長くて暗い冬が終わって、森にビチパという白い小さな花が一面に咲く春が訪れると、待ちに待った白夜の夏がもう目の前にやってきます。空に太陽が輝く限り、人々は戸外へと出てゆき、アウトドアな生活スタイルに切り替わります。

実はスウェーデンの人たちは、バーベキューが大好き。夏は毎週バーベキューを楽しんでいるといっても、言い過ぎではありません。スウェーデンの夏は最も暑い日でも３０℃になるかどうか、という気温、しかも湿度が低く爽やかで、雨さえ降らなければバーベキューにはもってこいの気候なのです。

バーベキューといっても、いつも豪華な食材が並ぶわけではなりません。「奮発していいお肉を焼こう」という日もあれば、「今日は"コルブ"で充分」という時もあります。コルブとは、スウェーデン語でソーセージの意味。ソーセージはスウェーデンの人たちの大好物です。しかもお肉を買うよりリーズナブルなので、夏のバーベキューには欠かせません。

実際、バーベキュー用のスウェーデンのソーセージは大きくてジューシーで確かに美味しいのです。私たちの森のコテージの近くには、お肉屋さんが経営している自家製ソーセージの店があって、オーナーのソーセージ職人のヒューゴおじさんのソーセージ、が有名です。小さな田舎の店ですが、ストックホルムのデパートにも卸しているほど味は保証付きなのです。

コテージの庭に小さなバーベキューコンロをおいて、炭をいれ、コルブを焼きます。決して贅沢ではない夏の夜のバーベキュー。家族や友達と外で食卓を囲む、夏はそれだけで充分幸せ、とスウェーデンの人たちはよく言います。ものがあるから豊かではない、本当の幸福をスウェーデンの人たちは知っているような気がします。