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「 家づくり日々勉強!」 バックナンバー

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もう一度家を建てるなら…仕様編2【家づくり日々勉強 78】

2023.06.28

【執筆者プロフィール】

まっしん はやぶさ さん

関西から関東に転職を機にお引っ越し。関西で暮らしていた分譲の戸建ては賃貸に出すものの、住宅ローンの支払いは赤字に…。さらに関東での家賃も加わって…。

それならば!と、二軒目の家を建てることに。住宅ローンをできるだけ抑え、かつ、土地も建物も満足のいく家づくりに挑戦されました。コストを抑えるコツ、納得のいくまで調べられた知識をこの連載にまとめていきます。
https://blog.kisekinomyhome.com/

イラスト:天野勢津子さん
https://amachakoubou.com/

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断熱材はグラスウールかウレタンフォームか?

わが家では、当時かなり予算が限られていたにも関わらず、最も普及していたコストの安いグラスウールについて迷いがありました。

元々、グラスウールを採用している建売住宅でも十分と考えていたはずなのに、いろいろと工務店やハウスメーカーをまわるうちに、目が肥えてしまったようです。

気になった最も大きな理由は、グラスウール断熱材は施工技術によっては、本来の断熱性能が出ないことがあると言われていたことです。

実際にわが家も天井にはグラスウールを採用しましたが、一部隙間が心配なところがありました。

当時は、袋入グラスウールは隙間ができるなど施工品質のばらつきが出やすく(上)、現場発泡ウレタン断熱材は隙間なく施工(下)できるなどの断熱材の機能性の説明が多く、具体的な断熱性能の数値は意識せずに良し悪しを判断していました。

当時は、袋入グラスウールは隙間ができるなど施工品質のばらつきが出やすく(上)、現場発泡ウレタン断熱材は隙間なく施工(下)できるなどの断熱材の機能性の説明が多く、具体的な断熱性能の数値は意識せずに良し悪しを判断していました。

わが家の工務店は、調湿防音・防虫防火などの特徴を備え、断熱性が高いセルロースファイバーをお勧めしてくれましたが、悩んだ結果、予算の都合で現場発泡ウレタンのアクアフォームにした経緯があります(第4回)。

当時、数値を確認せずに断熱性能が高い低いと考えていたのですが、わが家の矩計図には外壁断熱材の熱貫流率が0.42 W/㎡・Kと書かれています。

現場発泡のウレタンフォームのアクアフォームを壁に80mm厚で施工した場合、熱貫流率が0.42W/㎡・Kとなることが書かれています。

現場発泡のウレタンフォームのアクアフォームを壁に80mm厚で施工した場合、熱貫流率が0.42W/㎡・Kとなることが書かれています。

勝手に、現場発泡ウレタンはグラスウールよりも断熱性能が優れていると思い込んでいたのですが、同じ数式に建築当時工務店からもらった資料を基に16K高性能グラスウールを入れた熱貫流率を比較すると次のようになります。

アクアフォーム80mm施工:
1/(0.080/0.034)=0.42W/㎡・K
16K 高性能グラスウール105mm施工:
1/(0.105/0.038)=0.36W/㎡・K

なんと、壁に施工した状態では数値上は高性能グラスウールのほうが、アクアフォームより断熱性能が高い数値になっていました。

確かにアクアフォームのほうが、素材の断熱性能は高いのですが、現場吹き付けの場合、壁の厚みより断熱材が薄くなります。高性能グラスウールは壁の厚みピッタリのものを詰められるので、厚みが影響して熱貫流率が良い数値となるようです。

グラスウールの施工の心配がなくなるわけではないのですが、このように数値で理解していれば、ウレタンのアクアフォームではなく、安価な高性能グラスウールを選択してよりコストダウンを図ることを考えていたかもしれません。

現在であれば高性能グラスウールで断熱材のコストを抑えて、高性能な樹脂サッシを採用する方法を選ぶのも良いと感じます。

ちなみに、わが家の工務店が採用しているセルロースファイバーの性能値は、高性能グラスウールと同じ熱伝導率なのだそうです。袋入グラスウールと異なり、壁に隙間なく吹き込める工法なので、わが家の工務店でセルロースファイバーが好評なのも納得です。

工務店に当時いただいた書類のなかに、断熱材ごとの熱伝導率の違いが書かれた資料がありましたので、興味があれば当時でも確認することができたんですね。

熱伝導率という数値で、一般的な断熱材ごとの性能が示されており、この数字を利用することで、熱貫流率を計算することができます。ただし、熱伝導率は、実際に採用する製品の数値と一致しているかどうか、確かめる必要があります。
契約前に、このような数値で断熱材を比較した記憶がなく、いかになんとなくの印象で断熱性能の高い低いを判断していたのかを痛感しました。

熱伝導率という数値で、一般的な断熱材ごとの性能が示されており、この数字を利用することで、熱貫流率を計算することができます。ただし、熱伝導率は、実際に採用する製品の数値と一致しているかどうか、確かめる必要があります。
契約前に、このような数値で断熱材を比較した記憶がなく、いかになんとなくの印象で断熱性能の高い低いを判断していたのかを痛感しました。

長期優良住宅が9割!

長期優良住宅の採用を積極的に提案するようになったのは、工務店側の変化の一つだそうです。確かに、10年前はわが家の工務店に限らず、どの工務店でもほとんど勧められず、補助金がもらえる条件が難しいと感じて、わが家は採用を諦めました。

2022年10月1日に省エネ性能基準が引き上げとなっため、以前より高性能な断熱性能とするための費用がかかる一方で、補助金や減税メリットが充実しているためご提案しやすくなったとのことでした。

2022年12月時点で全体の9割が長期優良住宅とのことでした。

わが家の工務店の場合、標準仕様の向上で、長期優良住宅が求める断熱性能は元々クリアしているため、大きな追加費用がかからず認定が取れることもあり、採用しやすいのだと思います。

改正された長期優良住宅では、新設された断熱等級5のUA値0.6をクリアすることが求められます。

わが家は、等級4のUA値0.87でしたが、窓性能の不足を感じて内窓を付けて、大きな不満なく一台のエアコンで家中を暖房可能な断熱性能になりました(第69回)。

自己流で計算したところ、おおよそ現在UA値0.6前後という数値が出たのですが、最初から長期優良住宅の認定(UA値0.6以下)を取っていたら、内窓を取り付けなくても同等の性能が担保されていたということになります。

この性能が約束されて、約100万円の補助金や減税と金利優遇など様々な特典が得られるのが大きな魅力であるだけに、補助金制度の予算の締め切りが近づくに従い、採用意向は減って来ているそうです。

だだし、長期優良住宅で建てることによって、住宅ローン減税対象の借入限度額が、最大となる恩恵があるため、引き続き長期優良住宅は増えていくとみているとのことでした。

以前の長期優良住宅では、断熱等級4が基準でしたが、2022年10月1日の改正で、新設された断熱等級5が基準となりました。
さらに、上の等級6,7がありますが、断熱性能に求められる基準が一段階底上げされたことを意味しています。※地域区分4~7

以前の長期優良住宅では、断熱等級4が基準でしたが、2022年10月1日の改正で、新設された断熱等級5が基準となりました。
さらに、上の等級6,7がありますが、断熱性能に求められる基準が一段階底上げされたことを意味しています。※地域区分4~7

専門的なUA値などによる住宅性能の判断が難しい方でも、長期優良住宅という形で、一定の住宅の性能の担保と取得を後押ししてもらえる環境となっているのは、とてもありがたいですね。

取材協力:株式会社アコルデ
引用ブログ(気密試験)

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