イエマガ：さて、河辺邸に一歩入って、一番驚くことが、玄関からダイニング、さらに庭に面した部分が土間だということ。このアイデアや間取りについてはどのように考えられたのですか。

勝彦さん：妻が土地を決めてから、住宅デザインソフトを使って考えたものです。

ミサさん：まず、夫に庭から家につながる土間をつくりたいと話しました。ふたりで旅行したバリのイメージです。海からあがって、砂浜からそのまま部屋へとつながっている……そんなイメージ。土間にしたら外との行き来もラクにできて楽しいだろうな、と思ったんです。

イエマガ：この土間が、まるでお店のような雰囲気をつくっていますね。

ミサさん：自分が帰ってきたときにどんな感じだとホッとできるか、お客さまの立場ではどうだろうといろいろとシミュレーションしながら考えました。実際に住んでみて荷物を両手に持ってる場合や、お客さまがいらっしゃるときなど、靴を脱がずにさっと家に入れてとても便利ですね。

勝彦さん：玄関に、何も置かない代わりに、下駄箱やコート掛けは台所の裏側にスペースを設けています。

ミサさん：そういった収納場所やほかの間取りについては動線を重視して考えました。最初に考えたのはキッチンです。家事動線は行き止まりを作らないほうが動きやすいので、両側から出入りできるようにしました。2階への階段もキッチン側からもリビング側からも登りやすいように、壁は1面だけにしています。それ以外の部屋も動線を考えながら、できるだけ無駄は省くように考えていきました。

イエマガ：土間以外に希望のイメージはありましたか？

ミサさん：インテリアに関しては、スタイルにはこだわらず、古くて素朴な感じにしたいと思っていました。できあがりは、この通りに何ともわからないスタイルですが、結構気に入っています。