スウェーデンで食にまつわるイベントといえば、『ザリガニ祭り』がとても有名です。
白夜の夏もそろそろ終わりかけの８月半ば（この頃なぜかスウェーデンの満月がいつも以上にとても大きく輝いて見えるのです）になると、ザリガニ祭りのシーズン到来です。

この祭りで食べるためのザリガニを自分で川や湖に釣りに行くほどのこだわりの人もいますが、たいていはスーパーで販売しているものを買い求めます。

ザリガニは香草ディルを大量に入れた塩水で湯がきます。生の状態ではグレイ色をしているザリガニが見事な赤色にゆで上がります。器に盛りつける際には、小さな黄色の花のついたディルの花を飾りにします。

スウェーデンの普段の食卓では、音を立てて食べるのはマナー違反ですが、ザリガニを食べるときだけは特別。まず頭をとって、中身をチュチュウと吸います。

このザリガニの頭のミソがおいしい！まるでバターみたいな濃厚さです。それから胴体のカラを剥いて姿にしては小さな身をいただきます。その味は普通のエビとはちょっと違います。

どちらかといえば、ロブスターに近く、個人的にはかなり好きな味です。臭みは感じません。ザリガニなら年に一度と言わず、もっと食べたいな、なんて思うくらいです。

ザリガニ祭りは大抵夕方からのスタートです。このお祭りの場所にふさわしい最高のロケーションと言えば、湖のすぐ側に建つコテージの庭でしょう。

野外にしつらえたテーブルで、ザリガニを食べながらジャガイモが原料のスウェーデンのウオッカを飲んで、ザリガニ祭りの定番の歌を歌いながら、延々と夜中まで宴会です。

スウェーデン人には珍しく、はしゃぎすぎて『酒の席での失敗』を起こしやすいのは、このお祭りのちょっとした難ではありますが、たいていの場合は家族や友達とおしゃべりに興じて楽しく夏の終盤の夜を過ごします。