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2021.07.21
【執筆者プロフィール】
住宅proアドバイザーたのさん
30年地域ビルダーに勤務、現在住宅アドバイザーとして個人住宅のコンサルタントとして活動中。長年の経験を生かして、住宅購入を検討する方々に役立つこと、迷うところ、悩むところに寄り添った情報を発信していきます。
用途地域が設定される3つの区域
都市計画により土地利用の大きな方針を決めたものが「都市計画区域」「都市計画区域外」「準都市計画区域」の3つでした。
さらに都市計画区域内には、3つの区域区分があり、「市街化区域」「市街化調整区域」「非線引き区域」に区分され市街化の促進と抑制により無秩序なスプロール化を防いで都市機能の効率化を図っています。
そして今回のテーマである用途地域は、「市街化区域」「非線引き区域」「準都市計画区域」を対象に設定されている建物の用途や建ぺい率、容積率などを規制するものです。
用途地域は、不動産表記で必ず記載されている大事な項目ですが、何となく流し見で終わらせていないでしょうか。
用途地域を正しく知っていれば、家を建ててからの生活環境を事前に想定することができ、建ててからの後悔というリスクを減らすことができます。
用途地域を知らないリスク
希望の土地を探し続けてやっと見つけた理想の土地。ついに見つけたという興奮もあり速攻で契約。とんとん拍子で新築も進み理想の暮らしがこれから始まると、思った矢先に南側にビルが建ち緑輝く芝生のお庭のはずが、ずっと日陰の庭になってしまうなんて…。
そんな日影リスクや、家の近くに工場や飲食店ができ排煙や臭いで洗濯も外に出せないなんていうリスクも、用途地域を予め知ることにより回避することができます。
住宅系の8種類
用途地域は全部で13種類。その中で住居系が8種類、商業系が2種類、工業系が3種類に分類されています。
●第一種低層住居専用地域
低層住居に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域で小規模な住宅の他、学校、診療所、寺院などが建築可能です。
●第二種低層住居専用地域
主として低層住居に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域で第一種低層住居専用地域の用途に加えて、コンビニなどの小規模な店舗や飲食店も建築可能です。
●田園住居地域
農業の利便の増進を図りつつ、これと調和した低層住居に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域で特徴としては、低層住居専用地域の用途に加え、農業用施設(農産物直売所、農家レストランなど)の建築が可能です。
●第一種中高層住居専用地域
中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域で病院や大学、中規模の店舗や飲食店などが建築可能です。イメージ的には中高層マンションが多くなる地域です。
●第二種中高層住居専用地域
主として中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域。中規模のオフィスビルや1,500㎡までの店舗も建築が可能となってきます。
●第一種住居地域
住居の環境を保護するため定める地域で高さの制限がなく大きなマンションやホテルの建築も可能となります。
●第二種住居地域
主として住居の環境を保護するため定める地域で住宅、病院、大学、店舗や飲食店、オフィスビル、ホテルに加えてパチンコ店やカラオケ店なども建築可能となります。
●準住居地域
道路の沿道としての地域の特性にふさわしい業務の利便の増進を図りつつ、これと調和した住居の環境を保護するため定める地域で小規模な工場、自動車修理工場の建築も認められるようになってきます。
商業系 2種類
●近隣商業地域
近隣の住宅地の住民に対する日用品の供給を行うことを主たる内容とする商業、その他の業務の利便を増進するため、定める地域で、さまざまな用途の建築が可能となってきます。
ただし、キャバレーやナイトクラブといった風俗営業店の建築は認められません。
●商業地域
主として商業等の業務の利便を増進するため定める地域でキャバレーやナイトクラブといった風俗営業店の建築も可能となります。
工業系 3種類
●工業地域
主として工業の利便を増進するため定める地域となり、学校や病院、ホテル、映画館などの建築は認められません。
●工業専用地域
工業の利便を増進するための地域で住宅の建築は出来なくなります。
なかなか文章を読みながら理解するのは大変な方は一覧表をご覧ください。
上から順に住宅環境が厳しく制限されており、静かで良好な住宅環境を望む方は低層住居専用地域を選ぶと、希望の住環境を手に入れることができるでしょう。
住宅は、工業専用地域以外すべてに建築可能ですが、検討している土地に、どんな建物が建つ可能性があるのかチェックしながら、自分のライフスタイルにあう用途地域を選ぶことが大切となります。
自分の土地の隣も知る
不動産チラシや不動産のポータルサイトで物件をチェックする時は検討している物件の用途地域だけでなく、必ず都市計画図で隣接する土地の用途が何になっているのかも併せて確認しておきましょう。
用途地域を知るには、仲介する不動産業者に聞くことが簡単ですが、自分で調べる事も簡単にできます。
当該地を所管する行政に行き確認する方法の他に最近では多くの自治体でホームページから確認することができるようになっていますので土地選びの際には必ずチェックしておきましょう。