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2025.12.17
この連載では、世界にひとつの自分らしいインテリアデザインを室内に。インテリアデザインの先進国イギリスで学ばれ、現在日本で活躍されている安藤さんに、ムードボードの重要性を紐解きながら、楽しくプランニングを解説いただきます。
【執筆者プロフィール】
安藤 眞代
美術大学、日本画学科を卒業後、大手インテリアメーカー住江織物でデザイン業務に従事。
ロンドンインテリア留学、Interior Design School London Professional Development Course卒。
業界での豊富な経験と、英国での学びを活かしたトータルな空間コーディネートや、日本では数少ないオーダーカーペットデザインも得意とする。
毎年 ミラノ、ロンドン等海外インテリア展示会を視察し、海外トレンドレポートを多数講演。
https://studio-ma.jp/
その⑳ 海外や、様々なインテリアの事例を用いて、インテリアのカラーポイントについて深く紐解くーその1
インテリアコーディネートにおいて、見る人にもっともインパクトを与える要素のひとつは色です。現在は商業空間や施設、更に医療施設でも色彩心理や環境心理学の観点から、壁を中心に色彩計画が積極的に取り入れられています。
では、家族との団らんを楽しむのがメインの目的である住宅では、どうでしょう。海外住宅のカラーのお話をする前に、まず日本の住宅事情についておさらいします。
日本の住宅事情とインテリアカラー
日本の住宅では、億ションのマンションでも、賃貸のアパートでも、ほぼ同じグレードの白いビニルクロスが貼られています。近年やっと、部屋の一部にアクセントカラー壁紙も使われ始めましたが、この白一色には理由があるのです。
日本は戦後の住宅不足で、白い箱の公団住宅を多く作り、その際白いビニール壁紙は、大量生産が可能で、安定して早く供給でき、クレームになりにくい優秀な工業製品の内装材でした。日本の住宅業界では、その流れが現在まで続いているのです。
ヨーロッパは主流は自然素材
では、ヨーロッパで白一色にならないのはどうしてなのかと言うと、歴史・気候・素材・住まい観が、日本と根本的に違うからです。イギリスでは、家は150年前のビクトリア時代に多く供給され(写真①)、湿度が無いので、家自体が300、400年そして600年の家もあり、長く使い続ける資産なのです。
内装は貼り替えるのではなく、育てるもので、色・素材・装飾全てが“個性”なのです。また、ヨーロッパは主流が 石・レンガ・左官・漆喰(写真②)なので、そもそも壁紙を貼るという文化がなく、主流は塗装です。
左・写真①:ビクトリア時代の200年近い美しい住宅。右写真②:レンガの壁をそのまま活かしたインテリア空間。
同じマンションの部屋でも、クロスを一面張り替えただけでも素敵な印象になります(日本の事例)。
インテリアのカラーポイント
ここからは自宅のインテリアに取り入れる際のポイントを、実例付きでご紹介します。
全体のバランスを常に意識する海外インテリアでは、部屋全体のイメージをまとめることにとても重点を置いています。無造作に家具や、クッションが置かれているように見えても(写真③)配置や色、デザインなどにおいて全体のバランスを計算してコーディネートされています。
写真③:無造作に置かれているような、インテリアピースも計算されている。
その②の足していく事で美しい、イギリスのインテリアデザイン・スタイルでも登場した、スティーブン・ライアン(Stephen Ryan)の自邸(写真④)は、エクレクティック(eclectic)スタイルが特徴的ですが、カラーの使い方が大変参考になります。
中央にかけられた大きなアートに入っているカラーと、ソファに置かれたたくさんのクッションは同じ色カラーで構成されています。同じ壁面の空間で、似たカラー(同系色・類似色)でつないでいくと、一気に統一感が生まれます。
真写④:スティーブン・ライアン(Stephen Ryan)の自邸の事例。
同系色に差し色でコーディネート
海外のインテリアではパターン(柄)を上手に使った事例が多く見受けられます。まずは何かのパターンと、カラー無地の組み合わせからスタートし、徐々に幾つかの組み合わせにも挑戦すると、自然と海外インテリアのように素敵な空間ができます。
ローズレッドカラーの差し色が美しいリビングの事例は、日本で私が手掛けた物件です。これもたくさんのクッションのカラーを、生地の素材違いの同系色でまとめて(写真⑤-1,2)差し色にローズレッドを入れています。
その同じ空間にあるプレーンシェード(上にあがっていくカーテン)の裾に、同じローズレッドのアクセントを入れています。カラーのバランスを考慮しながら差し色を使うと、とてもセンスの良い空間になります。
写真⑤-1:ソファ上のクッションのカラーを、生地の素材違いの同系色でまとめて、同室のカーテンとのカラーバランスを考慮しています。
写真⑤-2:同じ空間にあるプレーンシェードの裾に、同じローズレッドのアクセントを。
次回は写真(写真⑥)のように海外では塗装の深い色味を使った壁が多く見られます。
日本では、ほぼ使われない濃いカラーについても、インテリアのカラーポイント その2として、もうすこし多くの海外事例をご紹介して、深く紐解いていきたいと思います。
写真⑥:上品なグリーンカラーの塗装壁。



























