スウェーデンの人たちにとって夏のコテージは、日本で考えるような一部のお金持ちの人たちのもの、という感覚ではありません。
もちろんコテージのレベルは様々で、不自由ない生活ができるように設備の整った家のようなものもありますし、小屋と呼ぶ方がふさわしいシンプルなものもあります。
そもそも、あまり贅沢なコテージを所有しているよりも、多少プリミティブな要素が残っている方が感心されるというのが、スウェーデンらしいところです。それぞれの予算や好みに応じて、コテージを手にすることはそう難しいことではありません。
コテージのお値段はその立地によっても随分差があります。人気なのは、湖や海などの水辺に近い場所。森の中というのも決して悪くはないのですが(私はどちらかと言えば、森派ですし)、スウェーデンのひとたちにとっては、森はあまり珍しくないので、それほど憧れの場所というふうにはなりません。
いったん、水辺に夏のコテージを持つことのできた人は、その場所をなかなか手放そうとはしません。できる限り家族に引き継いでいきたいと考えています。 なぜなら、そのような場所は次にまた手に入れるチャンスが巡ってくるかまったく未知数だからです。
そういう意味では、夫の家族はラッキーです。おじいちゃんが若い頃、超格安で湖の前の土地を手に入れることができたのです。もちろん、格安の理由はちゃんとありました!
森が深すぎて陸路がない上に、電気も水も通ってはいませんでした。その場所へ行くには、当時は湖からのルートしかなく、小屋のための部材をボートに乗せ、少しずつ湖上を運んでは作業することを繰り返し、何年もかかって基礎から小屋を自力で建てたのです。
数年前に、ついに古くなったおじいちゃん手作りのコテージを全面的にリフォームしましたが、おじいちゃんの武勇伝は今も家族に語り継がれています。 |