次はアナログな道具でコーヒーを淹れましょう。よく、純喫茶でカウンターの上に置いてあるのを見かけるサイフォン。でも、使われていない店が多いことが気になり、ある店のマスターに聞いたことがあります。
「これ使わないんですか?」
「これ? 飾り。ドリップの方が味はいいもん」
「ほんまかいな?」←心の声。
さて、このマスターの意見が本当かどうかはぜひ、みなさんの舌で確認をしていただきたい。ちなみに筆者が飲み比べたところ、サイフォンの方がコーヒーの個性が強くでていて、何杯も飲む味ではありませんでした。
ただ、実験室にありそうなこのガラス器具内を水が上下する原理を見ていると、「特別な水を飲んでいる」という感覚になり、その時間もまた特別なものとなるものです。
ドリップ式の味は、ほとんどの人が味わったことがあると思います。紙か布(ネルと呼ばれる)を使って漉す方法です。お湯がコーヒー粉を通り過ぎるだけで、あの色とあの味になるのです。その通りが速ければ、さっぱりした味に、ゆっくり通りぬければ、豆の味が強くなる。理論的に豆が熱いお湯に浸かる時間が短いと豆の香ばしさと香りが抽出され、長ければ油分などの成分までに至って抽出されるというところでしょうか。
同じに見えるドリップの道具たちもコーヒーが下に落ちていく速度は違うので、買う時には注意が必要です。
最後はプレス式です。フレンチプレスとも呼ばれています。これって紅茶用の道具じゃないの?と思われる方もいるかもしれませんが、これはれっきとしたコーヒー用道具です。
友人が以前、「いろいろマシーンを買って家にあるけど、結局これが一番おいしい。今この淹れ方がマイブームなんだ」と言っていました。ちなみにこの友人は濃いパンチのある味が大好きな人です。
作り方は簡単。コーヒー豆を入れて、お湯を入れて、かき混ぜて、少し待ってプレスしてできあがり。この少し待つというのは2、3分というところでしょうか。豆と味の好みで調節してください。最も重要な点は、プレス式は粗挽きでないと、粉が網を通り抜けてしまうということ。筆者はこれで大失敗しました。
どれも同じことがいえると思うのですが、豆からじっくり成分を抽出する場合は、新鮮な豆を使わないとおいしくいただけません。前述の友人はきっと高級な粗挽き豆を常々使っていたのだと思います…。