2024.07.03
この連載では、世界にひとつの自分らしいインテリアデザインを室内に。インテリアデザインの先進国イギリスで学ばれ、現在日本で活躍されている安藤さんに、ムードボードの重要性を紐解きながら、楽しくプランニングを解説いただきます。
【執筆者プロフィール】
安藤 眞代
大手インテリアメーカー住江織物にて、デザイン業務に従事。その後多数キャリアを積み、大阪にてインテリアデザインスタジオ「studio Ma」を創業。英国での経験をいかしたトータル空間コーディネートや日本では数少ないオーダーカーペットデザイン(タフトカーペット、手織り多数種類)も得意とする。
ミラノやロンドン等インテリア展示会を毎年視察し、海外トレンドレポートも多数講演。
https://studio-ma.jp/
その④ ダイナミックなイギリスのインテリアマーケット
ムードボードが重視されるインテリアマーケット
その③で、Mood Board(ムードボード)の作成のポイントを書きました。
イギリスでは、そのムードボードが大変重要視されているダイナミックなインテリアマーケットがあります。西ロンドンのチェルシー・ハーバーにあるデザインセンターは、プロのためのインテリア関連のメーカーが一同に集まる施設です。
ここは600以上ものインテリア関連のブランド、そして120ものショールームが入所しており、イギリスのインテリアマーケットを支える中心的な場所です。
最高級のファブリック、家具、照明、壁紙、アクセサリー、キッチン、バスルーム、アウトドアリビング、装飾品、革、金具、タイル、カーペットの様々な商材があり、デザイナーにとって、その②で書いたようなエクレクティック(eclectic)スタイルを提案する情報を、一挙に入手できる場所として重要な存在になっています。
デザインセンターの周辺
チェルシーデザインセンター周辺にも、5キロにわたってインテリアのショールーム、ショップ、デザインスタジオが軒を並べています。
その全てがしっかりと営業をしていて、いかにイギリスインテリアマーケットがダイナミックなのかがわかります。そこから続くキングスロード街中にも、華やかなインテリアのショップがたくさんあります。
見るべき展示会❶「DECOREX」
毎年9、10月にロンドン開催されるデザインイベントをロンドンデザインウィークと呼び、各地で多数の展示会(exhibition)が開催されます。
数多くあるエキシビションの中でも、特にプレゼンス(存在感)の高いと評される「DECOREX International」と[インテリア+アート]にフォーカスした「PAD London」は、毎年多くの影響力のあるインテリアデザイナーたちで賑わいを見せます。
「DECOREX」は伝統的デザインと先進的デザインが見事に融合した美しい商材が揃い、会場には400 を超える高級ブランドやメーカーが出展しています。
アクセサリーから絨毯、テキスタイル、家具、装飾の凝ったクラシカルなインテリアからモダンまで、様々なクオリティの高いインテリアが並びます。イギリスでの国内需要で十分マーケットが回るので、あえて海外に出ないメーカーの出展が多いもの特徴です。
❷「PAD London」
インテリアとアートの最高峰の展示会「PAD」は、ロンドンの裕福なメイフェア地区の中心部にあるバークレースクエア(公園内)で毎年10月に開催されます。
国際的なギャラリーを中心としたデザインとアートの展示会(有料で25ポンド〜)であり、ここでしか見ることができない一点物のアーティーな家具や装飾品が一堂に揃う、素晴らしい展示会です。
ご紹介しましたデザインセンター、ショールーム、展示会からダイナミックなイギリスのインテリアマーケットの様子を見て頂きました。
その⑤では、プレミアムなインテリア空間を生み出すイギリスのインテリアデザイナーを取り巻く環境、日本との違いも含めて書きたいと思います。