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「 インテリア・レッスン」 バックナンバー

インテリア・レッスン 第18回

2025.10.08

この連載では、世界にひとつの自分らしいインテリアデザインを室内に。インテリアデザインの先進国イギリスで学ばれ、現在日本で活躍されている安藤さんに、ムードボードの重要性を紐解きながら、楽しくプランニングを解説いただきます。

【執筆者プロフィール】

安藤 眞代
美術大学、日本画学科を卒業後、大手インテリアメーカー住江織物でデザイン業務に従事。
ロンドンインテリア留学、Interior Design School London Professional Development Course卒。
業界での豊富な経験と、英国での学びを活かしたトータルな空間コーディネートや、日本では数少ないオーダーカーペットデザインも得意とする。
毎年 ミラノ、ロンドン等海外インテリア展示会を視察し、海外トレンドレポートを多数講演。
https://studio-ma.jp/

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⑱番外編 その1、クアラルンプールインテリア視察~イギリスで流行したコロニアル建築様式のホテル~

今回は、インテリアのカラーについて、ロンドンやミラノの海外インテリア事例をご紹介する予定でしたが、先日クアラルンプール視察で、様々なインテリアを見てきましたので、番外編としてご紹介したいと思います。

宿泊した「ザ・マジェスティック・ホテル・クアラルンプール」(写真①)は、1932年に開業した歴史あるホテルで、マレーシアの国家遺産にも指定されています。

イギリスの植民地時代18世紀〜20世紀前半)に建てられた建物は、当時のイギリスで流行したコロニアル建築様式が取り入れられており、植民地時代の面影を残すアールデコ調が特徴です。

真っ白な外観に、アーチ型の窓枠で、丘の上に佇む優雅な外観に当時は誰もが魅了されたとのこと。

写真①:ザ・マジェスティック・ホテル・クアラルンプール

写真①:ザ・マジェスティック・ホテル・クアラルンプール

クアラルンプールのもう一つの象徴的な建造物で知られる、古いムーア建築様式の鉄道駅「旧クアラルンプール駅」(写真②)の向かいに位置し、ジャラン・スルタン・ヒシャムディン通りに面した約12,950平方m2の敷地に、300室のラグジュアリー・ゲストルーム、スイートルームを備え、かつての栄華や伝統、コロニアルな古き良き時代の雰囲気に包まれたラグジュアリーな空間です。

コロニアル様式とは、イギリスやフランス、スペイン、オランダなどのヨーロッパ各国が、植民地に自国の建築様式を持ち込み、現地の材料や風土と融合して生まれた建築様式のことです。

写真②:旧クアラルンプール駅

写真②:旧クアラルンプール駅

社交行事「アフタヌーンティー」

開業時、各国の王族など国内外のVIPやセレブが訪れる社交場となりましたが、1980年代初頭にクアラルンプールにおけるホテル競争の激化により閉鎖。閉鎖後、建物の歴史的価値が認められ、一時国立美術館として利用されましたが、2012年、マレーシアの財閥によってホテルとして再開業しました。

現在はマリオットグループの「ザ・マジェスティック・ホテル・クアラルンプール、オートグラフ コレクション」 として運営されています。

マジェスティック・ウィングでは、当時の姿そのままの雰囲気や施設が再現されており、ノスタルジーな雰囲気のインテリアが楽しめます。

また、イギリス上流階級の社交行事であったアフタヌーンティーが、マレーシア独自のスタイルで発展し、アフタヌーンティー文化が根付き始め、統治が終わった今も食文化として残り、そしてさらに進化も遂げています。

この優雅なティーラウンジ(写真③)と、オーキッドコンサバトリー(*)、ドローイングルーム(写真④左右)の3箇所でアフタヌーンティーを頂くことが可能です。

写真③-1:③	メインのエレガンスなティーラウンジ

写真③-1:③ メインのエレガンスなティーラウンジ

写真③-2,3

写真③-2,3

写真④1左:オーキッドコンサバトリー(*)
写真④2右:ドローイングルーム(**)
* コンサバトリー(Conservatory)は屋根や壁面がガラス張りになっている多目的スペースのことで、サンルームより居住性を重視したデザインで、イギリス生まれの伝統的な建築様式。

** 昔、貴族のご婦人方がお茶をいだいていた部屋をドローイングルームと言い、 この呼び名は邸内にある客間のことで、元々は食事会が終わって退く(drawing)部屋をさしました。

写真④1左:オーキッドコンサバトリー(*)
写真④2右:ドローイングルーム(**)
* コンサバトリー(Conservatory)は屋根や壁面がガラス張りになっている多目的スペースのことで、サンルームより居住性を重視したデザインで、イギリス生まれの伝統的な建築様式。

** 昔、貴族のご婦人方がお茶をいだいていた部屋をドローイングルームと言い、 この呼び名は邸内にある客間のことで、元々は食事会が終わって退く(drawing)部屋をさしました。

写真⑤:かつて紳士と呼ばれる人たちの社交場だった場所の再現「ザ・スモークハウス」。

写真⑤:かつて紳士と呼ばれる人たちの社交場だった場所の再現「ザ・スモークハウス」。

写真⑥:アールデコ調ダイニングルーム

写真⑥:アールデコ調ダイニングルーム

現代のインテリアでもコロニアル様式が使われることがあり、その場合、シンプルでナチュラルな素材の家具や、明るい色調、花柄やボタニカル柄などが特徴とされます。コロニアル様式の主な特徴としては、左右対称の整ったシンメトリーなデザインが基本です。

宿泊した部屋は、コロニアル調のマジェスティックウィングで、マレーシアの文化を象徴する装飾品が部屋の各所に配置され、洗練された空間を演出している、約60平方メートルの広さを持つスイートでした(写真⑦)。部屋に向かう廊下や空間も、ゆったりと作られたコロニアル調アールデコなインテリア空間です(写真⑧⑨)。

写真⑦:スイートルームとフレンチスタイルのバスルーム

写真⑦:スイートルームとフレンチスタイルのバスルーム

写真⑧左:⑧	吹き抜けを挟むようにお部屋が配置されています。写真⑨中・右:趣のある廊下、プールのバックは「旧クアラルンプール駅。

写真⑧左:⑧ 吹き抜けを挟むようにお部屋が配置されています。写真⑨中・右:趣のある廊下、プールのバックは「旧クアラルンプール駅。

クアラルンプール、イギリス植民地時代のコロニアル建築様式のホテルインテリアを、ご紹介いたしました。そのほか、文化が混ざり合う多民族国家のマレーシアならではの、様々なインテリアを視察して来ましたので、次回⑲でご紹介いたします。

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