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「 インテリア・レッスン」 バックナンバー

インテリア・レッスン 第29回

2026.10.14

この連載では、世界にひとつの自分らしいインテリアデザインを室内に。インテリアデザインの先進国イギリスで学ばれ、現在日本で活躍されている安藤さんに、ムードボードの重要性を紐解きながら、楽しくプランニングを解説いただきます。

【執筆者プロフィール】

安藤 眞代
美術大学、日本画学科を卒業後、大手インテリアメーカー住江織物でデザイン業務に従事。
ロンドンインテリア留学、Interior Design School London Professional Development Course卒。
業界での豊富な経験と、英国での学びを活かしたトータルな空間コーディネートや、日本では数少ないオーダーカーペットデザインも得意とする。
毎年 ミラノ、ロンドン等海外インテリア展示会を視察し、海外トレンドレポートを多数講演。
https://studio-ma.jp/

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その29 2026欧州インテリア視察から-その5 マドリード:美しい建築歴史と現代が彩る、アートの街

3週間にわたる欧州インテリア視察の最後の街、スペイン、マドリードの紹介になります。ミラノを離れ、ポルトガルの世界遺産の街・ポルトでのファブリックメーカー視察を足早に終えた後、マドリードまでは短い航路なので、トラップで乗り込む、随分小さな飛行機での移動でした。

スペインには何度か訪れていましたが、首都マドリードを訪れるのは今回が初めてでした。この街を訪れたかった理由の一つに、ピカソの代表作「ゲルニカ」を実際に観ること。数年前にバルセロナで小さな「ゲルニカ」のパネルを購入して以来、いつか本物を観たいと思っていました。

作品を所蔵する国立ソフィア王妃芸術センターの本館(写真①)は、18世紀に建てられ、1960年代まで病院として使われていた建物です。修復・改修を経て、1990年に美術館として開館しました。重厚な新古典主義の建物に、ガラスのエレベーターが加わった外観が印象的です。

2005年には、ジャン・ヌーヴェル設計の新館が加わりました。赤い大屋根が目を引く新館(写真②)には、展示室や図書館、中庭などが設けられています。歴史ある建築に現代的なデザインが寄り添い、新旧が共存する美術館の魅力を生み出しています。

写真①:ソフィア王妃芸術センターの、歴史的な外壁に現代的なガラスエレベータ設備を組み合わせた、印象的な部分。

写真①:ソフィア王妃芸術センターの、歴史的な外壁に現代的なガラスエレベータ設備を組み合わせた、印象的な部分。

写真②:ジャン・ヌーヴェル設計の、赤い大屋根が目を引く新館。

写真②:ジャン・ヌーヴェル設計の、赤い大屋根が目を引く新館。

写真③:写真:ピカソの代表作「ゲルニカ」、沢山の人だかりです。白・黒・灰色で、戦争の悲惨さと人々の苦しみを表現しています。

写真③:写真:ピカソの代表作「ゲルニカ」、沢山の人だかりです。白・黒・灰色で、戦争の悲惨さと人々の苦しみを表現しています。

首都マドリードのAirbn

首都マドリードは、地下鉄やバスなどの交通網が整い、市内を移動しやすい街です。今回の旅の最後の宿には、小さなAirbnb(エアビーアンドビー=民泊)を選びました(ロンドンの素敵なインテリアのAirbnbについては、その⑪で紹介しています。)。

宿は少し小高い場所にある建物の最上階、ベランダから旧市街の歴史ある建物を見渡せる眺めが気に入り、予約しました。ヨーロッパでAirbnbを選ぶ際は、インテリアデザインの視察も兼ねて、内装はもちろん、窓からの景色も重視しています(写真④)。

特に春から夏は、ベランダで過ごす時間が心地よく、眺めを決め手にすることも多いです。屋外でいただく朝食や夕食は(スーパーで材料を購入して、作ります)、特別においしく感じられます(写真⑤)。

写真④:左、マドリードのAirbnbの部屋と、右、ベランダからの旧市街。

写真④:左、マドリードのAirbnbの部屋と、右、ベランダからの旧市街。

写真⑤:左、ある日の、スーパーで材料を購入して作った、気持ちの良いベランダでの夕食。右、ベランダから見る、旧市街のアルムデナ大聖堂のライトアップ。

写真⑤:左、ある日の、スーパーで材料を購入して作った、気持ちの良いベランダでの夕食。右、ベランダから見る、旧市街のアルムデナ大聖堂のライトアップ。

マドリード王宮とアルムデナ大聖堂

宿から歩いて行ける場所に、マドリード王宮とアルムデナ大聖堂がありました。18世紀に建てられたマドリード王宮(写真⑥)は、3,000室以上をもつ壮大な宮殿です。

現在も王室の公式行事に使われている王宮で、重厚な外観に加え、内部が入った瞬間から華やかで、装飾も見どころです。「玉座の間」(写真⑦-右)の天井画や、「ガスパリーニの間」の植物をモチーフにした繊細な装飾(写真⑦ー左)など、部屋ごとに異なる表情を楽しめます。

天井や壁、家具が組み合わさり、一つの空間をつくり上げている点にも注目したい建築です(写真⑧)。

写真⑥: マドリード王宮外観

写真⑥: マドリード王宮外観

写真⑦: 左、歴史ある空間が、現在も儀式の場として使われている「玉座の間」。右、壁面や天井に広がる、植物をモチーフにした華やかな「ガスパリーニの間」。

写真⑦: 左、歴史ある空間が、現在も儀式の場として使われている「玉座の間」。右、壁面や天井に広がる、植物をモチーフにした華やかな「ガスパリーニの間」。

写真⑧:3,000室以上の部屋を持つ、華やかな装飾のマドリード王宮、宮殿内部。

写真⑧:3,000室以上の部屋を持つ、華やかな装飾のマドリード王宮、宮殿内部。

その隣に立つアルムデナ大聖堂(写真⑨ー左)は、歴史ある姿からは意外ですが、完成したのは1993年。1883年の着工から、資金不足やスペイン内戦による工事中断、設計変更を経て、約110年の歳月をかけて完成しました。

王宮と調和するクラシカルな外観と、高い天井が広がるネオゴシック様式の内部(写真⑨ー右)で、異なる建築の表情を楽しめます。2004年には現国王フェリペ6世とレティシア后の挙式が、このアルムデナ大聖堂で執り行われたことで有名です。

写真⑨:左、王宮と調和するクラシカルな外観のアルムデナ大聖堂。右、アルムデナ大聖堂内部。

写真⑨:左、王宮と調和するクラシカルな外観のアルムデナ大聖堂。右、アルムデナ大聖堂内部。

マドリードを代表する文化エリア

マドリードの街を歩くと、多くの歴史ある建物が残る一方で、モダンな建築にも出会えます。有名な、プラド美術館があるプラド通りは、美術館や歴史的建築、緑が集まる、マドリードを代表する文化エリアです。

その通りにある、カイシャフォーラム・マドリード(CaixaForum Madrid)は、旧発電所を文化施設へと用途転換したコンバージョン建築です(コンバージョン建築とは、古い建物を、用途を変えて再生すること)。

重厚なレンガ造りの建物が、地面からふわりと浮いているように見える姿が印象的で、隣接する壁面には、植物学者パトリック・ブランが手がけた大きな「垂直庭園」もあります。歴史あるレンガと、錆びた風合いのコルテン鋼 注1、そして植物の緑。それぞれの素材の表情が引き立て合う組み合わせがユニークです(写真⑩)。

注1 コルテン鋼は、表面にできる錆が保護膜となり、内部の腐食を抑える「耐候性鋼」の一種で外壁に使われる。

写真⑩:左、旧発電所を文化施設へと用途転換カイシャフォーラム外観 右、そのモダンな内部空間。

写真⑩:左、旧発電所を文化施設へと用途転換カイシャフォーラム外観 右、そのモダンな内部空間。

マドリードは、街を歩くだけでも、建築やインテリアの楽しさに出会える街でした。あちこちで多様な建築様式が見られ、街並みの豊かな表情が楽しめました。歴史を大切にしながら新しいデザインを取り入れた建築にも出会い、魅力の多い街でした(写真⑪)。

写真⑪:マドリードの中心地の、様々な建築様式が見られる街並み。

写真⑪:マドリードの中心地の、様々な建築様式が見られる街並み。

多くの国と街を訪れた、欧州インテリア視察、5編の完結編でしたが、いかがでしたでしょうか?

次回は、海外や日本のホテルのインテリアをヒントに、自宅でも取り入れられるアイデアをお伝えしたいと思います。

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