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2023.12.08
【執筆者プロフィール】
住宅proアドバイザーたのさん
30年地域ビルダーに勤務、現在住宅アドバイザーとして個人住宅のコンサルタントとして活動中。長年の経験を生かして、住宅購入を検討する方々に役立つこと、迷うところ、悩むところに寄り添った情報を発信していきます。
親の土地に家を建てるぞ!(2)
前回は(1)親の住んでいる土地の一部に建築するパターンをお話しましたが今回は(2)親が所有している土地に家を建てるパターンで発生する注意すべきポイントを解説していきたいと思います。
「何も使っていない土地があるから、そこを使って家を建てれば?」親からそんな提案されたら無茶苦茶ラッキーって思うのは当然だと思います。その土地が希望するエリアだったりしたら正に棚ぼた状態です。
ところがそんな棚からぼたもちにも危険が潜んでいたりするから要注意です。
そんな危険を回避するには、どのようなポイントを注意すれば良いのでしょう。
先ずは土地の登記簿謄本を手に入れよう【地目に注目】
土地の登記簿謄本は、最寄りの法務局で手に入れることができますがネットを使って自宅のPCで手に入れることも可能です。
謄本から知ることのできる情報は、たくさんありますが先ず確認してもらいたい箇所は、表題部の②地目です。この見本のように宅地になっていれば第一関門突破です。
住宅をそのまま建築しても良いのは宅地の他に雑種地、山林、原野があります。
逆にそれ以外の土地については何らかの手続きが必要となりますので注意が必要となります。特に「田・畑」の場合は、農地転用の申請が必要となり時間とコストがかかります。
【権利者は誰?】
次に確認する項目は、権利部(甲区)にある権利者その他の事項です。
この欄の最新の所有者が誰か確認してみましょう。親の名前になっていれば大丈夫ですが今は亡きお爺ちゃんの名前だったりしたら要注意です。
このようなケースは、相続手続きがとられていない状態ですので先ずは相続人の確認が必要となります。相続人が複数になり話し合いが頓挫した場合は建築できなくなるケースも発生しますので特に注意が必要です。
また、(乙区)もあわせて確認してみましょう。ここには、所有権以外の権利が記載されていて、抵当権が設定されている場合もあります。そのような場合考えられるケースは二つ。
(1)返済が終了していて抵当権の抹消登記がされていない
(2)現在も返済中の場合
(1)の場合は抹消登記をすれば大きな問題も無く建築することが可能です。(2)の場合は、返済が終わっていませんので完済して抹消したうえで建築をする必要が出てきます。
残債が少なく、担保価値に余力があり同じ金融機関を利用するなど条件が揃えばそのままで建築できるケースもゼロではありませんが、原則として抵当権が残ったままでの建築は不可能と思ったほうが間違いありません。
所有者は親のままで建築に問題ないの?
所有者が親の土地で贈与を行わず親の名義のままで考えられる問題は三つ。
・土地に抵当権を設定することを承諾してもらう
・固定資産税の支払いについて取り決めが必要
・相続時の問題は無いか
以上の三つを整理しておけば所有者は、親のままでも大きな問題は発生しないと思われます。
そのまま建てられるの?
親の所有していた土地が分譲地やもともと住宅があって更地になった土地だと良いのですが、そうでない場合多くの問題が発生することがあります。
(A)境界が明確に確定しているか
分譲地などで隣地との境界が境界杭や境界ブロックなどで明確になっていれば良いですが古くから所有している土地では、境界が不明確になっているケースがあり隣地ともめるなんて事も起こりがちです。
(B)接道条件を満たしているか
昔からある土地だと前面道路だと思っていた道が道路で無かったなんてレアケースもあります。また、道路幅員も4m無く敷地がみなし道路として削られるなんて事もあります。
(C)造成が必要か
宅地になっていない土地には、全面道路から段差のあるケースがままあります。この場合、造成工事が必要となり擁壁工事、造成工事、乗り入れ工事などで高額な費用が別途必要になるケースがあるので要チェックです。
(D)ライフラインは揃っている?
住宅に必要な基本的ライフラインは、電気・水・下水道となります。前面走路まで供給されていれば大丈夫ですがそうでないと自費で施工する必要なケースもあります。
また、排水経路の確保も重要です。前面の道路に側溝がない場合は近くの排水路などに流す必要が出てきます。その時に水路が農業用の水路だったりすると水路組合に承諾をもらう必要が発生しケースによっては、費用の支払いや水路の管理作業の協力などが必要になってきます。
これらの項目は、建築会社や建築士が一緒になって検討できる環境だと事前に調べてくれたりしますので土地だけだからと高を括らず建築のパートナーと一緒に検討すれば後悔することがなく進めることができるでしょう。