これまで見てきたように、家を地震や台風などの大きな力から大切な家族の命を守るシェルターにするには、耐力壁を配置することがとても重要です。
それでは耐力壁を多くすればよいのでしょうか?
例えば、ドア・窓以外の壁や間仕切り壁、袖壁もすべて耐力壁を配置するとか……?
でも、それでは重たいよろいを着ているようなものですね。(※図A参照)
もう少し軽やかに、でも必要なところには充分に配置することが大切です。
大切な部分を守りながら自由に動き回れる、ちょうどよいバランスで耐力壁を配置するようにしましょう。(※図B参照)
耐力壁を配置する際は、「安全性」「自由度」「コスト」、それぞれのバランスを取れる構造計画が肝心ですね。
これまで何度も出てきたこの耐力壁。実際にはどのように作るのでしょう?
この例では、柱と柱の間にすじかいをクロスしています。
壁を支えるために間柱(まばしら)を入れることもあります。
耐力壁を固定するため、金物で補強します。
また、構造用合板を釘で打ちつけて、耐力壁とすることもあります。
この時、釘の間隔が大切です。ばらついていると必要な強度が得られません。
それでは、それぞれの耐力壁は作るのにどれくらいお金がかかるのでしょうか?
すじかいの場合は……
土台+柱+はり+すじかい+釘・その他金物+大工さんの技術料(手間賃)
=1ヶ所あたり12000円〜15000円かかります。
合板の場合は……
土台+柱+はり+構造用合板+釘+大工さんの技術料(手間賃)
=1ヶ所あたり15000〜17000円かかります。
これまで住まいの安全を考えるときの基本として、耐力壁の配置を考えてきました。そこでは、下記の3つのことを原則的に学びました。
【耐力壁配置の3原則】
- 四角形を基本としてコーナーを固める
- 上下階の位置をそろえる
- バランスを取って配置する
また「地震や台風、積雪」や「家具や本などの重量」も生活・暮らしを守るための家づくりとして考慮していく必要があることも学びました。
それでは、暮らしを楽しむ住まいにしたい場合、もっと自由度を高めるには、どうしたらよいでしょうか?
自由度を高めるには?
- 材料の強度を変えてみる
例えば…樹種を変える(杉・松・ヒバ・カラマツ)
- 材料のサイズを変えてみる
例えば…はりやすじかいのサイズを変える
- 工法そのものを変えてみる
例えば…木造をRC造に変える
設計者も「意匠」「構造」「インテリア」「街並みを考慮した家づくり」……。それぞれに得意分野がありますから、施主として自分の理想の住まいをよく相談しながら実現しましょう。
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