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2021.06.16
【執筆者プロフィール】
住宅proアドバイザーたのさん
30年地域ビルダーに勤務、現在住宅アドバイザーとして個人住宅のコンサルタントとして活動中。長年の経験を生かして、住宅購入を検討する方々に役立つこと、迷うところ、悩むところに寄り添った情報を発信していきます。
前回に続いて、「都市計画法」について解説します。
「都市計画」
●都市計画区域…計画的な開発のため規制のあるエリア
●都市計画区域外…規制のないエリア
上記の区域は、さらに都市計画に沿って区分けされ、それぞれに土地の利用に関する法律が定められています。
都市計画区域の分類
都市計画区域内にもさらに「市街化区域」と「市街化調整区域」の2つの区域が設定され市街化の促進と抑制を図り、計画的な都市開発を誘導しています。
また、「市街化区域」「市街化調整区域」のどちらにも含まれない地域を「非線引き区域」と呼び緩やかな規制となっています。ちょうど「市街化区域」と「市街化調整区域」の中間的なイメージのエリアです。
都市計画区域外の分類
都市の開発を計画的に誘導する都市計画区域に入らない地域は、都市計画区域外と呼ばれます。イメージ的には市街地から離れた自然豊かな地域が、都市計画区域外に該当します。
また、都市計画区域外には「準都市計画区域」として設定されたエリアもあります。これは高速道路のインターチェンジ周辺や観光地など開発される可能性のある地域が将来的に乱開発されないために規制されたエリアです。
暮らしのイメージ
建築地を選ぶうえでのイメージとしては、都市計画区域内のうち、特に「市街化区域」は積極的な土地利用が図られる地域なので、行政サービスの充実や生活環境の利便性などが期待できる地域です。
「市街化調整区域」は、開発を規制し自然環境や田園などを守るエリアなので一般的に新築をすることが難しいエリアです。特定の基準をクリアした場合のみ建築が可能となりますので売買には注意が必要です。
また、「非線引き地域」や「都市計画区域外」の土地は、自然環境に恵まれたエリアですので、スローライフな暮らしを望む人には魅力的な地域と言えますが、都市設備といわれる道路整備や上下水道などのライフラインの整備が不十分なケースもありますので事前の調査が必要となります。
都市計画区域内の「都市計画税」
住宅を建築した後に継続して必要になる税金として、固定資産税がイメージされますが都市計画区域内の「市街化区域」では「都市計画税」も併せて徴収されます。
税額は各自治体で決められており、固定資産税評価額の0.3%が上限となっています(※原則であり実際の課税については市町村の決定によります)。
ただし、市街化調整区域の土地・家屋に課税しないことが、課税の均衡を著しく失する特別の事情がある場合には、当該市街化調整区域のうち条例で定める区域内に所在する土地及び家屋について課税されることがありますので、市町村の資産税課などで予め確認しておきましょう。
都市計画区域外の建築確認
都市計画区域外では前述した「都市計画税」はもちろん必要がありません。これは「準都市計画区域」も同様で都市計画税が原則かかりません。
税金がかからなくてラッキーと感じるかは都市設備や行政サービスの低下とのトレードオフの関係もありますので、個人の価値観によるものが大きい部分です。
このほかにも、住宅の建築時に必要になる建築確認が不要となります。ただし勝手に建築して良いという訳でなく建築確認の代わりに工事届の提出が必要となります。
建築確認のような許認可ではなく、届出なので書類作成は簡単になりますが、代わりに建物の耐震性能や耐久性・バリアフリー対策などは設計者と十分な確認が自己責任で必要となります。
ナント!9割の人が住む都市計画区域
日本における都市計画区域は、国土面積の約1/4にすぎないのに、総人口の94%が都市計画区域内に居住しているのです。さらに「市街化区域」と「非線引き区域」の用途地域は国土のわずか5%程度なのに約8割の人が居住しているって凄いですよね。
次回は、人口の約8割が居住する用途地域について解説していきます。