2022.08.10
【執筆者プロフィール】
髙橋恵子
株式会社レモンバーム代表
https://www.lemonbalm.jp/
学生時代から花屋で勤め、以来、造園・植物のある空間の企画等、グリーン関連の多岐にわたる業務に携わる。また、園芸エッセイの執筆(毎日新聞家庭欄 )、ラジオ、テレビ番組等の出演多数。大阪豊中市の〈ガーデンショップ・レモンズガーデン〉では、植物の相談やお庭造りの相談にもお応えしています。
さまざまな植物との暮らし方、環境にあった育て方をこの連載でご説明します。これまでに受けた植物に関するお悩みも交えながら、ご一緒に植物の性質についての知識を深めていきましょう。
夏を乗り切る鉢植えのお手入れは?
暑い日が続いていますが、植物も暑さに負けないよう、お庭や室内で一生懸命、成長を続けています。今回は、観葉植物が暑さで元気がなくなったときの対処方法についてお話しします。
夏の観葉植物は基本的にそれぞれの種類に適した水やりや日当たりを与えていれば育つものだと思われていますが、残念ながらそれでも元気がなくなってしまう場合もあります。
意外に知られていないことですが、原因は「根の蒸れ」であることが多いのです。
例えば、「エアコンを切って窓を閉め切って留守にする」ことや、「部屋のコーナーに鉢を置く」ことなどは普通にしがちですが、「無風のサウナ」のような状態では、鉢土の中の余分な水分がお湯になって根が呼吸できなくなってしまうこともあります。
室内の温度・風通しの環境は整っていますか?
最近、人気の観葉植物「エバーフレッシュ」を育てている方から、水切れしないように気をつけているが、葉が枯れてきたという相談がありました。状態を見ると、確かに葉が全体的に枯れてきています。
さらにお話を聞くと、お部屋の日当たりの良いコーナー部分に置いていて、出かけるときは窓を締め切った状態にしているそうで、前述のように外出中に土の中に残っている水の温度が高くなり、温水で根腐れが起こったことが原因と考えられます。
本来、風通しのよい場所で育てれば、土の表面から余分な水分が蒸発し、土の中の蒸れを防いでくれます。
また、このケースではご相談の前に、水切れ対策として大きな鉢に植え替えて土の量を増やしたため、より土が乾きにくい状態になっていました。
この方には、すぐに小さい鉢に植え替えるのは、植物の負担になるので、そのままにして、まずは、日当たりが強く、風が滞留しやすいコーナー部分から鉢を移動させて、外出時も風の当たる土の中が蒸れにくい環境をつくってあげるようにアドバイスしました。
今すぐできること
夏の暑い時期は、水やりは注意しても、風通しは見落としがちです。出かける前に水をあげて、夜まで部屋を閉め切っている。風通しが悪く、土の表面の温度が上がっている、このようなことで植物は元気をなくしていきます。
【夏の暑さを乗り切るために】
●温度が上がりすぎないところに置く
●風通しの良いところに置く
●鉢底の通気性を確保する
サーキュレーターを活用する
風通しが悪い場所や、どうしても締め切らなければいけないときは、まわりの空気を動かすためにサーキュレーターを使うのも一案です。風が土の中の熱と水分を逃がしくれ、根っこも呼吸しやすくなるでしょう。
扇風機等で、直接植物に風を当てることは、葉の水分を奪い傷めてしまうので、おすすめできません。サーキュレーター等で、直接風を当てず、壁にあった風が植物のまわりで、循環するようにしてあげてください。
ベランダで弱ってしまったら
屋外でも熱気が鉢植え植物のまわりに籠もっていないか注意が必要です。ベランダの風通しの悪い場所やエアコンの室外機の近くは、植物の置き場所には向いていません。
また、ベランダは、フェンスのパネルによっては風が遮られ、元気がなくなってしまうことがよくあります。植物を床に置かず、アイアンスタンド等、鉢の底の通気性が良くなる台の上に置いて、少しでも風通しのよい環境をつくりましょう。
このような植物の暑さ対策を行なって、この夏を乗り越えてください。