2019.01.26
12年前にオーナーの丸沢さんがはじめた30坪の広さに21席あるカフェ。訪れる人たちのお目当ては、バラエティあふれる具材がたっぷり入ったパスタと手づくりデザート。店内には、配膳を手伝うスタッフはいますが、料理はすべてオーナーひとりで行っています。
古くからあった土間を再利用したキッチンには、お客様を待たせることなく、スピーディーに料理を仕上げるよう、経験から見出された工夫とこだわりがありました。
イエマガ(以下・イ):ホールには木製のカウンターがありますが、この向こうにキッチンがあるんですね。
丸沢さん(以下・マル):はい。それとその右手の奥も。
イ:調理場が奥に続いていたとは。ホールから見えないのでキッチンだとは思いませんでした。奥まったスペースのとり方ですね。
マル:ここは、もともと祖母が所有していた古い家で、ちょうどこの部分が昔ながらのいわゆる「おくどさん」になっていたんです。その土間を生かして、厨房スペースとして使うことにしました。
イ:ここには、厨房機器を一直線に並べられているんですね。
マル:ホールからお皿を下げてきたら、このシンクに入れるので、出入り口の一番近くにシンク。次に調理台(下は冷蔵・冷凍庫)、一番奥にコンロ。作業工程が手前からはじまって、奥に進んでいくと料理が完成という動線になっています。
イ:なるほど「シンクがテーブルに近い」というのは大切ですね。複数人で何度も行き来されるでしょうし。
マル:そうなんです。より動きやすいように考えて変化させて、この配置になりました。
イ:ぜひ、その調理の流れをお話の後に見せてください。
マル:では、後ほど1皿つくってみましょう。
イ:このコンロの横の扉は?どこにつながっているのでしょうか。
マル:奥の部屋に食材が入っています。どうぞ中に入ってご覧ください。
イ:壁面ぎっしりとものがしまわれていますね。それに冷蔵庫も冷凍庫もある。
マル:ここにしまうときは、使う分量ごとに小分けして保存しておきます。
イ:すごくきれいに細かく分類されている!この時点で下ごしらえされているんですね。
マル:手間はかかりますが、そうすると使うときにすごく便利なので。
イ:やはりお店をするとなると、これぐらいの収納はいるものなのですね。
マル:そうですね。はじめはこれほどのスペースは必要なかったのですが、次第にお客様にたくさん来ていただくようになって、必要なものも増えていきました。
イ:さて、元「おくどさん」だったキッチンとは、反対側のこちらは?
マル:こちらは、ドリンクとお菓子専用です。
イ:そういう使い分けをされているんですね。なにか理由が…?
マル:料理の材料とお菓子の材料の匂いが混ざり合ってしまわないように分けています。冷蔵庫も。こちらはお菓子の材料しか入っていません。こちらの調理台の天板には知り合いから譲ってもらった大理石を載せてます。
イ:大理石がだとなにか違うのでしょうか?
マル:大理石はパンやお菓子をつくるとき、生地をこねる台になるんですよ。
イ:そうでしたか。ちゃんとシンクもあって、完全にこちらはこちらでキッチンとして独立してますね。
イ:こちらのお菓子用のキッチンは、さっといろいろなものがすぐに取り出せる見せる収納で、準備が素早くできそうですね。ホール側のカウンターも、頻繁に使うものがきれいに収納されています。
マル:棚などは、ほとんど自分でつくったかも…。置きたいものを測って、ぴったり収まるようにしたり、本棚用につくったり。
イ:置きたい場所と置くものにあわせてつくれるところが手づくりのいいところですね。ご自分もスタッフの方たちも、仕事中に動きに無駄がないように隅々まで考えられていて、そのアイデアが楽しい。設備の配置はもちろんのこと、食事に使う材料や食器、小物等の下準備も大切だと感じました。
では、最後にパスタを一皿お願いします!