
2023.08.04
【執筆者プロフィール】
tiu さん
ある日、格安の土地を見つけて、新築計画をスタートしたところ、思わぬトラブルで一度断念することに。改めて始めた家づくりを支えてくれたのは、分離発注での契約を専門とする一級建築士事務所でした。
自由度も高く、すべてを建築業者に任せるより安くつくれるけれど、手間と時間がかかる「分離発注」と自分たちでできることはするという「ハーフセルフビルド」で、憧れの北欧風ハウスが完成しました。
ちょっと他とは違った家づくりのストーリーをこの連載で綴っていきます。
第10回 分離発注のお金の流れ
家づくりにおいて切っても切り離せないのが住宅ローン。分離発注の住宅ローンはどんな感じなのでしょうか?今回はわが家の体験談をご紹介します(前回はこちら)。
分離発注は頭金は必要?
頭金ゼロを希望していたわが家ですが、すでに車が買えるほどの現金が消えています。今までに支払った金額がこちら↓


わずかな貯金がみるみるうちに溶けていくので恐怖でしかありません。わが家は、土地に問題があるので特殊なケースではありますが、ある程度の頭金がないと難しかったと感じています。
住宅ローンはいつ入金される?
分離発注の場合、施主が業者に直接工事代金を支払うことになります。わが家の貯金は底が見えている状態なので、資金がショートしないように住宅ローンの入金タイミングをしっかり決めていかなければなりません。
わが家が選んだ住宅ローンは固定金利の「フラット35」。


フラット35の場合、入金タイミングが建物の完成後になるので、それまでに発生する工事費用などは他の方法で調達しなければなりません。そこで登場するのがつなぎローン(つなぎ融資)。
建築士と綿密に打ち合わせた結果、わが家は以下の計画で住宅ローンを組むことにしました。


わが家のつなぎローン計画


繋ぎ融資の金利と手数料
入金タイミングは、つなぎローンが土地購入時、上棟前、完成前の3回。最後にフラット35の入金でつなぎローンの全額と、残りの工事代金を精算する計画です。
つなぎローンの諸費用は、1,900万円を年利2.5%で契約し、代理店などの手数料なども含めて30万円ほどかかりました。「ハウスメーカーだったら払わなくてよかったのに!」と思うとやるせない気持ちになるので、あまり考えないようにします。
ハウスメーカーと違った3つのポイント
わが家には土地の問題がありましたが、無事に住宅ローンもクリア。振り返ると、ハウスメーカーの時とは違い、建築士事務所(分離発注)での住宅ローン契約は大変でした(ハウスメーカーと途中で解約した過去あり)。
その中でも特に大変だと感じた3つをご紹介します。
●その1.営業マンまかせにできない
ハウスメーカーの時は営業マンが、住宅ローンはに関する手続きはすべてやってくれていました。選べる住宅ローン会社も営業マンから提示された中から選ぶべばよいだけ
だったので本当に簡単でした。
一方、わが家の建築士事務所(分離発注)は個人経営だったというのもあり営業マンはいません。建築士さんにも相談はできましたが、ハウスメーカーの時のように手取り足取りというわけにはいきませんでした。
提携している住宅ローン会社はありましたが、必須ではなく施主が自由に選べたので他の住宅ローン会社の比較や、仮審査の申し込みなどかなりの時間を要しました。
●その2.分離発注に詳しくない住宅ローン会社があった
住宅業界では分離発注で家を建てる施主はかなり少数派。住宅ローン会社に「分離発注なんですが…」と伝えても担当者の反応が悪く「一度社内で確認します」と言われることもしばしば。
いくら金利が魅力的でも、わが家は支払いに失敗できないリスクを抱えているので、不慣れな住宅ローン会社はパスせざるをえませんでした。
最終的には、分離発注に精通している建築士が提携している代理店に依頼することに。
●その3.業者への支払いも意識しないといけない
実は、以前契約していたハウスメーカーではフラット35でもつなぎローンは不要でした。完成後に全額を支払う契約だったのです(今思えば良いハウスメーカーだったのかもしれません)。
今回はそういうわけにはいきません。
分離発注は住宅ローンも施主次第
このとおり分離発注は住宅ローンも施主次第。ただ、自由ということは反対に選択肢が広がりすぎて大変ということを身をもって体験しました。
早速、分離発注の洗礼を受けているわが家ですが、次のフローリングの施主支給でもまた一騒動が待ち受けています。