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「 土地探しのコツ」 バックナンバー

土地の価格を予測する【土地探しのコツ 20】

2022.06.29

【執筆者プロフィール】

住宅proアドバイザーたのさん

30年地域ビルダーに勤務、現在住宅アドバイザーとして個人住宅のコンサルタントとして活動中。長年の経験を生かして、住宅購入を検討する方々に役立つこと、迷うところ、悩むところに寄り添った情報を発信していきます。

https://kura-labo.com/

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土地価格の調べ方

同じ条件が一つとしてない土地。さらに土地の価格も場所や前面道路、周辺環境などにより物件ごとに価格も大きく違ってきます。

「自分たちの検討している土地は果たして高いのか?安いのか?」客観的に知ることは、なかなか難しいものです。

そこで今回は、「土地価格の調べ方」を解説していきます。

まず、一般的に不動産のチラシやWeb情報で目にする土地の販売価格が「実勢価格」と言われ、みなさんが一番注意してご覧になっている価格ではないでしょうか。

売主が不動産会社ではない個人の場合、販売価格は売主が決めている価格です。もちろん仲介する不動産会社で査定をしてもらっているので、適当に決めているわけではありませんが、売主の希望が何より最優先されているといえます。その結果として市場の相場感より高い価格で売り出されているケースもあります(逆に売り急いでいて安いケースも、もちろんあります)。

都市部のように周辺に販売中の物件が多くある場合は、不動産のポータルサイトや宅建協会などのサイトから周辺の相場感を調べることができます。ところが、地方や不動産流通の少ないエリアでは十分なデータを集めることができず土地の適正価格が分からないケースが発生します。

「そんな時は、なにを参考にすれば良いのか」

その答えを話す前にまず、知っておいていただきたいのが土地の価格についての基本です。不動産業界では「一物四価」という言葉があります。言葉の意味は「一つの土地に四つの価格がある」という意味です。同じ土地なのに四つの異なる指標が存在するなんて不思議ですよね。

一物四価の正体

一物四価というは、「実勢価格」、「公示地価」、「相続税路線価」、「固定資産税評価額」の四つが該当します。

①「実勢価格」

「実勢価格」は需要と供給のバランスで成り立つ価格です。実際に売買が成立する価格ですので市場の需要と供給のバランスにより価格は変動します。

過去の取引情報は【国土交通省「不動産取引価格情報検索」】を使ってネットで調べることが可能です。

②「公示地価」

「公示地価」とは、一般の土地取引価格の指標となるもので、国土交通省により公表されます。全国の主要な地点で、毎年1月1日時点の更地としての土地価格を鑑定し、3月下旬頃に公表されます。この時期になるとニュースで○○の土地の価格が上がったとか下がったとか扱われるので印象に残っている方も多いのではないでしょうか。

実勢価格と比べ約90%程度の価格になっているイメージです。需要の少ない地方などにでは実勢価格の方が安くなる逆転現象も発生します。

③「相続税路線価」

「相続税路線価」とは、一般に「路線価」と呼ばれており土地の相続税や贈与税の計算の基礎となる価格に該当します。

毎年1月1日を基準日として、国税庁が7月初旬頃に公表します。相続税路線価は、土地全体の価格をさすものではなく、道路毎に基準となる価格が付きます。所有地に接している道路に付いた価格に、土地の面積を掛け合わせることで、相続税を計算する際の評価額を求めることができます。公示地価の約80%を目安に決定されています。

④「固定資産税評価額」

「固定資産税評価額」とは、その名の通り固定資産税や都市計画税、不動産取得税、登録免許税など不動産関連の税金の計算の基礎となる価格です。

全国のほとんどの土地が対象となっています。評価の見直しは毎年ではなく、3年に1回(3年おきの1月1日時点)更新されます。なお、3年間の間に、大きく価格が変動している場合には、修正が加えられることがあります。

また、原則としてその土地・建物の所有者、借地人、借家人のみが知ることができる価格であり、固定資産税評価額は公示地価および基準地標準価格の70%を目安に決定されています。毎年土地や建物の固定資産税を支払っている方は、市町村から届く納税通知書をご覧になっていただくと、どの位の評価金額であるのかがわかるようになっています。

このように四つの指標は、それぞれ違う目的で設定されており双方が土地を評価するうえで必要な情報を補完している価格となっています。

隠された土地価格を推理する

それでは、具体的に対象になる土地を推理していきましょう。

今回は、実勢価格以外の3つの指標が一度に調べられる「全国地価マップ」を使って調べてみましょう。

サイトにアクセスし調べたい土地の評価情報をクリックします。郵便番号や住所、地図からなどから調べたい土地の情報を検索することができます。

1)公示地価から調べる

対象となる土地の近くで公表されている前述の公示地価を調べ、その価格を①実勢価格に置き換えます。

公示地価額は実勢価格の約90%ですので〔公示地価÷90%〕で公示価格をベースにした実勢価格の目安ができます

ただし、公示地価は基準地が限られていますので検討したい土地の周辺に無い場合があります。その場合は都道府県が発表している「基準地価※1」を代用するケースもあります。

※1基準地価、公示地価の区域外も基準値としている場合があり公示地価を補完する指標となります。このことから「基準地価」も含めて一物五価と表現する場合もあります。

2)相続税路線価から調べる

対象となる土地の前面道路についた③路線価を調べ、その価格から実勢価格を推察します。

まず、相続税路線価は公示地価のおよそ80%ですので〔相続税路線価÷80%〕で想定公示地価を出し、先ほどと同じように〔想定公示地価÷90%〕で実勢価格を推定します。路線価は公示地価と違い日本の多くをカバーしており調べたい土地をピンポイントで調べることができます。

3)固定資産税から調べる?

売主の個人情報のため基本的に調べることが難しく、売主または仲介業者に相談して教えてもらえた場合にのみ活用することができます。

このように土地の価格決定には基準となる四つの土地価格の指標が存在します。逆に指標から大きくズレた土地価格の場合は注意が必要です。

土地の価格は基準となる指標をベース市場の流動性、生活環境、居住環境、道路状況、周辺環境などを考慮し加点したり減点したりして構成されます。

安い土地には安くなる理由が必ず存在します。安くてラッキーと喜ぶのでなく、周辺の相場観から極端に安くなっている土地は安い理由をしっかり確認して土地の検討をしていきましょう。

安く買った土地がいわくつきだった!!なんてことがありませんように。

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