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2021.08.18
【執筆者プロフィール】
住宅proアドバイザーたのさん
30年地域ビルダーに勤務、現在住宅アドバイザーとして個人住宅のコンサルタントとして活動中。長年の経験を生かして、住宅購入を検討する方々に役立つこと、迷うところ、悩むところに寄り添った情報を発信していきます。
多様な地域・地区・街区
前回、都市計画法に基づき建築できる建物の用途を定めた用途地域を紹介しました。
用途地域では建築できる建物の用途を定めていましたが、その他にも土地利用に関して一定の規制等を適用された区域があります。
地域地区は前述の「用途地域」のほかに、「特別用途地区」「高度地区」「高度利用地区」「特定街区」「防火地域」「準防火地域」「景観地区」「風致地区」「特定用途制限地域」「高層住居誘導地区」など21種類の多様な地域・地区・街区があります。
地域地区には、どんな種類があるかみていきましょう。
聞きなれない専門用語が多く何を規制しているかピンときませんよね。これらの地域地区は大きく分けると5つに分類することができるので、まずは全体像を知るうえで5つの分類を押さえておきましょう。
今回は、前編として3つの分類について解説します。
【地域地区の種類】
① 用途地域
② 特別用途地区
③ 特定用途制限地域
④ 都市再生特別地区、居住調整地域または特定用途誘導地区
⑤ 特例容積率適用地区
⑥ 高層住居誘導地区
⑦ 高度地区または高度利用地区
⑧ 特定街区
⑨ 防火地域または準防火地域
⑩ 特定防災街区整備地区
⑪ 駐車場整備地区
⑫ 臨港地区
⑬ 流通業務地区
⑭ 景観地区
⑮ 風致地区
⑯ 歴史的風土特別保存地区
⑰ 第一種歴史的風土保存地区または第二種歴史的風土保存地区
⑱ 緑地保全地域、特別緑地保全地区または緑地地域
⑲ 生産緑地法による生産緑地地区
⑳ 伝統的建造物群保存地区
㉑ 航空機騒音障害防止地区または航空機騒音障害防止特別地区
土地の利用に関する規定
①~④までが土地の利用に関する規定です。
①~④は、用途地域に代表されるように土地利用を制限する規定で、②特別用途地区は用途地域を補完する規定として更に11種類の地区を指定して効率的な土地利用を図っています。
③特定用途制限地域は、用途地域の設定がない「準都市計画区域内」「非線引きの都市計画区域内で用途のない地域」で定められる制限で好ましくない建築物の制限を行うことができます。
④都市再生特別地区、居住調整地域または特定用途誘導地区では都市計画の観点から誘導・抑制を行い都市機能の効率化を図っています。
高さに関連する規定
⑤~⑧は、高さに関するもので高さや高さに関連する容積率を規定したものです。
⑤特例容積率適用地区では、建物同士で容積率の売買や移転が可能で本来の規定では建てれない建物もこの制度を利用することで建築が可能となります。
⑥高層住居誘導地区の指定を受けるとマンションなどの住居系建物の建設にあたり「日影規制を適用除外」「容積率や斜線制限の緩和」を受けることができます。
⑦高度地区または高度利用地区に指定されたエリアでは「建ぺい率の最高限度」「容積率の最高限度と最低限度」「建築面積の最低限度」を定めることができ、結果的に一定規模を確保した建築物しか建てることができなくなり、統一した都市づくりを誘導します。
⑧特定街区は、街区単位での自由な街づくりを行うための規定で、この地区指定を受けると容積率や高さ制限が排除された独自の街づくりが可能となります。
建築物の防火性能に制限
⑨~⑩は、防火や防災に関するもので建築物の防火性能に制限がでてきます。
⑨防火地域または準防火地域は火災被害の防止を目的に建物の構造と規模や階数に応じて防火の基準を定めた規定です。この指定により建築物の耐火性能が定められ建築費用変わってきます。
密集市街地整備法による⑩特定防災街区整備地区は木造家屋が密集したエリアに設定され建物の延焼被害の防止のため外壁後退、開口率の制限、高さの制限を定めています。