家事に育児に仕事に……毎日忙しいお母さんのホンネとは？　「お母さんのひとりごと」は、一般公募で選ばれたお母さんたちによるリレーエッセイです。

毎年8月お盆近くに、主人の夏休みに合わせて、夫婦それぞれの実家へ帰省する。
まず、車で2時間半かけて主人の実家へ。
主人が一人息子で孫はうちの子供だけということ、遠いのでなかなか帰省できないということもあって、訪ねて行けばいつものことながら「よく帰ってきたねー」の大歓待ムード。私も子供たちもちやほやされていい気分。

良き嫁であらねば、またそうあるところを見せたいという考えを捨てれば、主人の実家も快適生活。
義母の「何もしなくていいよー。うちにいる間ぐらいは、体休めてね」を額面通り受け取って、掃除、炊事、子供の世話、なにもせずぼーっと過ごす楽チン毎日。
でも……超リラックスモードの主人に比べ、こんなに楽させてもらっているのに、心からくつろげない私。
やっぱり、能天気な私でもどこか後ろめたい気持ちがあるのか……。

数日を過ごして、次は私の実家へ。
母の位牌がある仏壇に手を合わせ、「ママ、お空から私のこと守っていてね」なんてこの年になってもまだ都合のいいことをお願いした後、子供たちの面倒を父に任せ、2階の自分の部屋へ。

11年前にお嫁に行ったときのまま、そのままの私の部屋。
パラサイトシングルなんて言葉はまだなかった時代だけど、確実にそうだったあのころ。
35歳まで過ごしたこの部屋。物心ついたときから、ここは私だけの空間だった。
ベッドに寝転がって、窓から空を見上げてみる。

ここに寝転がって空を見上げながら、いろんなこと思ったっけ。
嬉しかったこと、悲しかったこと、くやしかったこと、親には言えないような悩みもあったなあ。わかってたんだろうなあ。でも、そっとしておいてくれた。ここに寝転がっていると不思議と心が休まった。
ベッドに寝転んだまま、お気に入りの本ばかりを収納している本箱に手をのばし、久しぶりに遠藤周作を読む……つもりが、いつのまにか眠ってしまっていた。
この家を離れて11年にもなるのに、やっぱりここが私の心のくつろぎの場所なんだなあ。この家で親の庇護のもと過ごしていた日々が懐かしい。

感傷に浸っている間に日は暮れ、車で30分のわが家へ久しぶりに到着！　実家でリフレッシュして、さあ、モードを切り替えてエンジン全開！　そのとき。
「あー帰ってきた！　着いた！　着いた！　やっとわが家だね！　ご飯まで、お部屋で好きなことしていていい？」
娘たちの問いにふと思う。
たった5年しか住んでいないけれど、そうだ、この家がすでに子供たちにとってくつろぎの空間なのだ。

これから先、成長していく中で娘たちにいろんなことがあるだろう。
でも外でどんなことがあっても、この家に帰ってくれば、帰ってきさえすれば心がおちつく。
心が安らぐ、ほっとする、つらい出来事も和らぐそんな空間に、そんな家にしたい。いやそうしなければ。
父が、母が、かつて私にそうしてくれたように……。

◆前回の執筆者からの質問
「子供の写真の整理、どうしていますか？」への回答◆

整理整頓の苦手な私。1年分ぐらいためて一気にアルバムに貼っていました。でも最近はデジカメでとることが多くなって、パソコンに取り込んだまま放置しています。デジカメでアルバムを作るソフトなんかもあるようですが、そのまんまです。逆にどなたかフイルムプリント写真とデジカメ写真のうまい整理法があったら教えていただきたいです。

 

思いがけなくぽっかりできた自由な時間、どう使いますか？

ちかちゃんよさん
46歳。専業主婦。福岡県在住。夫（39歳）、長女（9歳）、次女（6歳）との4人暮らし。
「5年前に家を新築しました。マンドリンの市民オーケストラに夫婦とも在籍していますが、出産、育児で私は長いこと休部状態。楽器をかかえてうきうきと練習に出かける主人を横目に家事、育児に専念してきましたが、年齢がいき、企業戦士として忙しく、練習にだんだん行けなくなった主人に代わり、今年から私が復帰。ほんの少し出来た私の時間を練習にあてています。でも本当はその分の時間家事に使ったら家ももっとかたづくんだろうなあなんて思いながらも、ほんの少し自分の時間にいただいています」