スウェーデンのカフェにも、いろいろなスタイルがあります。テイクアウトがメインのチェーン店的なものから、最新のインテリアショップのようなかっこいいカフェ、伝統的なスタイルを守り続けているストックホルムの旧市街にあるような昔ながらのカフェ。

それから、日本で言うなら、まるで『純喫茶』とでも呼びたくなるような地方の街のレトロカフェ。1960〜70年代から時間が止まってしまったようなインテリアもまた不思議に心和みます。

真冬の凍てつくスウェーデンの街を歩いているとき、とにかく温かいコーヒーを飲んで身体を温めたい！と、つい足が向いてしまうのが、私の場合そんな純喫茶的カフェです。

気に入ったカフェを見つけるとあまり浮気しないで通い詰めるタイプなので、常連のおじいさんが毎日同じ時刻に同じ席に座って、フィーカしているのをみると、なんだかほっとします。

２月になると、スウェーデンでは『セムラ』という菓子パンのシーズンがやって来ます。カルダモン入りのパン生地に、マジパンと生クリームがたっぷりと入った、一見シュークリームのようなこの高カロリーで甘〜い菓子パンをこの時期に食べる習慣は、スウェーデンの信仰がカトリックだった時代、復活祭前の４０日間に節食や断食を行う前、ご馳走を食べた風習の名残なのです。

セムラの時期には地方紙で『どのカフェのセムラが一番美味しいかコンテスト』の記事が大きく掲載されます。この時期だけは、つい他のカフェのセムラにもチャレンジしたくなって出かけますが、やっぱり一番落ち着くのは、いつもの『純喫茶』だわ〜なんて思いながら帰途につきます。
＊フィーカ：スウェーデンのコーヒータイムのこと