薫製は、スウェーデンではとてもポピュラーな調理法です。街にはなんらかの薫製屋さんが存在します。薫製する食材としては、サーモンがもっとも有名ですが、他にも、うなぎやニジマスなどの魚、ヘラ鹿やトナカイの肉、などいろいろなものがあります。

夏の間、私たちが暮らしている森の中のコテージから、自転車で２０分ほど行ったところにも、薫製屋さんがあります。麦畑が広がり、牛たちがのんびり昼寝をしているような、典型的なスウェーデンの田舎の風景の中に、その赤い薫製小屋兼ショップがあります。

薫製に使う木はもちろん、オーナーさんが所有しているスウェーデンの森の木です。低温で長い時間をかけて薫製する特別な冷薫製、一般的な温薫製の種類を素材によって使い分けている、こだわりの薫製屋さん。ここでは、グルメガイドに掲載されているようなレストランへ納品されるほどの、美味しい薫製を作っていますが、週末だけ一般の人も工房で直接買うことができるのです。

週末になれば、朝からそわそわ。夜は薫製のサーモンとキリリと冷えた白いワインと…そんなことを考えながら、赤い小屋へと自転車をこいでゆきます。

このスウェーデンのスモークサーモンを日本人の友達や知り合いに食べてほしい！知ってほしい！持って帰りたい！あまりの美味しさに、私だけごめんなさい…ちょっとした罪悪感を感じつつ、やめられないこの薫製サーモンの虜になります。絶妙な塩加減、しっとりと潤ってジューシーな身は、日本で普段食べているものとは、まったく別物なのです。

薫製屋さんによっても、その味はそれぞれ違います。スウェーデンのあちこちで薫製を食べましたが、今のところ私が三ツ星をあげたい薫製屋さんは、コテージ近くの赤い小屋の薫製屋さんです。