土地が広いに越したことはありません。
しかし、家づくりの資金には限りがあります。
まず、最低限どれだけの広さが必要かを決めることが大切です。
また、土地の立地条件や法的規制などの制約を確かめて、土地を有効に利用できるかどうか確かめる必要もあります。
下の表は住宅金融支援機構の調査結果ですが、興味深いのは住宅面積(床面積)です。
地価の高い首都圏では、敷地面積、住宅面積ともに狭く、東海圏との違いは明らかです。
注文住宅 | 建売住宅 | |||
---|---|---|---|---|
敷地面積 | 住宅面積 | 敷地面積 | 住宅面積 | |
全国 | 223.5 |
131.3 |
124.0 |
102.0 |
首都圏 | 162.0 |
124.6 |
114.0 |
97.0 |
近畿圏 | 176.0 |
127.9 |
100.3 |
103.2 |
東海圏 | 226.3 |
137.5 |
151.6 |
110.8 |
注文住宅の家族数は3.7人、建売住宅では3.2人。
これらのことから、地域によって敷地面積や住宅面積は異なるものの、注文住宅では敷地面積は住宅面積の1.7倍(全国平均)が「めやす」。
また、建売住宅の数値は、最低限の基準であるとも考えられます。
先人の経験値もおおいに役立てましょう。
住宅金融支援機構を利用して家を建てる方々の平均家族数は3.3人でしたが、これは夫婦+子供2人を想定した場合。では、子供がさらに多い家庭や親世帯との二世帯同居では?
子供が多いことにより床面積が増えるのは子供室です。6畳の個室を1室増やすと、収納スペースと合わせて床面積が10〜12m2増しますが、庭が狭くなることを我慢すれば、よほどの狭小敷地でない限り(上表の範囲内ならばほぼOK)大丈夫でしょう。
また、近ごろはやや広めの子供室を家具などで間仕切るケースが多く、子供室を一人ずつの個室にするより床面積のムダが少なくなり、兄弟間のコミュニケーションも増えます。
二世帯同居の場合には、生活空間をそれぞれ別にした分離タイプにすると床面積が2倍近くになり、広い土地が必要になります。
しかし、共用ゾーンを多くした共用タイプにすれば、思ったほど床面積は増えません。
年月が経過すると家族構成やライフスタイルが変化するのは当然のことです。
近ごろでは下図のように、部屋の用途を変更することでフレキシブルに対応するという提案が増えています。また、将来簡単に取り外せる間仕切りなども開発されているようです。このような考え方や工夫を取り入れ、ムダな空間を省けば、必要以上に広い土地を探さなくても済みますね。
経年変化に対応する部屋の用途変更
(2階のプラベートゾーンの居室について、その用途を変更したイメージ)
登記簿などに表記される土地の広さは、必ずしも実際に使える広さとは限りません。
例えば、盛土や切り土による傾斜地(下図A)では、斜面は敷地面積に含まれていますが、この部分に建物を建てるのは容易でありません。
また、角地の「すみ切り」部分(下図B)や私道は敷地の一部でも当然ながら建物は建てられません。同様に、幅4m未満の道路に面した敷地(下図C)も、道路の幅が4mあるものとみなされ、その部分には建てられません。
このほか、用途地域、斜線制限、防火・準防火地域などの規制により、建物の床面積(建ぺい率や容積率により、敷地いっぱいには建てられない)や構造に制限が加えられることがあります。
なお、これら法的な制限に関しては第5回「土地に関わる法規制」で詳しく説明します。
限られた広さの土地でも、有効に使えば広い土地に匹敵する居住性を実現することができます。
例えば、建物を3階もしくは4階建て※にしたり地下室を設けることで、同じ床面積でも庭を広く取ることが可能です。
ただし、3階建てや4階建ての建物は鉄骨造や鉄筋コンクリート造などの堅牢な構造でなければ建てられない場合があり、また地下室を設ける場合も木造2階建てに比べ坪単価が高くなり、家づくりの総予算に影響を与えます。
狭小敷地での建築も同様に割高になるので注意が必要です。
このほか、耐火建築物にすると、外壁を敷地いっぱいに設けられるため、床面積を広くできます。
※2004年4月から、2×4工法(木造)の耐火建築物が可能になりました。
今回の土地探しに関するチェックシートを用意しました。これまでの要件をもとにして書き込んでみましょう。