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今住んでいる社宅は狭すぎて、家族4人で暮らすのは無理だと思うんです。赤ちゃんが生まれたら、広い家に移りたいんですけど……。 |
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どんな家に移りたいか、具体的に決まっていますか? |
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結婚する前から、ケンちゃん――主人と、「いつか庭付き一戸建てに住もうね」って話していたんです。 二人とも自然が大好きなので、できれば自然に囲まれた環境のいい場所で、休日には近くの川で魚釣りをしたり山に登ったり、庭で木や花を育てたりして暮らしたいんです。 |
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それは素敵ですね。ところで、今のツキ子さんのお話だと、赤ちゃんが生まれたらすぐに引っ越ししなくてはいけない状況みたいですね。 |
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そうなんです。今の社宅では、赤ちゃんのベッドなんか置けないと思うんですよ。 でも、貯金が少ないので、庭付き一戸建てを買うのはまだ無理かなって気もするし……。新聞の折り込みチラシを見ると、近所の新築一戸建てが4000万円くらいしていましたから。 |
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そうですね。家の購入というのは、人生の中で一番大きな買い物かもしれませんよね。ちょっと考えてみてください。 家を建てる費用というと、4000万、5000万という数字がすぐに耳に入ってきますが、4000万円というと、ご家族3人で何年くらい暮らせると思いますか? |
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えっ。そうか、家の値段で4000万円と言われるとそんなもんかと思っていたけど、よく考えたら……。毎月30万円のお給料だから、えっと。 |
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ちょっと計算してみましょう。1か月のお給料が30万円ということは、1年で360万円ですね。4000万円を360万円で割った数字が「11.1」。 インフレがなく、今の状況のままだとすれば、11年、ご家族3人で暮らしていけることになりますね。 |
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家を買うのに、11年分の私たちの生活費を払うことになるんですね。そう考えると、家を買うというのは本当に大きな買い物ですね。 |
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そうなんです。さらに、家を買うのに住宅ローンを組む人も多いですね。4000万円を借りるということは、さらにここに金利がつきますから、6000万円、7000万円という大きな金額を返していかなくてはならなくなりますよね。
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そうなんですか。金利って怖いですね。家賃並みの金額で住宅ローンが払えるっていうからその方がいいかなって思っていたけど、よく考えなくっちゃ。でも、買った家が値上がりしていけば、損にはならないんじゃないんですか? |
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かつての日本にはそういう時代もありました。いわゆる高度成長期に家を購入された方は、毎年きっちりお給料が値上がりしていましたから、今より金利が高くても、住宅ローンの返済をこなしながら子供たちを大学に行かせてあげることができたんです。
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そうかあ。ケンちゃんのお給料、全然上がらないものなあ。それにしても、やっぱりこのまま社宅で暮らすっていうのは、無理な気がするんです。 |
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ツキ子さん、もう一度、ご主人と家の購入について、じっくり話し合われてはどうでしょうか。お二人で築いてこられたお金を最大限に生かして、夢を実現できるようにお金の整理をして、お金の性質をよく理解しながら、家の購入を前向きに検討してみては。 お金というものは、ただ欲望のために使ったり、貯めるためにあるものではなく、夢を実現させていくために使う手段ではないでしょうか。だからこそ、お金の価値をしっかり頭に入れて、有意義に使う方法を見つける方がいいと思うんです。 |
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ええ、なんだか勇気がわいてきたような気がします。ところで、お金の整理ってどんなことをすればいいんですか。 |
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はい、順番に説明しますね。まず、今の伊江家ではいくらくらいの家を買うことができるのかを、知る必要がありますね。 |
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そうです! それが一番知りたいです。 |
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では、この3つの表を記入してきてください。「今あるお金の整理をする表」と「月の収入と支出を書き出す表」と「年間の収入と支出を書き出す表」です。 「今あるお金の整理をする表」というのは、現在の伊江家の金融資産、つまり財産の一部であるお金を一覧にするためのものです。 この表で、自己資金として住宅購入に使える金額を確認しましょう。
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いわゆる「頭金」ですね。 |
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そうです。次に「月の収入と支出を書き出す表」と「年間の収入と支出を書き出す表」ですが、住宅購入の際に自己資金だけで購入できる人は少ないですね。借り入れをする場合、毎年いくらずつの返済なら可能か、いくらまでの借り入れが可能なのかを、この表でざっくりと確認します。 |
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わかりました。帰ってケンちゃんと相談して記入してきますね。今日はありがとうございました。 |