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「 間取りと家電とレイアウト」 バックナンバー

テレビの配置・買替え計画 vol.11

2024.09.25

【執筆者プロフィール】

間取りの中で、家電に関するレイアウトをみなさんと一緒に考えていく連載です。レイアウト例、家電の成功と失敗の口コミ、コンセントの配置等、家電にまつわるトピックを取り上げていきます。
文・図:まっしんはやぶささん https://blog.kisekinomyhome.com//イエマガ編集部
間取り図:株式会社ホームプランニング1000 https://www.megasoft.co.jp/madori/

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テレビの配置・買替え計画 vol.11

今回から、リビングのテレビの配置方法について考えます。新居の広いリビングに、大きなテレビと広々としたソファを配置したいとイメージを膨らませている方は多いと思います。

そこで今回は、テレビと家具の配置と、もしこの先にテレビを買替える場合、その配置はどうなるのか? 間取りと同時に考えておくべきポイントをご紹介します。

画面の高さと画素数で視聴距離を決める

主にテレビメーカーから推奨されている、テレビの視聴距離を画面の高さ(※)の倍数で決める方法がよく知られています。

※テレビのフレームを含めない画面の高さです。薄型テレビにおける「V型」表記は、フレームを含まない画面のサイズを表しています。

例えば主な画素数ごとの推奨視聴距離の算出方法は次のとおりです。

フルHDテレビ     画面高さ✕3倍        = 推奨視聴距離
4Kテレビ           画面高さ✕1.5倍     = 推奨視聴距離
8Kテレビ           画面高さ✕0.75倍    = 推奨視聴距離

この距離を取ると、画素の粗さが気になることがなく視野いっぱいに広がる映像に没入して視聴することができると言われています。

高画質は近距離が推奨?

一方で、高画素のテレビほど推奨視聴距離が短くなるため、ソファの配置位置に合わせた適正な画面サイズを選ぶか、ソファの配置位置をテレビに近づける工夫が必要となります。

しかし、テレビにあまり近いと、常にテレビの映像に没頭するような過ごし方とは限らない場合、テレビとの距離感から圧迫感を感じたり、リラックスできないリビング空間になる恐れもあります。

具体的に、テレビの高さ・画素数ごとの推奨距離を見てみます(表参照)。

テレビの高さと画素数による距離例。これ通りに置く必要性はないですが、最近の高画質のテレビほど、近くから視聴することができます。

テレビの高さと画素数による距離例。これ通りに置く必要性はないですが、最近の高画質のテレビほど、近くから視聴することができます。

80V型の大型テレビの場合でも、4Kテレビでは約1.5mが推奨視聴距離のため、かなりテレビと近くなることがイメージできます。

この推奨視聴距離を忠実に守ろうとすると、希望のテレビサイズやソファ等の家具の配置が思い描いたリビングのイメージとかけ離れてしまい、悩むことになる可能性があります。

また、テレビが4K/8Kの性能でも、視聴する映像自体がフルHD相当の画素数の場合、推奨視聴距離では画素の粗さが目立ってしまう可能性があります。

推奨視聴距離に従うと、テレビのサイズによってはローテーブルが置けないほど、ソファをテレビに近づけて配置することになります。これでは、せっかくのリビングの広さを活かせない、バランスの悪い家具の配置になってしまうことなります。

推奨視聴距離に従うと、テレビのサイズによってはローテーブルが置けないほど、ソファをテレビに近づけて配置することになります。これでは、せっかくのリビングの広さを活かせない、バランスの悪い家具の配置になってしまうことなります。

バランス良く見やすい配置は?

テレビのサイズを大きくすることで、推奨距離が長くなるため、レイアウトの自由度が高まり、配置の悩みを解決できる可能性はあります。ただし、壁面の広さや建具の位置の関係からあまり大きなテレビが置けない場合や、大きな黒いテレビの存在感がインテリアとして好まれない場合は最適解とは言い切れません。

このように、部屋の配置や、テレビの視聴環境を考慮して、4K/8Kテレビであってもあえて画面の高さの3倍を目安にお勧めする等、メーカーの推奨視聴距離に縛られないインテリアコーディネーターの意見も多く見られます。

疲れない「視野角」で視聴距離を決める

もう一つ、視野角からテレビの視聴距離を考える方法があります。

映画館や家庭用映像機器の映像技術や評価で有名な米国THX社では、映像視聴時の左右の視野角を36〜40度とするのが最適と推奨しています。

THXでは、最大視野角を40度としているのに対して、前述の画面の高さの倍数で決める4Kテレビの推奨視聴距離では、約60度以上と大きく超過しています。

画面に近く視野角が広くなると、動きのある映像では頻繁な目の動きが必要となり、長時間の視聴時には、人によっては目の疲れや動画酔いなどの原因となりえます。

没入感ある映像視聴よりも、ゆったりしたリビング空間や、余裕ある視聴距離を確保したい場合は、THX基準の視野角約40度を上限に視聴距離を決めることができます。

画面サイズ50Vの場合、4Kテレビでは約62度の視野角となる、約93cmの視聴距離がメーカー推奨となります。この場合、かなりテレビとソファの位置が近くなることがイメージできると思います。THX基準で最大の約40度の視野角を採用する場合、視聴距離を画面高さの2.5倍の約155cmまで伸ばすことができます。

画面サイズ50Vの場合、4Kテレビでは約62度の視野角となる、約93cmの視聴距離がメーカー推奨となります。この場合、かなりテレビとソファの位置が近くなることがイメージできると思います。THX基準で最大の約40度の視野角を採用する場合、視聴距離を画面高さの2.5倍の約155cmまで伸ばすことができます。

「薄型テレビの人間工学設計ガイドライン」によると、フルHDテレビの場合においても、推奨の3倍以上の遠い距離で視聴する人が多いという調査結果が出ているため、4Kテレビにおける1.5倍の距離にこだわらず納得できる視聴距離を選択しましょう。

一般社団法人 日本人間工学会「薄型テレビの人間工学設計ガイドライン」https://www.ergonomics.jp/official/page-docs/product/guideline/TV_guide_2012.pdf

目線の高さと床座からの視聴も考慮する

視聴距離に加えて、目線に合わせた適切なテレビの高さの考慮をすることも重要です。

テレビを視聴する目線の高さより、約10〜15度下向きの位置に画面の中心となるような高さが、疲れにくく首に負担がかかりにくい最適な高さとされています。

ただし、ソファやチェアからの視聴以外に床座でのテレビ視聴が想定される場合は、その際の目線の高さも考慮しておきましょう。

床座からの視聴でテレビを見上げる高さになってしまう場合は、首が疲れやすくなる可能性があります。

このため、移動しやすいソファや座椅子、ラグやクッションでくつろぐ床座からの視聴など、視聴距離を柔軟に調整できる柔軟なレイアウトにしておくこともお勧めです。

この例では、ソファからの目線の高さには問題ありませんが、床座からの目線と画面の中心の高さがほぼ同じです。
このままでは、長時間の視聴では首が疲れやすい可能性があるため、高さの低いテレビ台を検討しましょう。

この例では、ソファからの目線の高さには問題ありませんが、床座からの目線と画面の中心の高さがほぼ同じです。
このままでは、長時間の視聴では首が疲れやすい可能性があるため、高さの低いテレビ台を検討しましょう。

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