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まっしん はやぶさ さん
関西から関東に転職を機にお引っ越し。関西で暮らしていた分譲の戸建ては賃貸に出すものの、住宅ローンの支払いは赤字に…。さらに関東での家賃も加わって…。
それならば!と、二軒目の家を建てることに。住宅ローンをできるだけ抑え、かつ、土地も建物も満足のいく家づくりに挑戦されました。コストを抑えるコツ、納得のいくまで調べられた知識をこの連載にまとめていきます。
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イラスト:天野勢津子さん
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当時住んでいた借り家の間取りは、リビングに面した南北に窓があり、とても風通しが良く快適(第5回)でした。この間取りを見習いたいところでしたが、新居の土地は縦長のため北側に大きな採風窓を取るのが困難です。
かろうじて、キッチン横に北側窓を確保(第13回)できたのですが、この窓だけで十分な風通しが確保できるかどうか心配です。
リビング東側の窓からも採風できるようにと考えていますが、部屋全体の空気の流れとしては心もとないところです。
そこで、太っ腹社長が提案してくれたダイニングと玄関ホールを間仕切る引戸(第14回)に、採風を補う効果も期待します。この引戸を完全に締め切らずに隙間を空けておくことで、玄関の窓から玄関ホールを経由した風の通り道ができるはずです。同様に、洗面室の引戸も開けておくと、浴室の窓からの風通しが確保できます。
玄関や浴室とリビングの空気が行き来して、においが気にならないか少し心配ですが、なんとか空気の流れが行き止まりになることは避けられそうです。
効率よく採風するためには、縦すべり窓の吊元もよく考える必要があると、太っ腹社長に教えてもらいました。
リビング東側の縦すべり窓は、できれば南側の掃き出し窓に抜けていく、北からの風を取り入れたいと思っていたのですが、そのためには風をキャッチしてすくいとるように窓が開くようにしておく方がよいそうです。
当時の借り家にも、縦すべり窓がたくさん配置されていたのですが、てっきり右利き左利きで開く方向が決まっているのかとばかり思っていました…。
そこで、やはり北からの風を少しでも取り入れられる開き方を採用しました。気密性やデザイン性で縦すべり窓を選ぶ方も多いようですが、左右からの風を取り入れられるという特徴は、風通しの工夫に幅広く使えそうですね。
妻から冷暖房効率に難色を示されながらも、採用した吹き抜け(第7回)ですが、風通しの面ではとても期待が持てます。
暖かい空気は上へ行くという原理を活かして、2階の吹き抜けに面した室内窓を空ければ、1階にこもりがちな熱気は窓のほうへ向かって行ってくれるはずです。
吹き抜けのない家でも、地窓(ローサイドライト)と高窓(ハイサイドライト)を組み合わせた高低差を付けた窓の配置の換気テクニックがあるそうです。
わが家の場合は、より高低差がある吹き抜けの空間を使った上昇気流が期待できるというわけです。逆に、冷たい空気が下りてくるのが心配な冬は、室内窓を閉めておくことで解決できます。
これで、1階の北側の窓が少ないことによる風通しの心配も、かなりカバーしてくれるだろうと一安心です。
2階の風通しも気になる点がいくつかありました。
最も悩んだのは寝室です。前述の吹き抜けに面した室内窓で、1階を経由する外部との風の流れは見込めますが、直接外とつながる窓は、バルコニー側の窓ひとつだけです。
また、窓が2つ以上ある子ども部屋も、南北の対面する位置には付けることはできません。全部屋のドアを開ければ、南北の風通しルートは当然確保できるのですが、全て開けられない場合もあるでしょう。
ここでカギになるのは、タンスストリート(第11回)です。ここ(廊下)に、東西の両端に窓を設置することにしました。廊下に勢い良く常に風が通ってさえいれば、どこか一つの部屋のドアだけを開けた状態でも風通しが良くなるはずです。
残念ながら1階のように各部屋の扉を引戸にはできませんでしたが、なるべく開けたままでも邪魔にならないように開き戸の扉位置も考慮しています。
さらに、この廊下から採り込んだ風は、そのままリビング階段を通って、1階に流れ込んでくるはずです。万一、2階の各部屋の扉を締め切っていても、廊下に窓があれば、1階への採風ルートに影響はでません。
とはいえ、リビング階段からの風通しは良いことばかりではありません。2階廊下と1階リビングがつながっているということは、冬には冷たい空気が1階に流れ降りてくるということになります。
当初から、リビング階段の採用による暖房の効き目の心配はしていたのですが、複数の住宅会社から、「最近の家の断熱性能であればリビング階段でも寒くないよ」と聞いたので信じていたのですが…。
−−−−−−−後日談−−−−−−−
実際に住んでみると、冬場は階段から下りてくる冷気がやはり気になります。特に、ダイニングテーブルの真横に階段からの冷気が下りてくるので、食事中に特に寒さを感じます。
リビングに居ると、あまり気にならないのですが、恐らく暖房の効きも良くないと思います。そこで、冬は手作りのれんで、2階から下りてくる冷気を防ぐようにしています。
この布一枚だけでも、冷気を防ぐ効果は十分感じられるのでびっくりです。 でも、やっぱり階段入口には、引戸などで閉じられるようにしておけばよかったですよね。
ちなみに、のれんを付けた状態で、吹き抜けの内窓を空けると、のれんの裾がふわっと浮き上がるんです。これは、1階と2階の空気がよく回る構造になっているということでしょう。
温かい季節には、よく風が通るこの間取りに本当に満足しています。 夏場でも、よほどでなければエアコンを付けずに生活できるぐらい、自然の風を感じられてとても快適です。
〜編集後記〜
今回は家の中の風通しを、各フロアだけでなく家全体でシミュレーションするというお話でした。これだけいろいろ考えられたのも、縦長の間取りの都合上、北側に玄関・トイレ・浴室が配置され、大きな窓がつくれそうになかったから。
そこで吹き抜け、リビング階段を通る1・2階を風がダイナミックに行き来できるような窓の配置を考えられたのです。間取り図を見るだけでは、風通しのシミュレーションはかなり難しいですが、「ここに窓をつければよかった」、「つくらなければよかった」という後悔のないよう、プランしたいものですね。
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