2024.12.04
この連載では、世界にひとつの自分らしいインテリアデザインを室内に。インテリアデザインの先進国イギリスで学ばれ、現在日本で活躍されている安藤さんに、ムードボードの重要性を紐解きながら、楽しくプランニングを解説いただきます。
【執筆者プロフィール】
安藤 眞代
美術大学、日本画学科を卒業後、大手インテリアメーカー住江織物でデザイン業務に従事。
ロンドンインテリア留学、Interior Design School London Professional Development Course卒。
業界での豊富な経験と、英国での学びを活かしたトータルな空間コーディネートや、日本では数少ないオーダーカーペットデザインも得意とする。
毎年 ミラノ、ロンドン等海外インテリア展示会を視察し、海外トレンドレポートを多数講演。
https://studio-ma.jp/
その⑨ 番外編part2 イギリスの歴史的建造物のコンバージョン建物
今回の秋のロンドンで、様々なインテリア展示会と共に、今とても熱いコンバージョン建築の視察をしてきました。
(*コンバージョン建物とは、その特徴を活かしながら用途や機能を変更した建物のことです)
グレード1指定のセントマークス教会
イギリスは歴史的建物がとても多いので、特別な建築的価値や歴史的意義を持つ建物は特別な保護がされています。その中でグレード1 の指定建造物の例としては、城、教会、大きなカントリーハウス、古い銀行などがあります。
今回、メイフェア地区にある1974年に聖別された、グレード1指定のセントマークス教会をコンバージョンした「Mercato Mayfair」(メルカート・メイフェア)に行ってきました。
驚くのは、教会によくある幻想的なステンドグラスや、礼拝堂など、ほとんどの教会建築を残したまま、中が丸々フードコートになっているのです。イエス様の前で、ビールを継いでもらうのは、なかなか不思議な光景です。
19世紀の元邸宅ホテル
スローンスクエア駅すぐの、立派で歴史ある19世紀、元邸宅の「At Sloane 」は、5つ星で30室の隠れ家的ホテルです。
一見、そのロードに続くタウンハウスで、ホテル名も表には何処にも明記がなく、ドアマンが立っている事で、やっと気が付く感じのホテルです。
ただ一歩中に入ると、非常に豪華な雰囲気が漂うインテリアで、スローニー(イギリスの上流階級が好む伝統的で上品なスタイル)であると同時に、客室やレストランはパリらしさも感じられるインテリアです。
宿泊者だけのための隠れ家感があり、バーもレストランも非常にゆったりと寛げました。
ロンドン最古の木材置き場
ロンドンのピムリコロードは、世界のトップクラスのアートギャラリーやハイエンドのインテリアショールーム、アンティークショップなどが数多く立ち並ぶインテリアロードです。
昨年出来た「Newson’s Yard」(ニューソンズヤード)は、ロンドン最古の木材置き場をコンバージョンした、新しい一流のデザインスポットです。
インテリアはニューソンズ ヤードの元々のビクトリア朝時代のレンガ造りや、構造用鋼の梁は露出したままにしながら、空間の歴史を強調しています。
今ここには、日本でも人気のインテリアデザイナーの「ニナ キャンベル」の大きなデザインスタジオ、そして北欧デザインギャラリーの「モダニティ」など、多くのインテリアショップが入っています。
ロンドンは豊かな歴史の中に、数多くの歴史的建造物があります。
復元と近代化の微妙なバランスをとって、古いものと新しいものがシームレスに融合した、とてもユニークなコンバージョン建築をこれからもたくさん生み出していくと思います。
ロンドン見るべき展示会、プレゼンス(存在感)の高いと評される「DECOREX International」と【インテリア+アート】にフォーカスした「PAD London」の展示会の視察は、次号以後に書いていきたいと思います。