毎週水曜日更新

floor-plan_500.65

SEARCH

イエマガは「世界にひとつの自分らしい家」づくりを応援するWEBマガジンです。

floor-plan_500.65

「 インテリア・レッスン」 バックナンバー

インテリア・レッスン 第26回

2026.07.01

この連載では、世界にひとつの自分らしいインテリアデザインを室内に。インテリアデザインの先進国イギリスで学ばれ、現在日本で活躍されている安藤さんに、ムードボードの重要性を紐解きながら、楽しくプランニングを解説いただきます。

【執筆者プロフィール】

安藤 眞代
美術大学、日本画学科を卒業後、大手インテリアメーカー住江織物でデザイン業務に従事。
ロンドンインテリア留学、Interior Design School London Professional Development Course卒。
業界での豊富な経験と、英国での学びを活かしたトータルな空間コーディネートや、日本では数少ないオーダーカーペットデザインも得意とする。
毎年 ミラノ、ロンドン等海外インテリア展示会を視察し、海外トレンドレポートを多数講演。
https://studio-ma.jp/

▼ すべて表示する▲ 閉じる

その㉖欧州インテリア視察から~その2  ミラノデザインウィーク(MDW)2026の魅力を読み解く

前回の㉕で、ミラノへ入る前に立ち寄った、アールヌーボー建築が点在する街、ベルギーのブリュッセルをご紹介しました。

今回は、メインの視察であった、100万人規模の人々で賑わう、世界最大規模の家具とデザインの祭典「ミラノデザインウィーク2026」(MDW)4月20日~26日開催のトピックスをご紹介いたします。

「Salone del Mobile.Milano サローネ・デル・モービレ・ミラノ」

正式名「Salone del Mobile.Milano サローネ・デル・モービレ・ミラノ」は、今年第64回を迎える歴史ある国際家具見本市で、ミラノ郊外のRho Fiera Milano(ロー・フィエラミラノ)展示会場で開催されています。そしてFuori Salone(フォーリサローネ)と言って、街中でも様々なデザインのインスタレーションや、ショールームで展示が行われています。

今年はサローネ直前に中東情勢で、飛行機のキャンセルや変更も多かったようで、私は北欧回りの便だったので大きく迂回はしていますが、今年も無事現地で視察する事ができました。飛行機の中で撮影した写真で、どこを飛んでいたか分かるのが面白いです(写真①)。

写真①:飛行機が、北極海の上を通るルートで、ヨーロッパに入ったことがわかります。

写真①:飛行機が、北極海の上を通るルートで、ヨーロッパに入ったことがわかります。

昨年にも増して今回のミラノは歩きに歩き(写真②)、お天気のも恵まれ(写真③)、多くのショールームや展示を視察することができました。そして16回目視察で感じたのは、2026ミラノデザインウィーク(MDW)は更に魅力がアップ、進化していると言うことです。

写真②:多くの人で賑わう、歩きに歩き回った市内のフォーリサローネ会場。

写真②:多くの人で賑わう、歩きに歩き回った市内のフォーリサローネ会場。

写真③:今年も良いお天気に恵まれた、Fiera Milano, Rho(ロー・フィエラミラノ)の象徴的なエントランス。

写真③:今年も良いお天気に恵まれた、Fiera Milano, Rho(ロー・フィエラミラノ)の象徴的なエントランス。

芸術的遺産を活かした空間インスタレーション

私がミラノデザインウィーク視察、定点観測を始めた2000年初め頃は、家具の新作展示会、そしてプロダクトデザインの発表の場という意味合いが強く、新しい物を探して訪れて、ワクワクした覚えがあります。

しかし近年、昨年も書きましたが歴史的なパラッツォ(邸宅)や、宮殿、修道院などの建物が持つ芸術的遺産を活かした魅力的な空間インスタレーション、展示。そしてブランドやメーカーの感性と技術の融合した唯一無二の圧倒的空間展示と進化をして来ています

さらに今年強く感じたのは、完成したプロダクトや空間を見せるだけの展示から、その背景にあるコンセプトや制作プロセス(写真④、⑤)素材選定、職人の技術に至るまでを含めて見せる展示が、昨年にも増して多くなっていたことです。

写真④:糸からの制作工程を見せる、織機を使ったインスタレーション展示。Missoniは、鮮やかな色彩とニット技術で知られるイタリアを代表するラグジュアリーブランド。

写真④:糸からの制作工程を見せる、織機を使ったインスタレーション展示。Missoniは、鮮やかな色彩とニット技術で知られるイタリアを代表するラグジュアリーブランド。

写真⑤:本会場、街中のフォーリサローネでの、プロダクトの物語や、素材、デザインの考えを見せる展示。

写真⑤:本会場、街中のフォーリサローネでの、プロダクトの物語や、素材、デザインの考えを見せる展示。

この連載のでご紹介しているムードボードの展示も多く見られました(写真⑥)。

写真や素材サンプル、色彩、家具、照明などを一枚にまとめ、「この空間でどんな体験を生み出したいのか」「どんな世界観を目指すのか」を共有するためのツールです。図面が建物の“形”を伝えるものだとすると、ムードボードは空間の“雰囲気や世界観”を伝えるものと言えるかもしれません。

写真⑥:フォーリサローネのメーカーで観られた素材等や、イメージデザインを見せる、様々な「ムードボード」。

写真⑥:フォーリサローネのメーカーで観られた素材等や、イメージデザインを見せる、様々な「ムードボード」。

テーマは「A Matter of Salone」

また、2026年のフィエラ本会場のテーマは「A Matter of Salone」(写真⑦)でした。ここでいう「Matter」は、単なる素材ではなく、「本質」や「大切な価値」を意味しています。

AIやデジタル化が進む時代だからこそ、石や木、テキスタイルなどの素材の価値や、職人技、制作プロセスに改めて光が当てられていました。完成したモノを見せるだけでなく、「なぜそれが生まれたのか」という背景や思想を共有し、ブランドの世界観を体感してもらうことが重視されていました。

写真⑦:フィエラ本会場のテーマは「A Matter of Salone」。

写真⑦:フィエラ本会場のテーマは「A Matter of Salone」。

今年のミラノデザインウィークでは、モノを展示する場から、デザインのプロセスや物語を体験する空間へと、大きく変化していることを強く感じました。

2026年は、アートとデザインの境界を越える家具や照明、オブジェ、一点物のヴィンテージ作品にも大きな注目が集まりました。フィエラ本会場では、新たにコレクタブルデザイン専門エリア「Salone Raritas(サローネ・ラリタス)」(写真⑧)が登場し、限定作品や希少なヴィンテージ家具、工芸作品など、“使うモノ”を超えた“価値を持つデザイン”が一堂に展示されました。

こうした展示がミラノ最大の見本市であるフィエラ本会場で大規模に展開されたことからも、今年のミラノデザインウィーク2026は、「何をつくるか」だけでなく、「なぜつくるのか」「どのような価値や物語を生み出すのか」が問われる時代へと、大きく変化していることを象徴する展示会だったと感じました。

写真⑧:コレクタブルデザイン専門エリア「Salone Raritas(サローネ・ラリタス)」作家性や希少性の高い家具・オブジェ・ヴィンテージなど、アートとデザインの中間領域“コレクタブルピース”への注目の高まり。

写真⑧:コレクタブルデザイン専門エリア「Salone Raritas(サローネ・ラリタス)」作家性や希少性の高い家具・オブジェ・ヴィンテージなど、アートとデザインの中間領域“コレクタブルピース”への注目の高まり。

ここまで今年の流れや、ミラノデザインウィーク2026の大きなトピックスをお話ししてきましたが、次号その3として、インテリアのラグジュアリーブランドや、メーカーの展示、インスタレーションの内容を深掘りして、ご紹介したいと思います。楽しみにしてください。

読者アンケート

この記事の感想

※コメントはイエマガ内で掲載させていただく場合がございます。

性別

年齢

ニックネーム

インテリア・レッスン一覧に戻る

連載記事

連載一覧を見る

PAGE TOP