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家に帰ってケンちゃんに「家を買うって大変な買い物だね」と言ったら、「そりゃそうだよ、俺の給料知ってるだろ?」って言われました。 |
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さすが、ご主人。奥さんには内緒で、いろいろ考えておられるのですね。それでは、「今あるお金の整理をする表」から見ていきましょうか。この中で、今すぐに使えないお金、定期預金などで解約できないものはありますか? |
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いいえ、ありません。 |
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では、今すぐ使えるお金は569万円ということでいいですか? |
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はい。こうして書き出してみると、思っていたよりお金があったのでちょっとほっとしました。 |
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そうですね。でも、普段の生活の中で思いがけない支出が必要なときもありますよね。急に病人が出るとか、ご主人の転勤が決まってしまうとか。一般的には、そういった場合に備えて、生活するのに必要な1か月あたりの金額の2か月から3か月分を普通預金などに置いておく方がいいとも言われているんです。
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確かにそうですね。じゃあ、ケンちゃんと私の普通預金は残しておこうかな。569万円から84万円を引いて、485万円になりました。 |
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はい。そのお金が頭金に使えるお金になります。住宅購入の際の頭金は、購入する物件の2割くらいだとよく言われますよね。そうすると、単純に計算すれば、購入できる住宅のお値段は2425万円ということになりますね。 |
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えーっ、そうなんですか。じゃあ、庭付き一戸建てなんて無理ですよね。あっ、でも、今のケンちゃんの年収だったら、2000万円から3000万円くらいは借りられるってどこかで聞いたことがあるんですけど……。
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そうですね。金融機関によっては、いろいろな審査の条件を持っていますので、それくらいの金額を貸してくれるところもあるかもしれませんね。 ただ、お金は借りたけれども、その後の返済が大変で、最悪の場合、せっかく手に入れたマイホームを手放さなければならなくなったとしたら……困りますよね。 |
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それだけは、絶対に嫌です。返済が大変で、ガーデニングもできないなんてことになったら、本当に寂しいです。 |
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では、そうならないように、今の伊江家での無理のない返済額を考えてみましょう。残り2つの表「月の収入と支出を書き出す表」と「年間の収入と支出を書き出す表」ですね。 |
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子供ができてからは家計簿をさぼり気味で、だいたいの数字なんですけど、大丈夫でしょうか? |
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大丈夫ですよ。今は、おおまかなイメージを持つことが大事ですから。 さあ、順番に見ていきましょう。まず収入です。ご主人のお給料だけということでいいですか? |
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はい、そうです。 |
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次に支出ですが、ここに書き出していただいた支出の中で、家を買った後はなくなるものがありますよね。どれでしょう? |
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家賃と共益費です。それから、もし新居が駐車場付きなら駐車場代もいらなくなります。あ、家を買うための貯蓄も必要なくなりますよね。その分を差し引いた合計額が「無理のない返済額」になるんですね? |
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はい、そうです。そんな風に考えていくといいかと思います。ただ、家を持つとなると、今まで必要ではなかったものが必要になりますね。 |
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固定資産税……でしたっけ? |
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固定資産税もそうですし、修繕費も必要になってきます。 |
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そうかあ。社宅だと払わなくても済むけど、持ち家だとそういう費用が個人にかかってくるんですね。修繕費って、実際にはどのくらいかかるものなんでしょうか? |
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一般的にですが、10年単位くらいで水周りの修繕、20年単位くらいで屋根や外壁の修繕が必要になってくるようです。それぞれ100万円から300万くらいでしょうか?
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そんなにかかるんですか? なんだか、家を持つのが不安になってきました。 |
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人生で一番大きな買い物、といわれるのは、こんなところにもあるのかもしれませんね。 それでは、修繕費も毎月積み立てをしていくことを考えて、資金計画の中に取り込んではいかがでしょうか? |
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なるほど、そうですね! |
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10年間で約200万円の修繕費が必要だと考えてみましょう。200万円÷10年÷12か月で計算すれば、毎月1万6000円。少し余裕をみて、毎月2万円ずつ積み立てることにしましょうか。 |
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あとは固定資産税ですね。まったく見当がつきません。 |
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固定資産税は、どこにどんな家を建てるかによって変わってきます。今日は、一般的な数字として、年間で約10万円、1か月約1万円で考えてみることにしましょう。では、それらをまとめて計算してみましょうか。 |
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はい。まず、今現在払っていて、家を買うと必要でなくなるお金は……毎月の家賃と共益費が2万円。駐車場代が1万5000円。家を買うために積み立てているお金が5万円。ボーナスで24万円積み立てているから、その分を毎月に換算すると、2万円。全部合わせると、月々10万5000円が浮くことになるんですね。 次は、家を買うと必要になるお金。修繕費の積み立て分2万円と、固定資産税の1万円で、合計3万円。 さっきの10万5000円からこの3万円を引くと、7万5000円――これが、「無理のない返済額」になるんですか?
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はい、そうです。ほかにもいろいろな考え方がありますし、ご家庭によって事情が変わってくると思いますので、一概に言えませんが……。こんな風にきちんとお金の整理をして金額を出してみると、わかりやすいと思いませんか? |
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はい! なんとなく家が買えそうな気がしてきました。この金額なら十分返済できると思います。ちょっと安心しました。 ところで、毎月の返済額が7万5000円だとすると、住宅ローンはいくらくらい借りられるのでしょうか? 庭付き一戸建ての家は買えそうですか? |
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そうですね。では、次回は伊江家で借り入れができる金額を見ていくことにしましょう。 |