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2022.04.27
【執筆者プロフィール】
住宅proアドバイザーたのさん
30年地域ビルダーに勤務、現在住宅アドバイザーとして個人住宅のコンサルタントとして活動中。長年の経験を生かして、住宅購入を検討する方々に役立つこと、迷うところ、悩むところに寄り添った情報を発信していきます。
3つの代表的な地盤改良工事
前々回に挙げました地盤調査の結果を受けて判定書が作成されます。それを基に、必要となる基礎仕様と地盤改良工事が決まります。ここで建築会社から提案される代表的な地盤改良工事は三種類。
1)表層改良工事
比較的浅い(1~2m)部分に建物を支持する層がある場合に採用されることが多い工事。現場の土と土地を固める固化材を重機を使ってかき混ぜて表層の軟弱な層を改良します。工事費用も比較的に安価で施工することができます。
●費用目安:50万円程度。費用が安価で施工が簡単。
●長所:小型の重機での施工が可能
●短所:傾斜地には不向き。施工者の技術によって品質にばらつきが発生する。
2)柱状改良工事
深さ10m程度までに支持層がある場合などに選択されるケースが多い工法。一般的に普及しており、コンクリートと土を混ぜ柱状に改良体をつくり、建物を支持します。腐植土や地下水位がある場合は注意が必要な工法です。
●費用目安:80万円程度。最も一般的に施工される地盤改良方法。
●長所:比較的小型な重機での施工も可能。固い地盤での直接支持だけでなく摩擦力による支持も期待できる。
●短所:現場の土質によっては改良体の品質にばらつきが発生する。将来土地の売却・返還時に改良体の撤去費用が発生する。
3)小口径鋼管杭工事
支持層が深い場合に選択されるケースの多い工法です。鋼管を用いることで安定した品質の強度を確保することができるのが特徴です。低騒音・低振動タイプでない場合、振動や騒音などの苦情が発生することもあります。
●費用目安:100万円程度
●長所:支持層が10m以上の深い地盤でも対応が可能。品質が安定しており重量のある建物にも対応する。
●短所:鋼管の貫入時に騒音や振動が発生しやすく、近隣の状況によっては採用できないケースもある。工法によっては大型の重機が必要になり敷地によっては工事ができない場合もある。
このほかにも、さまざまな方法の地盤改良工事があります。最後にまとめましたのでメリット・デメリットを知って予め希望する工法がある場合は、地盤調査前に建築会社に相談して進めるようにしましょう。
地盤改良工事の選択で注意すべきポイント
□直接工事以外の費用も確認
地盤改良工事によっては、水が必要な場合もあり地盤改良工事前に仮設水道を準備しておく必要があります。直前になってご近所から借りるなんてならないように注意しましょう。
□残土処理費の有無
地盤改良工事の種類によっては、残土が発生します。改良工事に伴い発生した残土はコンクリートなどの固化材が含まれており産業廃棄物扱いになるため思わぬ出費が発生することがあります。
□中に残る埋設物
家を建てて未来永劫住み続けるのは理想ですが、将来的に土地の売却や定期借地契約で更地にして返すなど土地を手放す時に土中に埋設した杭などがトラブルの原因になることもあります。埋設した杭などの撤去も異様予め検討しておきましょう。
地盤改良工事は、建築会社から出されたものを鵜吞みにせず、各工法のメリット・デメリットをしっかり知った上で自分たちにあった工法をチョイスしていきましょう。
そのほかの工事方法