同じ広さの土地(敷地)でも、そのカタチ(形状)やどのように道路に面しているかによって、家の建築面積や床面積はもちろんのこと、住みやすさにも大きな影響を与えます。
また、そうした立地条件は土地の価格にも反映されるものです。
例として主に168m2の敷地に7m×8mの家を建てることを想定して、土地の良しあしをチェックしてみましょう(→土地の広さについてはこちら)。
敷地の形状はさまざまですが、おおむね長方形が多いようです。
建築基準法では、「建築物の敷地は、道路に2m以上接しなければならない」と定められています。
以前は道路に面して広かった土地を、地主が適当な区画に分けて売りに出す際、下図1のような土地ならばAとBに分けられますが、下図2のような場合にCと Dのように分けると、Dの敷地は道路に面していないので、Cの敷地内を通行しなければなりません。これでは不便ですしトラブルのもと。
そこで、Dの敷地は下図3のように幅2m以上の通路で道路と接していなくてはならない」という主旨の法規が定められているのです。このときDの敷地形状が旗のように見えるため、「旗竿状(の)敷地」と呼ぶことがあります。
しかし、Dの「竿」にあたる通路は敷地面積に含まれるものの、有効に使うことが難しく(十分な幅がないと駐車スペースにならない)、しかも奥まっているため日当たりがよくないこともままあり、好んで選びたい土地ではありません。とはいえ、地価の高い都市部ではこのような土地がかなり多いのが現状です。
角地は風通しや日当たりがよい好立地とされていますが、下図4のような三角形の土地はよほど広くない限り長方形の家を建てるには不向きです。
ちなみに、平面形状が7m×8mの長方形の家を建てようとすると、図の*の部分が1m未満となるなど、おさまりが悪くなりがち。下図5の旗竿状敷地Gのほうがよいかもしれませんね。
なお、家相では三角形の敷地は凶相とされていますので、気にする方はさらにご用心を。
旗竿状敷地の分譲地では、下図5のようにFとGの面積がほぼ同じケースが多いようです。このような場合にはGの方がFより坪単価が安く、おトクなこともあるのでケースバイケースで判断しましょう。
近年夏の暑さが問題になっていますが、日本では日当たりの悪い土地は嫌われます。
できるだけ南面に広い庭を設け、そこに接する部屋に日差しを取り込むのが日本の暮らしの基本です。
そこで、太陽光がどのような角度(太陽高度)で地面や壁に当たるのかを調べてみましょう。実は、太陽高度は緯度と季節におおいに関係があります。
例えば、緯度35度の地点(名古屋や静岡など)の南中高度※は、夏至:78.4度、春分・秋分:55度、冬至:31.6度。季節によって大きく変化します。
緯度が異なっても、夏至:(90−緯度)+23.4、春分・秋分:(90−緯度)±0、冬至:(90−緯度)−23.4 の式から簡単に計算できます。
では、太陽高度の変化が日当たりにどのような影響を与えるか、下図6のような旗竿状敷地Gで確認してみましょう。
隣地境界をはさんで北側の敷地Gの建物と、南側の敷地Fの建物とは互いに1mずつ離れて建てられています。そのため、敷地Gの建物では夏至に庭の地面にまで太陽光が当たりますが、春分・秋分には地面から3.6mの高さ(ほぼ1階部分すべて)まで、また冬至には地面から5.27mの高さ(2階の窓の上部)までしか当たりません。
このようなことは旗竿状敷地に限らず、北側に位置する敷地で建物が接近している場合に起こりうることです。
なお、日当たりに関しては、CADやCGのソフトを用いて周辺の建物の位置や大きさを入力することでシミュレーションすることが可能です。
家づくりをお願いするパートナーが決まっている方は、あらかじめ相談してみるとよいでしょう。
※ 南中高度
一日のうちで最も太陽が高くのぼるときの地面との角度。東経135度の明石市では午後0時の角度。
規模の大きな分譲地では、よく似た広さの土地が多いようですが、道路に面している方角はさまざまです。
そこで、12m×14mの長方形の敷地と7m×8mの家を例にとり、道路の位置と敷地の方角を変えたとき、どのように建物を配置すると日当たりがよいかを調べてみました。
下図7の(a)(b)は道路が南側に面する「南入り」、(c)(d)は「北入り」、(e)は「東入り」と「西入り」の場合の
<家>
<駐車スペース>
<庭>
を平面的に配置したものです。いずれも、南側と東側からの日差しを積極的に取り入れ、かつ庭を広くとっています。
(a)〜(d)は、家が一軒しか建っていないので、隣家との距離次第では日当たりが悪くなる可能性もありますが、南側に道路や庭などのスペースがあると安心です。
一方、(e)では西日が気になります。
道路の右側の家は夕方になると西日が直射しますが、左側の家は裏(西側)に家が建つ(建っている)とその距離次第では西日をうまく遮ってくれるかもしれません。
一般的には「南入りの敷地がよし」とされていますが、建物の配置はもちろん、窓の位置や大きさなどを工夫することで十分な採光を得られます。
敷地の方角だけにこだわらず、敷地の広さ、形状、そして設計力なども考慮することが大切なのではないでしょうか。
敷地の広さはもちろんのこと、その形状や方角などは住む人のライフスタイルによって評価が異なります。
まずは、図面や地図などを参考にして机上で十分に吟味し、と同時に現地へ赴き、これから生活する場としてふさわしいかどうか体感してみましょう。
敷地の風通しは図面ではほとんど判断できません。また、一度や二度訪れただけでは通年の風向きや強さはわからないものです。
そこでお勧めしたいのが地元の人へのリサーチ。長く住んでいるお年寄り、畑があれば農家、海辺なら漁師など、日頃から風を肌で感じている方がよく知っているはずです。
もし、風の強い地域の場合、風上に田畑があれば砂塵を、工場や牧場などがあるときは臭いを気にしたほうがよいでしょう。
分譲地などの案内図だけでは高低差がわかりにくいものです。
現地に行くと思いのほか坂がきつかったり、隣地との段差が気になることもあります。
また、自家用車を利用する方は道路をスムーズに通行できるか、とくに初心者や運転に不慣れな方にとっては自ら確かめてみるのが一番。家の前で車庫入れがしにくいといったことも、日々のストレスとなります。
今回の土地探しに関するチェックシートを用意しました。これまでの要件をもとにして書き込んでみましょう。