2025.09.03
この連載では、世界にひとつの自分らしいインテリアデザインを室内に。インテリアデザインの先進国イギリスで学ばれ、現在日本で活躍されている安藤さんに、ムードボードの重要性を紐解きながら、楽しくプランニングを解説いただきます。
【執筆者プロフィール】
安藤 眞代
美術大学、日本画学科を卒業後、大手インテリアメーカー住江織物でデザイン業務に従事。
ロンドンインテリア留学、Interior Design School London Professional Development Course卒。
業界での豊富な経験と、英国での学びを活かしたトータルな空間コーディネートや、日本では数少ないオーダーカーペットデザインも得意とする。
毎年 ミラノ、ロンドン等海外インテリア展示会を視察し、海外トレンドレポートを多数講演。
https://studio-ma.jp/
その⑰インテリア空間を素敵に見せるディスプレイのポイントー ―フォーカルポイント( Focal point)とフィニッシングタッチ Part.2
その⑦でご紹介した、インテリア空間を素敵に見せるディスプレイ方法「フォーカルポイント」を、更に深く法則を用いて説明していきたいと思います。
リビングのフォーカルポイント
心地よく過ごしたい、素敵にしたい1番の空間、リビングからフォーカルポイント作っていきましょう。まずリビングのドアを開けて、その先に見える正面とその横の壁(対角線の角を挟んでの2面)がとても大事です。
メインになるソファをそのどちらかの壁に配置し、意識してソファ前に置くセンターテーブル(コーヒーテーブル)や、サイドのサイドテーブルをシンメトリー(左右同じバランス)に配置すると、自然に空間が整ってきます(写真①)。

写真①:ロンドンのエアビーのリビング、正面とその横の壁2面が、ソファとマントルピースになっていて、美しいフォーカルポイントを作り出しています。
ソファの後ろの壁も、奥行き感を出すには大事で、アートを飾るのがとても良いのですが、賃貸などで壁に飾るのが難しい場合は、ソファの横に印象的なテーブルランプや、スタンド照明でフォーカルポイントを作っても素敵になります(写真②③)。

写真②:ロンドンで滞在したエアビーリビング。ソファの横に印象的なテーブルランプや、スタンド照明でフォーカルポイントを作り出しています。

写真③:ロンドンのショールムや、インテリア売り場での、個性的なテーブルランプ達。
少し動きを出したい時は、ソファに置くクッションを奇数にして、左右に振り分け、2個1個に配置すると簡単に動きが生まれます。ちなみにわが家は、三人掛けソファに大きさが異なる5つのクッションを3個、2個に振り分けています。大きさや、デザイン、カラーの違うクッションはそれだけでフォーカルポイントとなり、空間を素敵に見せてくれます(写真④-1,2)。
クッションは、一番気軽に、簡単にフォーカルポイントを作れるアイテムなので、ぜひ挑戦してみて下さい。

写真④-1

写真④-2:手がけたお客様のリビングソファに、オリジナルで製作したクッション達。同系色でコーディネートしたり、大きさや、デザイン、カラーの違うクッションをおくことで、空間に動きが生まれ、素敵なインテリアになります。
フィニッシングタッチ(Finishing Touch)のコツ
同じくその⑦でご紹介した、フィニッシングタッチ(Finishing Touch)は、海外のインテリアシーンでは頻繁使われる、インテリアの最後の仕上げのスタイリングです。コンソールテーブルやサイドテーブル、チェストの上のスタイリング、ここでもちょっとしたコツを覚えれば、簡単にセンスの良いフォーカルポイントとなる空間を作り出すことができます。
三角構成(トライアングル構成)と言って、これさえ押さえておけば、誰でも美しいディスプレイをすることができます。
まず、ディスプレイしたい小物を中央に最も背の高い商品を配置し、左右にそれより低い商品を配置することで、安定感と立体感、ボリューム感を出すことができる構図です。わかりやすく言うと「大・中・小」の3つの高さの異なるアイテムを、三角形(二等辺三角形)に置くことでリズムが生まれて、見た目が素敵な1つのまとまりに見えるのです。
左右異なる高さの三角形(不等辺三角形)スタイルも、バランスを意図的に崩すことで、斬新なディスプレイが生まれます。(写真⑤1,2,3、⑥)
一見難しいと思われがちなショップや、インテリア雑誌で見られるようなセンスの良いディスプレイも、この法則を知っていれば、簡単に応用して作れるようになります。

写真⑤-1,2

写真⑤-3:手がけたお客様家での、3角構成を応用した小物のディスプレイ。

写真⑥:海外のインテリアの3角構成を応用したディスプレイ。
ディスプレイする小物がたくさんあった場合も、大きく引いて、前から見ても三角、そして上から見ても三角になっていれば、全体にバランス良く感じられるのです(説明資料⑦)。