家事に育児に仕事に……毎日忙しいお母さんのホンネとは? 「お母さんのひとりごと」は、一般公募で選ばれたお母さんたちによるリレーエッセイです。
何年かぶりに、風邪らしい風邪をひいて熱を出した。
熱自体はそれほど高くはないものの、節々が痛くてどうにもならない。さては、娘たちの風邪をもらい受けてしまったにちがいない。
当の彼女たちはというと、学校を休んではいるものの、既に熱も下がって、この時とばかりにゲーム三昧で過ごしている。
ともあれ、時間が来ればお腹が減るのが人の常。欠席児童の娘たちも昼を過ぎると「お腹が減った!」の大合唱となった。
さあ、そうなると悲しいかな主婦の宿命。三度の食事は作らねばならない。ギシギシいう体に鞭打って、冷蔵庫の中身を探ってみたのだが……。
「あっちゃ〜! しまった……」
この週末は、同居の姑を連れて旅行に行っていたため、うちの冷蔵庫にはこれといった買い置きもなく、ほとんどカラに近い状態だったのだ。
しかたない。あるもので何とかするか……。
適当なものを鍋の中に突っ込んで、どうにかスープカレーのようなものができあがった。作る時間に比べて、食べる方は非常に早い。あっという間に鍋の中身はカラッポになってしまった。
しかし、問題はその後だった。
私が寝込んだと聞き付けた姑が、夕食を作ってくれるという。
(ラッキー!)
こんな時ばかりはありがたいと、ご相伴にあずかるつもりで少し横になることにした。
(おでんかな……。筑前煮もいいよなあ……)
姑の得意料理を思い起こし、勝手な想像をしてみる。
ところが、ふと気が付くと階下からカレーの匂いが漂ってくるではないか!? いくら大好きなカレーとはいえ、昼に食べたところだ。ただでも具合が悪いのだ。続けさまに食べる気にはならない。
「え〜!? またカレー……」
と、文句を言う、元気な娘たちの声が聞こえてきた。
すかさず、姑のお小言の逆襲を受けている。とはいえ、好物には違いがないわけで、娘たちにしてみれば、とりあえず一言主張しておいたというところだろう。
姑は、まだ何やらぶつくさ言っているようだが、都合の悪くなった娘たちは、とっとと食べ終わって叔母の部屋へ避難したらしい。
そらきた! 姑の夕食を食べに来いと呼ぶ声が聞こえた。
まさか、「昼もカレーだったから、食べたくない」とは言えない。
しかも、姑ときたら、風邪でも何でも普段の三倍食べて治してしまう、という特技の持ち主。「カレーを食べるほどの食欲が……」などと言ってみたところで、はなから通じないのだ。カレーの代わりに、お説教を食らうことになるのが関の山だ。
立場の悪いところには顔を出さないのが賢明と、寝ているふりを決め込んだ。
結局、私の夕食はというと、娘の高熱のときに買って来ていたフルーツゼリーひとつと、娘たちがポケットから出してくれたチョコレートが二粒……。
無難にやり過ごしたつもりだったけれど、やっぱり、お腹減った〜。
もっと要領よく生きなくっちゃ……。
◆前回の執筆者からの質問
「独身時代に思い描いていたお母さん像とのギャップは?」への回答◆
お母さんのイメージにあまりギャップはありませんでしたが、「子供ってこんなにワガママな生物だったんだ……」って愕然としました。
「子供と将来の夢を語っていますか?」
ももんがさん
41歳、主婦。大阪府在住。夫、小学生の娘2人、姑、義妹の6人家族。趣味はガーデニング。