道田 聖子
スウェーデン人のパートナーと住まいとインテリアのデザイン会社「"Aj! design(アイ!デザイン)」を経営する。毎年、夏にはスウェーデンのアネヒルのコテージで過ごす。著書に『自然のなかのやさしいデザインたち』『北欧のなつかしいモノ暮らし』(共にインターシフト発行)。
美術館へ出かけるのが好きです。マニアックな難しいことは分からなくても、美術館の建物そのものや周りの環境、展示されているアートを気楽に味わうのが楽しいのです。
今まで海外でもいろいろな美術館に行きましたが、今年出向いたヨンショッピング県立の美術館は、久しぶりにとても印象に残るものでした。
市民図書館に併設のこの美術館、まずは、入場料が『無料』です!
スウェーデン人はもちろん、私のような外国人もみんながその対象。
無料の美術館…あんまり期待できないかも?街歩きのついでに時間つぶしにでもなるかしらと、入ってみたのですが、結果的に楽しくて3時間も滞在してしまいました。
展示されているのは、地元出身のアーティストやスウェーデン人アーティストたちの作品。
ドローイング、油絵、彫刻、立体、写真、その他様々な表現の作品の連続に、いつのまにか時間が経つのを忘るほど。
そして私が関心した感のはその展示方法です。作品の世界観を最大に引出すための考え抜かれた、壁の色、レイアウト、ライティングー。どの演出も作品への愛が伝わってくるよう。こだわりながらも、決して堅苦しくなく、なんだか心地よいのです。
アート鑑賞は、アートそのものの素晴らしさはもちろん、それをどのような環境で観るか、全体の調和がとても大事だと思うのです。こんなところにも、スウェーデン的な空間構築のセンスを充分に感じることができた体験でした。
この無料の美術館、出口でひとつだけ協力をお願いされたことは、アンケート。
それも、文章を書き込む複雑なものではなく、タッチパネルの画面に、4種類ほどのニコちゃんマークが登場し、満足度を表す顔の表情で選ぶだけ。もちろん、私はビックスマイルを選びましたよ!
こんな無料の美術館が近くにあったら、もう何度でも行っちゃいます。本当の豊かさとは何かを考えさせられるようでした。
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