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2026.08.05
この連載では、世界にひとつの自分らしいインテリアデザインを室内に。インテリアデザインの先進国イギリスで学ばれ、現在日本で活躍されている安藤さんに、ムードボードの重要性を紐解きながら、楽しくプランニングを解説いただきます。
【執筆者プロフィール】
安藤 眞代
美術大学、日本画学科を卒業後、大手インテリアメーカー住江織物でデザイン業務に従事。
ロンドンインテリア留学、Interior Design School London Professional Development Course卒。
業界での豊富な経験と、英国での学びを活かしたトータルな空間コーディネートや、日本では数少ないオーダーカーペットデザインも得意とする。
毎年 ミラノ、ロンドン等海外インテリア展示会を視察し、海外トレンドレポートを多数講演。
https://studio-ma.jp/
その㉘欧州インテリア視察から -その4 世界遺産の街・ポルトを巡る ― 歴史とインテリアを訪ねて
今回の3週間にわたる欧州インテリア視察では、芸術の街・ブリュッセルのアール・ヌーヴォー建築から、ミラノデザインウィーク2026の最新情報まで、さまざまなデザインの魅力をご紹介してきました。
今号ではミラノを離れ、ポルトガルの世界遺産の街・ポルトへ。美しい歴史的な街並みを巡るとともに、ポルトガルを代表するファブリックブランド ALDECO(アルデコ) の視察ツアーにも参加しました。
今回は、ポルトの街や建築、インテリアの魅力とあわせて、ALDECOの素晴らしいものづくりについてもご紹介したいと思います。
ユネスコ世界遺産「ポルト歴史地区」
ポルトは、歴史ある美しい街並みで知られるポルトガル第二の都市です。旧市街は「ポルト歴史地区」としてユネスコ世界遺産に登録されており、石畳の坂道や歴史的建築、色鮮やかな建物が連なる風景が大きな魅力です。
私自身、10年ほど前に一度訪れたことがあり、美味しい魚介料理、美しい街並み、そして温かな人々との出会いがとても印象に残り、「もう一度訪れたい」と思っていた街でもあります。
特に街を歩いていて目を惹くのが、他の欧州の都市ではなかなか見られない、ポルトガルらしい青色の装飾タイル「アズレージョ」(写真①)です。建物の外壁や教会、駅など、街のさまざまな場所を美しいタイル(写真②)が彩り、ポルトならではの景観をつくり出しています。
写真①:ポルトガルらしい青い装飾タイル「アズレージョ」
写真②:建物の外壁や教会、駅など、街のさまざまな場所の美しいアズレージョタイル。
そして、街の中心をゆったりと流れるドウロ川。その両岸には、歴史ある色彩豊かな建物が斜面に沿って連なり、ポルトを象徴する美しい風景が広がっています(写真③)。歴史ある建築と豊かな色彩が溶け合う街を歩くだけでも、この土地ならではの建築やインテリア、装飾文化の魅力を感じることができます。
写真③:街の中心をゆったりと流れるドウロ川と、その両岸には、ポルトを象徴する美しい風景が広がっています。
ただ今回少し残念だったのは、現在、街の中心部で大規模な地下鉄工事が進められており(写真④)、前回訪れた際には何度も目にした、ポルトらしい風景のひとつであるトラム(路面電車)(写真⑤)を見ることができなかったことです。歴史ある街並みの地下で、新たな都市交通の整備が進む、変化の途中にあるポルトの姿も印象的でした。
写真④:大規模な地下鉄工事が進められているポルト旧市内中心部。
写真右⑤:前回訪れた際のポルトらしい、トラムの風景。
ファブリックエディター「ALDECO(アルデコ)」
今回、インテリア業界のメンバー数名で訪れたALDECO(アルデコ)は、ポルトガルを代表するファブリックエディター(Textile Editor)です。Textile Editorとは、インテリア用の生地を企画・デザインし、独自のコレクションとして発信するブランドのこと。
ALDECOは、ポルトガルの豊かな色彩や文化を背景に、ファッション性とラグジュアリー感を融合したテキスタイルデザインを得意としています。
現在、ポルトガル国内のほか、スペイン・マドリッドにもショールームを構え、世界60カ国にも展開を広げている、注目のブランドです。
ALDECO(アルデコ)は、ヨーロッパではよく見られるファミリー経営のファブリックブランドで、現在は創業者の娘のスザンナさんがクリエイティブ・デザイン(写真⑥)、そして妹のマグダさんが経営管理を担当しています。中心を担う姉妹のお二人が、本当におしゃれでチャーミング(写真⑨)!
特に姉のスザンナさんは世界各地を旅しながら、ファッションやアート、建築、風景などからデザインのインスピレーションを得ているそうです。
今回の視察では3日間にわたり、ポルト市内、ドウロ渓谷、ALDECOの本社やショールーム(写真⑦)を案内いただき、ブランドの世界観とデザインが生まれる背景を体感する貴重な機会となりました。
写真⑥:生地の説明をしてくれるクリエイティブ・デザイナーのスザンナさん。
写真⑦:ALDECOの市内のショールーム
ALDECOの本社にある、生地在庫倉庫にて説明を聞く。
「DOURO VALLEY Collection」
今回のポルトガルツアーの目玉のひとつが、ドウロ渓谷でした。ドウロ渓谷は、約2,000年にわたりワインづくりが続く世界有数の産地。ドウロ川沿いの急斜面には美しい段々畑が広がり、現地では「キンタ」と呼ばれるワイン農園が点在しています。
さらに、ポルトの対岸にある「ヴィラ・ノヴァ・デ・ガイア」へ。ここは古くからポートワインの熟成・保管の拠点として発展してきた場所で、歴史あるワインセラーが並びます。今回はこの場所もご案内いただきました。
今回なぜドウロ渓谷を訪れたかというと、ALDECOが2025年に発表した「DOURO VALLEY Collection」(写真⑧)のインスピレーション源となった土地だからです。
ドウロ川の穏やかな曲線、段々畑がつくり出すリズム(写真⑩)、石積みのテクスチャー、季節によって移り変わる植物の色彩など、この土地の美しい風景がファブリックのデザインへと落とし込まれています。
実際にその土地を訪れることで「生地が生まれた背景まで見て、感じてほしい」というALDECOの思いが伝わる、本当に素晴らしいツアーでした。
写真⑧:LDECOが2025年に発表した「DOURO VALLEY Collection」
写真⑩:ドウロ渓谷の美しいワイン農場の段々畑と、巨大なワイン熟成樽を使用した、ワインバレル・スイートホテル(https://pacheca.com/pages/hotels)
今回のポルトでのALDECO視察は、前号まででお伝えした「ミラノデザインウィーク2026」で改めて感じた、商品の背景にあるデザインのプロセスやストーリーを知ることの大切さを、より深く体感できる機会となりました。
どのような土地や文化から着想を得て、どのような想いを込めてデザインされ、商品として生まれてくるのか。その背景まで理解し、デザイナーとしてお客様に伝えていくことの素晴らしさと重要性を、今回の視察を通して改めて感じました。
次回は、今回の視察で最後に訪れた、スペインの首都、マドリードの歴史ある美しい建築と現代的なデザインが共存する、色彩とアートにあふれた街をご紹介したいと思います。
【外部リンク】ワインバレル・スイートホテル(https://pacheca.com/pages/hotels)



























