2019.01.26
オーナーである服部さんは、もともと他の場所で人気のイタリアンレストランを経営されていました。昨年、通勤の便や今後のライフスタイルを考えて、自宅の1階にお店を移すことに。新たに始められたお店は、本格窯焼きナポリピッツァ(とオーナーが大好きなソフトクリーム)がメインメニューです。
イエマガ(以下・イ):店内からよく見える位置にある大きくて重厚感のある筒状の設備。薪窯ピザのお店と言うと、やっぱりメインの厨房機器はピザ窯だと思うのですが、想像以上に大きいです。
服部さん(以下・服):そうなんです。家の間口よりも大きいので、店の中で職人さんに造ってもらいました。
イ:ということは、日本製のオリジナルの窯なんですね。
服:最初から、窯はここにお願いしたいという業者さんがあって。「山宮かまど」さんというところに製作をお願いしました。
イ:業界では有名な業者さんなのでしょうか?
服:はい。人気の業者さんです。五右衛門風呂やいろんなかまどを造っている会社なんですが、ここにお願いしたら間違いないという、業界では有名ブランドのです。
イ:高そう…(笑)。
服:それはそれなりに(笑)。この煙突と合わせると結構かかりましたね。
イ:え?煙突はまた別に造って費用がかかったということでしょうか?
服:煙突は、「MIYAMURA WORKS」という会社に。こちらも技術力が高く、とても評判のいいところです。窯は山宮さん、煙突は宮村さんと以前から決めていました。
イ:見た目もグレーのマットな質感で統一されていてかっこいい。どちらも同じ業者さんが造ったみたいにマッチしてますね。煙突と言えば、こちらの立地は住宅街。煙の煤についてはどのような対策を取られているんですか?
服:この窯に付いた煙突が、この「アクアフィルーター」につながっていて、この機械の中で煤をとってから屋根へと続く煙突に流れていくんです。
イ:なるほど。それは高そう(笑)。上は住居部分でその中を煙突が通っているということですか?
服:上は住居ですが、煙突は家の壁の外側(屋外)を通って屋根まで続いています。ピザ窯と煙突の設置で難航していた消防局の営業許可が、このアクアフィルターのおかげで解決したんです。
イ:この中はどれぐらいの温度になっているのでしょうか?
服:450~500℃にしてピザを焼きます。
イ:火が消えても、これだけの耐熱性の高さそうな窯だと高い温度を保ちそうですね。
服:ええ。夜お店を閉めて、翌朝の8時ごろでも300℃ぐらいはありますね。そこから2時間かけてまた450℃以上の温度にしていきます。
イ:こちらの薪を使って?
服:そうです。人工乾燥させた薪を使っています。
イ:人工乾燥?
服:そう。以前に人工乾燥ではない自然乾燥の薪を使っていたことがあるんですが、中に虫が入っていたようで、朝お店に行ったら虫だらけ…ということがあったので(笑)。人工乾燥だとしっかり乾燥させるので、虫の心配がないんです。
イ:それは怖い(笑)。薪の中に生きている虫がいて増殖していたんですね。
服:あと、こんな薪も使っていますよ。
イ:なにかを固めたものでしょうか?
服:おがくずを固めてつくられた人工薪です。休み明けの朝で温度が下がりすぎて、火が入りにくいときに燃えやすいので使うんです。こういうエコな薪がこれから広がっていくかもしれませんね。
イ:ピザ窯はもちろんですが、ほかにも大切な設備はありますか?
服:すごく気に入っているのがこのスチームコンベクションオーブン。
イ:これは、なにをする設備ですか?
服:中のスチームの量と火加減を調節して、蒸す、焼く、炒める、煮る、なんでもできるんです。これがあればガスコンロは必要ないぐらい。
イ:そんな便利なものが?
服:洋食屋さんなどでは、これを採用しているところ多いと思いますよ。ガスコンロを使わないというところも増えてきているように思います。
イ:そう言えは、お聞きしたかったソフトクリームのお話…。どうしてピザとソフトクリームなんでしょうか?
服:僕が好きだからです(笑)。生クリームのように濃厚すぎず、それでいてしっかりした牛乳とバニラの味を楽しめるソフトクリームを追求してて…。
イ:シンプルなお答え(笑)。わたしもソフトクリームが大好きです。
服:ソフトクリームをつくる機械も、これじゃないと、というものを選びました。
イ:では最後に、実際にピザを焼いていただきたいと思います。こんな近くでピザ窯を見るのも、ピザが焼かれるのを見るのも初めて。貴重な体験をさせていただき、ありがとうございました。