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2023.09.22
【執筆者プロフィール】
住宅proアドバイザーたのさん
30年地域ビルダーに勤務、現在住宅アドバイザーとして個人住宅のコンサルタントとして活動中。長年の経験を生かして、住宅購入を検討する方々に役立つこと、迷うところ、悩むところに寄り添った情報を発信していきます。
親の土地に家を建てるぞ!(1)
住宅の高性能化が進む現代、住宅の取得価格は上昇の一途。住宅ローンの借入額も取得価格の上昇に合わせて高額化が避けて通れない状況です。
そんな時に親の土地を使える人は、まさにラッキー以外の何物でもありません。建築するエリアにもよりますが、総体計画の中で土地取得に費やす費用は大きなものがあります。
そこで今回は、そんなラッキーな環境の人が建築する時にお得という事だけで無計画で建築を進めて失敗することがないように「親の土地で建築する時の注意事項」を解説していきます。
土地の形態で変わる注意事項
一口に親の土地と言ってもその形態によって注意すべきポイントは違ってきます。それでは形態の違う土地とはどんな土地をいうのでしょう。
まず大きく分けると①親の住んでいる土地の一部に建築するパターン②親が所有している土地に家を建てるパターンの2つに分類されます。
親の住んでいる土地の一部に家を建てる時の注意事項
実家の敷地が広く敷地の中にもう一軒家が建つ余裕がある場合に良くあるのが、実家の隣に新築する計画です。親も子どもが近くに住んでくれることで安心感もで、子ども世帯も親に子供の送り迎えや子守をお願いできたりで双方にメリットのある形態ですが注意すべきことなんてあるのでしょうか?
郊外の比較的に広い敷地でよく見かけるこのケースで注意するポイントは…
「一つの敷地に一つの建築物の原則」です。これは、建築基準法として決められており、建築基準法施行令第1条として以下のように敷地を定義しています。
一 敷地 1の建築物又は用途上不可分の関係にある2以上の建築物のある一団の土地をいう。
ここでいう用途上不可分の関係にある建築物とは、隣に立っている子供世帯の建物では無く、車庫や物置といった付属物を指しています。
したがって、親の土地だと言って同一敷地内に安易に住宅を建てることはできません。
「いや!実際に知り合いでも親の敷地内に家を建築した人を知っている」そんな感想を持つ人も多いでしょう。
注意すべきは、大きく2つ
一つの敷地に一つの建築物のルールに従って考えると単純に敷地を「分割」するか「分筆」するかして敷地を二つにすれば、もう一軒建てることができるということです。
1 接道義務を満たしているか
単純に敷地を二つに割れば全ての問題解決というわけにはいきません。住宅を建築する上で敷地として必ず満たしていなければいけないルールの一つとしてあるのが「接道義務」です。
これは、敷地は必ず2m以上道路に接していない敷地として認められないというルール。どんなに敷地が広くても道路に面さない敷地に家を建てることができませんので二つに分ける場合は、分けた敷地が道路に2m以上接するように計画しなければなりません。
2 敷地の大きさ
分割した敷地が道路に2m以上接していれば、自由に家が建てることができるかと言えばそうでは、ありません。分けた敷地は実家とは別の土地になりますので、分けた敷地には隣地斜線や建ぺい率、容積率などの他に地域によっては外壁の後退距離など守らなければならないルールが敷地毎に発生します。
考え方としては、分けた土地は敷地として個々に建築基準法を遵守する必要があるということです。
敷地を分ける時の注意事項
敷地を分ける方法として「分割」か「分筆」をするということを説明しましたが「分割」と「分筆」では、何が違うのでしょうか。
「分割」
分割とは、敷地内に任意で設定して敷地を区分することをさします。建築基準法では、敷地の権利関係は問われませんので建築確認上は、○○市△△町✕✕号の内一部として申請することで別の敷地として申請することが可能です。
分割のメリットとしては、測量士や土地家屋調査士、司法書士等の依頼の必要がなく費用的には安く納まります。
ただし、この場合のデメリットは、住宅ローンを組んだ時に抵当権の設定が敷地全体に及び親世帯の土地、建物にまで抵当権の設定が必要となりますのでご両親の承諾が必要となります。
「分筆」
分筆は、登記簿上の土地を分けて別の筆として登記しなおすということです。両親の土地とは別の地番が新たに振られ土地の権利上も別の土地として扱われます。
メリットとしては、親の土地とは権利上別となりそれぞれに抵当権の設定が可能となりますので親世帯に迷惑をかけることはありません。
デメリットは、分割と逆で法務局の公図・登記簿を変更する必要があり費用がかかることがあげられます。
次回は、②の親が所有している土地に家を建てる場合の注意事項を紹介します。