2024.04.17
この連載では、世界にひとつの自分らしいインテリアデザインを室内に。インテリアデザインの先進国イギリスで学ばれ、現在日本で活躍されている安藤さんに、ムードボードの重要性を紐解きながら、楽しくプランニングを解説いただきます。
【執筆者プロフィール】
安藤 眞代
大手インテリアメーカー住江織物にて、デザイン業務に従事。その後多数キャリアを積み、大阪にてインテリアデザインスタジオ「studio Ma」を創業。英国での経験をいかしたトータル空間コーディネートや日本では数少ないオーダーカーペットデザイン(タフトカーペット、手織り多数種類)も得意とする。
ミラノやロンドン等インテリア展示会を毎年視察し、海外トレンドレポートも多数講演。
https://studio-ma.jp/
~イギリスのインテリア事情から〜
その① インテリアプランニングの軸となるMood Board(ムードボード)とは
まずイギリス人は、大抵の方がインテリア大好きです!
ロンドンの美術館や、博物館はほとんどが無料で、小さい時からアートに触れることも多く、そういう環境の中で自然と感性が磨かれて育つので、イギリスの人々のインテリアに掛ける情熱大変高いです。
ロンドンでインテリアショップが多く集まるキングスロード。そのスローンスクエア駅前にある デパートPeter Jones & Partners(ピーター・ジョーンズ)は、とてもインテリア売り場が充実していて、普通に一本から購入できる壁紙(W50センチ)や、たくさんのクッション、素敵なカーテンがとても気軽に購入できます(お家をプチD I Yをする方もとても多いのです)。
メディアで常に注目されるテーマ
街角の書籍には様々デジタル化になった現在でも、インテリア関連の書籍がずらずらっと並んでおり、その発行部数も日本とは格段に違います。(実際には40種類以上もある様です)
T Vでもインテリア関連番組は大変人気で、「The Great Interior Design Challenge」は2014年からイギリスで4シーズン続いたインテリア人気番組で、インテリア大好き一般人が様々インテリアプロジェクトにチャレジし、活躍する一流プロのジャッジで勝ち上がっていく番組です。
インテリアデザインに必須「ムードボード」
その際、クライアントに最初に提出するのがMood Board(ムードボード)です。
日本ではあまり馴染みがない言い方ですが、インテリアイメージボードというのが、一番近しいかもしれません。
イギリスのインテリアプランニングでは、インテリアの軸となるムードボードは、プロジェクトにおいてデザインの道筋を確認する、インテリアのストーリーボードのことで、家具や照明などの具体性を求めるものではなく、インテリアの雰囲気を伝えるボード です。
リノベーション、新築問わず、最初にしっかりとクライアント(お客様)と、インテリアをどのような雰囲気にしたいのかということを、一番に最初に決めるのです。
どう暮らしたいかの道筋に
イギリスでは家を新しく建てる事は稀で、ほぼ何百年という古く美しい建物の中を、インテリアデザイナーを中心して建築家と協業、プロジェクトの最初の設計段階からデザイナーが入り、互いに話し合いながら進めて行きます。
このMood Board(ムードボード)で、どう暮らしたいか、どんなインテリアにしたいのかをしっかりとプロジェクトが始まる最初に打ち合わせをすることで、長い期間を要する家づくりに、途中でお客様に迷いが出ても、Mood Boardに立ち返ることで筋道が通った素敵なインテリアが完成するのです。
次回、その②でMood Board(ムードボード)とそれに関する、「イギリスの、足し行く事で美しいインテリアデザイン・スタイル」について書きたいと思います。