2023.08.30
文・写真 島綾子
416アーキテクツ
調査させてもらった部屋 ②若いカップルのインテリア
(前回に)続いて大学を卒業し、ロースクールに通う学生Henryの部屋を見せてもらった。入居のきっかけになったのは、ユニテ近郊の町出身の彼女と暮らすことになったためで、その際にこの部屋を見つけ購入したそうだ。
入居時には、自分たちでバスルームとリビングの棚等のリノベーションを行なった。キッチン、窓、床等は、前のオーナーが既に新しくしていたのでそのまま使っている。
彼のお兄さんは建築関係の仕事に就いていたため、Henry自身も建築やインテリアの知識が豊富だった。ミースの椅子やヤコブセンの照明を選んでいる。インテリアに木の要素を多く使っているマルセイユに対し、無機質な雰囲気のベルリン。クールなデザインがよく合っている。
上階のスタディペースには、窓に向かうようにデスクが仲良く並ぶ。窓腰壁の高さは手前にデスクを置くのにもちょうどいい高さ。勉強しながら窓の外の緑が視界に入るのも魅力的だ。
ベルリンのユニテの共有スペースやコミュニティ
●ランドリールーム
洗濯機がない部屋が多く(置けるスペースがない)、多くの住民が利用している。ランドリールームは広く、イベントなどに使われることがある。
●売店
ベルリンのユニテで唯一の小さなキオスクのような店舗で、住民のコミュニティの場となっている。とてもフレンドリーなこのオーナーは一人暮らしの住民などのいい話し相手のよう。
裏にあるビニールハウスでできた飲食スペースは机と椅子が置いてある。よくメンテナンス部隊「haustechnik」が休憩している。
ちなみに店主はユニテに住んでおらず、近くから通っている。「コルビュジエは前から知っていたが、ファンという訳ではなかった。でもここで働くことは素晴らしいと思っている。530も部屋があるので、店の経営は問題ない」そうだ。
●住民のコミュニティ
月に一回程度のイベントは、勉強会や映画鑑賞など多岐にわたる。コミュニティスペース、ランドリールーム、共用廊下とイベントに合わせて場所をかえる。
コルビュジエの命日である8/27に行われるダンスパーティー(命日なのにお祝い感が強い)には、建物横の広場に大きなタープを張り、haustechnikのメンバーがバーベキューの肉を焼いていた。
聖ニコラウス(クリスマス)パーティーでは、住民たちが部屋から手作りの料理やワインを持ち出してくる。場が盛り上がってくると、次は楽器の出番。最後はみんなで歌をうたい、親交を深める。
さすが音楽の国と言われるだけある。