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2021.03.17
【執筆者プロフィール】
住宅proアドバイザーたのさん
30年地域ビルダーに勤務、現在住宅アドバイザーとして個人住宅のコンサルタントとして活動中。長年の経験を生かして、住宅購入を検討する方々に役立つこと、迷うところ、悩むところに寄り添った情報を発信していきます。
大切な土地と道路の関係
土地を探す時に「南道路」「南東の角地」など、道路方位をとても気にする人がいます。なんとなく南側に道路があるというと、明るそうなイメージを持たれるからだと思いますが、本当に気を付けてもらいたいポイントは土地と道路の関係です。
なぜなら、土地と道路の関係をよく知らずに建築計画を進めると、思わぬトラブルに発展したり、場合によっては建築計画自体が白紙になったり、なんてこともあり得るからです。
そんなトラブルに巻き込まれないために、注意しておくべきポイントが2つあります。
押さえておくべき2つのポイント
●道路を調べる
●接道を確認する
まず、大前提として土地に建物を建てるには接道義務を満たしていることが必要となります。
接道義務とは、建築基準法第43条で規定された
「建物の敷地は『建築基準法上の道路』に2m以上接していなければならない」
という条件です。これは消防車や救急車などの緊急車両の侵入経路の確保するために義務付けられています。
ちなみに、接道義務は都市計画区域と準都市計画区域内に限り適用され計画区域外では適用されません。
道路に見えて道路でない場合もある
ここまで読んで「販売されている土地はほとんど道路に接しているでしょ」そんな風に思った人もいると思いますが、ここで注意するポイントは『建築基準法上の道路』というところ。
それでは建築基準法上の道路とはどんな道路をいうのでしょう。建築基準法上の道路は6つに分類されています。
1)道路法による道路
「高速道路」「一般国道」「都道府県道」「市町村道」で幅員4m以上の道路。
2)号道路
都市計画法、土地区画整理法、都市再開発法などに基づいた幅員4m以上の道路。
3)既存道路
建築基準法第42条が施行されるとき、すでに存在していた幅員4m以上の道路。
4) 計画道路
道路法、都市計画法、土地区画整理法、都市再開発法などによって新しく造る、もしくは変更する事業計画のある道路で、2年以内に事業が行われる予定として特定行政庁が指定した幅員4m以上の道路。
5)位置指定道路
政令で定められた基準に適合する私道で、特定行政庁から位置の指定を受けた幅員4m以上の道路。
6)2項道路・みなし道路
建築基準法施行時にすでに建築物がたち並んでいた幅員4m未満の道路で特定行政庁が指定した道路。
通常土地の物件資料には道路に関する情報が記載されていますが不明の場合は、必ず不動産会社に確認しましょう(※)。
敷地が削られる?2項道路・みなし道路の注意点
建築基準法上の道路6つの中で、特に注意が必要な道路が6)の2項道路・みなし道路です。
本来4m以上の道路に2m以上接するという接道の大原則に照らしてみると2項道路・みなし道路は4m未満で基準を満たしていません。
例外的な道路が、2項道路・みなし道路といえます。
その例外を受けるためには一定の要件を満たす必要がありその手法としてセットバックがあります。
セットバックとは道路の中心線から2m後退させたラインを道路境界とみなすことで最終的に幅員が4mの道路となるように誘導する規定です。例えば現況3mの道路だと道路中心線が1.5mの位置になりますので2mの後退だと敷地側に50㎝道路境界が食い込む位置にきます。
ただし、道路境界の反対側が河川や崖地、線路敷地などの場合は、反対側にセットバックできない状態ですので、中心線からでなく道路反対の境界から4mがセットバックラインとなります。
先ほどの3mの道路の場合で考えると、1m敷地に食い込んだ位置が道路境界として扱われます。このように道路の反対側の土地用途によりセットバックのラインが変わりますので購入予定の土地だけでなく道路反対の土地もしっかり確認しておきましょう。
セットバックした土地の行方
それではセットバックした土地の扱いはどのようになるのでしょう。
セットバックしたラインが道路境界となるのでその分、敷地面積は減少します。建築基準法の建ぺい率・容積率はセットバックしたあとの敷地面積で算定されることになります。
狭小地などでは、建築計画にも大きな影響がでますので注意が必要です。
使えない土地にも税金がかかる?
セットバックした土地は道路扱いとなりますが、所有権は個人のままです。
つまりセットバック分の土地にも税金は課税されます。
自由に使用できないのに税金も課税されるなんて!そう感じる人も多いでしょう。
しかし、一定の条件を満たせばセットバックした土地を非課税にすることも可能です。
非課税要件の具体例
1:利用上の制約が設けられていない
2:不特定多数人の利用に供されている
3:全体を通して道路幅員が一定以上ある
4:道路と宅地が明確に区分され、客観的に道路と認定できる
5:道路部分が分筆登記されている
道路の管理者は誰?
税金以外にも道路になると道路の維持・管理という問題があります。所有者が個人である場合、その維持・管理費は所有者が負うこととなります。
固定資産税や維持管理を免れるケースとしては、前面道路が公道の場合、セットバック部分を自治体に無償譲渡や無償使用承諾という方法で管理を自治体に移管することができる場合があります。
このときの分筆・所有権の移転登記などの費用は自治体が負担するケースが大半です。
※道路については、個人で簡単に調べることができます。方法としては、当該地の監督官庁へ出向き道路課などで、地図を確認することができます。メリットとしては、より具体的な情報を聞くことが可能で、問題がある場合は、相談もあわせてすることが可能です。
また、近年は行政のWEBサービスが充実しています。都市計画図・道路情報・ハザードマップなどが自由に閲覧できるケースもありますので、注意深く調べてみましょう。