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ご主人と奥さまで、玄関に対する意見が分かれてしまうケースもあるんじゃないですか? |
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というよりは、あまり考えていないほうが多いですね。こういう話をすると、「ああ、そういう使い方できるね」って話になるんですけれども、やっぱり先に考えるのはリビング、キッチン、お風呂。それからトイレがあって。廊下、玄関、バルコニーなんてのは、後からになっちゃう。 |
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なるほど。ほかの部分を優先して、玄関はできるだけ狭くしたい、という人もいるでしょうね。 |
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そういう話はありますね。でも、家に帰ることが楽しいんだっていうことの一歩目は、やっぱり玄関なんでね。日常使うものだからこそ、時にはしっかり考えておいてもらいたいなとも思います。僕は、できれば玄関でオン・オフしてほしいと思っています。 |
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オン・オフっていうのは、どういうことですか? |
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仕事とか、外で嫌なことがあっても家庭に持ち込まない。例えばですよ、例えば(笑)。気分が悪い人って、やっぱり毒気が出るというか。笑っていると、出ないんです。
なーんか難しい顔してる人が入ってくると、嫌な気分になるじゃないですか。途中でなんかあっても、家に入るときには穏やかな気持ちで口角を上げましょうってことですよね。迎える方もそうですよね。そのためには、家と外との間にちょっとそういう間が必要なのかな、と僕は思うんです。 |
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空間として、気持ちを切り替える工夫とか設えがあったほうがいいっていうことですかね。 |
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意識せずにね。意識はしないんだけど、なんかそこで変われるような。帰ってきたときに、花が目に付くとか。家に帰ってきたなっていう。そこに子供が「おかえり」って迎えに出てきたら、いくらか気持ちが変わりますよね。 |
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それ、わかります。うちは猫を飼ってるんですけど、仕事でカリカリしていることがあっても、玄関のドアを開けて猫が迎えに出てきたとたん、ふわ〜っと気持ちがやわらかくなります。これはすごく助かっていますね。 |
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そうでしょう。まあ確かに話を聞いてほしいとか、そういうこともあるかもしれないんだけど、怒りなら怒り、それを一旦置いてみたら、自分もまた「ああ、そんなに怒らなくてもよかったんかなあ」って思ったりね。そういう僕も、結構短気なんですけどね(笑)。
ちょっと話が飛躍するけど、家庭の教育という意味でも、切り替えの場が家の中にあって、子供のころから玄関で「ただいま」って言うことが自然な習慣になっていたら、外でもきちんとあいさつができるようになるんじゃないかな、と思いますね。 |
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