意書を取ることで元のさやに落ち着きました。


不動産屋とハウスメーカーの営業マンとわが家で話し合うことに。通行の同意書は、当初の予定通り、不動産屋が準備することで話がまとまりました。
②「営業マン入院」問題
それから約2カ月。間取りは完成し、仕様もほぼ確定。一方、土地のほうは相変わらず進展なく、家づくりは完全に宙に浮いた状態になっていました。
そんな時、今度は突然営業マンの携帯がつながらなくなります。
嫌な予感…。ハウスメーカーに問い合わせてみると、
「営業マンが命にかかわる病気にかかってしまい、休職することになりました」
なんと営業マン、突然倒れて緊急入院したみたいなのです。友だちと思うくらい仲が良くなっていたので、家族みんなで心配、と同時にわが家は最後のよりどころを失ってしまいました。
そして、引き継いだのは営業マンの上司である社長。ここからわが家は驚く速さで転落の道を進んでいくことになります。
③「住宅ローンの審査が通らない!?」問題
以前、営業マンにお願いされて準備し、渡していた住宅ローンの申込書。その時、営業マンからは住宅ローンは問題なさそうと回答をもらっていました。
それが、この社長との初めての打ち合わせで一蹴されます。
社長「所有権がない私道ですよね…。この土地の住宅ローンはかなり厳しいと思いますよ」
接道が私道の場合、その所有権の有無が住宅ローンの審査には重要とのこと。
営業マンからちゃんと引き継げていなんだと思い、これまでの経緯を詳しく説明したところ、困惑した顔で確認して後日また連絡するとのこと。
④「工事車両が入れない」問題
社長の話はこれで終わりません。
社長「この土地は、工事車両が入らないので工事は難しいです。手運びになるので300万円以上アップします」
私「営業マンからは、隣に駐車場があるのでそこを借りると聞いていましたが…」
社長「そんな話聞いていませんが、確認するので明日また連絡します」とこの日はいったん解散。
なんだか、わが家が責められてるような…?営業マンとの引き継ぎもできているのか…?
ハウスメーカー解約宣言
そして、翌週の打ち合わせの日。
社長:「やっぱり住宅ローンも工事車両も無理でした。今回はご自身のためにも白紙にされることをおすすめします」
社長からいきなりの解約宣言。いろいろ代案がないか聞いてみましたが、もうこれ以上関わりたくない空気がプンプンしてきます。
もはや、ここまでか。
最後は、双方の契約書を破り、終わりとすることに。
ビリビリビリビリーーー
こんなベタなドラマみたいなラストシーンが本当に起こるなんて…。




今まで仕様を選んだり、規格に合わせて間取りを考えたり、ショールーム回ったり、莫大な時間が走馬灯のように駆けめぐります。
10カ月目、振り出しにもどる
土地問題は行き詰まり、ハウスメーカーには解約され、大海原に放り出されたわが家。次回、改めてハウスメーカー探しを始めたところ、新たな壁に直面します。もうこの土地はあきらめるか、そう家族と話していた時、救世主が現れることに…。